- HyperLedgerから新たなプロジェクト開始
- ブロックチェーンプロジェクトのHyperLedgerから新たなプロジェクト「Sawtoothサプライチェーン」が発表された。IntelやIBMといった大手企業がブロックチェーン技術を開発することは業界に注目を呼ぶ反面、一部ではHyperLedgerのオープンソースならではの中立性が損なわれることを危惧する声も。
HyperLedgerプロジェクトによる大手IT企業の競合
2018年12月初頭にHyperLedger運営委員会は新たに発表されたサプライチェーンプロジェクトを承認した。この決定は世界で最も影響力のあるブロックチェーン技術の推進コミュニティーHyperLedgerにとって重要な出発点とされている。
Hyperledger(ハイパーレッジャー)は、Linux Foundationによって開始された企業向けのオープンソース・ブロックチェーンプラットフォームであり、世界有数のテック企業IntelやIBMを始めとする200以上の団体が組合となってる。
今回はその中でもIntelの開発してるHyperledger Sawtoothから大きな進展が見られた。
暫定の名称だが、Sawtoothをフレームワークとした「Sawtoothサプライチェーン」がアプリケーション層のソフトウェアを開発しており、これはHyperLedgerとしては初めての試みである格好だ。
また、HyperLedgerの技術運営委員会(TSC)は11人で構成されており、そのうちの9人が「Sawtoothサプライチェーン」プロジェクトを承認。これに伴いコミュニテイーサポート、マーケティング、セキュリティレビューの支援などを受けることができる。
TSCメンバーの残り2人は「Sawtoothサプライチェーン」プロジェクトはHyperLedgerの本来の目的に反するとして反対の意を示しているが、いずれもIBMの関係者である。
IBMが開発を手がけるHyperledger Fabric(ファブリック)もこれに先立ちサプライチェーンが開発されている。こちらはオープンソースをベース(下位層)にしたものであり、使用する企業団体にカスタマイズは一任されている。
例えば食品追跡のNow-Liveサプライチェーンは世界最大のスーパーマケットWalmartの仕様でIBMによって開発されている。
なお、前述の「Sawtoothサプライチェーン」はアメリカ食品大手Cargillのスポンサーを受けている。
Cargillの支援によりプロジェクトの開発は加速し、他のHyperLedgerのプロジェクトより一歩先を行くことになる。これらの開発により、IntelはIBMが開発しているFood Trustサプライチェーンの競合となり得る可能性が見られている。
このようなHyperLedgerプロジェクトの進展はブロックチェーン企業界からすれば、IBMが開発しているFabricとIntelのSowtoothによるブロックチェーンの主導権争いの火蓋が切って落とされたことになる。
しかし、それと同時にHyperLedgerの理念であるオープンソースに対しての疑問の声も上がっている。IBMはHyperLedgerを使ったアプリレベルの提供はHyperLedgerがオープンソースに対する中立的な立場を覆すものだと主張する一方、対照的に競争の抑制力になると唱える声もある。
Sawtooth1.0の大部分のコーディングを手がけているBitwiseの最高責任者James Mitchell氏は次のように述べた。
この議論はオープンソースが基本的に何を指しているのかが焦点となります。またHyperLedgerの組織団体は最終的に商業に対して保護主義的なのか?または別の最終目標があるかによって答えが変わってくるだろう。
TSCメンバーの一人でIBM関係者のChris Ferris氏は「Sawtoothサプライチェーン」がHyperLedgerの目的と在り方についての懸念をIBM代表としてではなく独自の見解を次のように述べた。
HyperLedgerを立ち上げた当初、我々はアプリケーションレベルに手を出すことはしないと決めた。
その理由は我々が構築したフレームワーク(骨組み)をそれぞれに利用して欲しかったからです。我々が誰かと競合してサプライチェーンに対するソリューション(解決策)を構築してるとは思われたくない。
いずれにせよ、ブロックチェーン技術を利用したサプライチェーンプロジェクトは発展の加速と共にこれからのHyperLedgerの本来の目的と在り方について再び議論されることになるだろう。目を離せないところだ
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