
BitMEXに恩赦
トランプ米大統領は27日、暗号資産(仮想通貨)取引所BitMEX(ビットメックス)の3名の共同創設者に恩赦を与えたことがわかった。情報を入手した「CNBC」が28日に報じた。
対象者はアーサー・ヘイズ氏、ベンジャミン・デロ氏、サミュエル・リード氏。ビットメックスやヘイズ氏らはこれまで、意図的にマネーロンダリング対策(AML)を導入せず銀行秘密法(BSA)に違反したと告発されていた。
マネーロンダリングとは
犯罪によって得られた収益金の出所などを隠蔽する行為のこと。
米当局によるビットメックスへの取り締まりは長期にわたっている。例えば、2021年8月には、米商品先物取引委員会(CFTC)および米金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)との裁判でビットメックスが和解したことが分かった。
この時、同社が米国居住者の識別やユーザーの身元確認を行っていなかったと指摘されている。ビットメックスは規制当局に罰金として1億ドル(当時のレートで約110億円)を支払うことが明らかになった。
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また、2022年2月にはヘイズ氏とデロ氏が銀行秘密法を巡る訴訟で有罪を認めたことを米司法省が発表。両氏がそれぞれ1,000万ドル(同約11億円)を支払うことが伝えられた。同年5月にはリード氏にも1,000万ドルの罰金が課される命令が発表されている。
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デロ氏は今回の恩赦について、以下のようにコメントした。
トランプ大統領による完全かつ無条件の恩赦は、我々が常に維持してきた見解が正しいことを証明している。ビットメックスと共同創設者は、不明確で時代遅れの法律によって、刑事犯罪で告発されるべきではなかったのだ。
我々は、大きく成功した取引所として、不当に見せしめにされ、政治的な理由で犠牲になり、一貫性のない規制の警告を発するために利用された。
トランプ大統領の恩赦事例
仮想通貨に肯定的なトランプ政権については、ビットコイン(BTC)の準備金創設や規制緩和策など以外に、恩赦にも注目が集まっている。
トランプ氏は今年1月、ビットコインを使ったダークウェブ「シルクロード」の創設者であるロス・ウルブリヒト氏に対し恩赦を発令したと発表。ウルブリヒト氏を有罪とした裁判の関係者を「狂気じみた人物たち」と表現し、現代の政府の武器化と本人への攻撃に関与したと非難した。
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他にも、バイナンスのチャンポン・ジャオ(CZ)前CEO氏も恩赦を受けるべきだとの声や、仮想通貨取引所FTXの破綻で25年の禁錮刑が言い渡されたサム・バンクマン=フリード前CEOが恩赦を求める動きを見せていることが伝えられている。
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