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GMOが仮想通貨マイニング事業の収益悪化に伴い「355億円の特別損失」を計上|採掘事業がなぜ厳しい状況にあるかを解説

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

GMOが仮想通貨マイニング事業の再構築に伴う特別損失の計上を発表
GMO インターネット株式会社は25日、「仮想通貨マイニング事業の再構築に伴う特別損失の計上に関するお知らせ」と題した報告書を公開。マイニング事業に関して特別損失を計上することが明らかになったほか、マイニングマシンの開発・製造・販売事業は中止する旨が報告された。

GMOが仮想通貨マイニング事業の再構築に伴う特別損失の計上を発表

GMO インターネット株式会社は25日、「仮想通貨マイニング事業の再構築に伴う特別損失の計上に関するお知らせ」と題した報告書を公開した。

同報告書では、仮想通貨価格の下落や、想定を上回るハッシュレートの上昇により想定通りのマイニングシェアが得られなかった事を背景に、GMOマイニング事業の収益性が悪化、当該事業に関連する事業用資産の簿価の全額を回収することは困難であると判断し、特別損失を計上することが、の取締役会にて決議したと報告された。

マイニングマシンの開発・製造・販売事業に関しては、需要減少と(収益分岐ライン低下に伴う)販売価格の競争環境激化(販売価格減)などの事業環境の変化に伴い、当該事業に関連する資産を外部販売により回収することは困難と判断したことで、開発・製造・販売を中止する旨が報告された。

特別損失の概要

出典:ir.gmo.jp

マイニング事業に関する損失額

公開されたGMOマイニング事業に関する特別損失の概要は以下の通り。(記載の数値は概算値)

  • 連結決算:外国法人2社が保有する事業用資産につき、見積もり将来キャッシュ・フローの現在価値の算定結果を踏まえ、減損損失など約 115 億円を計上。
  • 個別決算:スイス法人撤退に伴う子会社株式売却損など約140億円を計上。

マイニングマシンの開発・製造・販売事業に関する損失額

  • 連結・個別決算:債権譲渡損約175億円、貸倒引当金繰入約35億円を含む、合計約240億円を特別損失として計上

世界的なマイニング事業経営悪化について

今回GMO インターネット株式会社が、マイニングの収益悪化を背景に事業の再構築を報告したが、この影響を受けているのはGMOだけでなく、世界的にマイニング事業の収益悪化は問題化している背景がある。

世界的にマイニング事業は、2017年後半にかけて価格が上昇したビットコイン価格推移を背景に、土地代や電気代が安い土地を中心にビジネス展開が盛んに行われ、既存のマイニング業者も規模拡大を図るなど、仮想通貨一大ビジネスとして注目されていた。

マイニング事業の収益面に関して構造を簡単に説明すると、主な営業コストとなるのは、マイニングマシンの減価償却費、電力代、土地・工場建設費となり、継続収益として重要なのはハッシュレートとマイニングデフィカルティ(簡単にいうと競争率)となる。

電力代や土地などは同額が据え置かれると仮定すると、事業環境の変化として挙げられるのは、マシンの供給代金、ハッシュレートやデフィカルティの変化だ。通常マシンの代金はその時の通貨価格などから算出したマシンの収益率によって変動する。

よってマイニング収益悪化の状況になる程、マシン価格が安くなる仕組みで、GMOが販売価格の競争環境激化として挙げているのはこの点である。

またハッシュレートとデフィカルティを簡単に説明すると以下のようになる。

ハッシュレートとは

マイニング(採掘)が行われる際の採掘速度を指し、1秒あたりの計算回数がハッシュレートにあたる。要するにどれだけマイニングに参入している企業またはマシンがあるかによってハッシュレートが上下することになる。

デフィカルティとは

マイニング(採掘)によってブロックを生成する難易度の事。簡単に説明するとハッシューレートが上昇するとより難しい難易度に変更され、ハッシューレートが下落すると簡単な難易度に変更される仕組み。基本的にブロック生成量の目安である10分を基準に計算され、10分1回のブロック生成になるように調整される。

2018年ビットコイン価格は右肩下がりの下落相場を展開していたが、2017年の暴騰相場で火がついたマイニング事業にはGMOを含め多くの企業が参入していた。要するに下落するBTC相場とは反して、ハッシュレートが上昇していたことになる。(チャート参照)

出典:bitcoinwisdom.com

ビットコイン価格が下落(報酬価値の減少)が行われていたのに対し、ハッシュレートが上昇(競争の激化)していた事が、このマイニング事業の収益面悪化を引き起こしている状況である。

上のチャートでもわかるように、8月半ばまで上昇を続けていたハッシュレートも9月に入り下落基調へ突入、直近の下落では大きく減少していることがわかる。

2018年の後半のマイニング業界の状況を、以下に簡単にまとめた。

  • 9月…不調な相場(おそらく9月7日の急落)が要因で多数のマイナーがマイニングマシンを停止。(主に小規模マイナー)
  • 10月…価格が収益分岐で重要視されたラインの6000ドル付近に近づき、マイニング機器の投げ売りが報道が多発。
  • 11月…ビットコインが1ヶ月で-40%下落。企業ベースのマイニング企業にも撤退、事業縮小事例も。
  • この動きからわかるように、GMOインターネット株式会社だけでなく、世界的なマイニング事業の悪化が背景にあり、その波にのまれた形となる。

    これまでのGMOマイニング事業

    GMOインターネットが、今年3月に開示した仮想通貨マイニング事業におけるマイニング報酬及びハッシュレートの月次収益状況によれば、2018年2月のマイニング報酬は1.8億円(BTC:1.4億円/BCH:0.4億円)に到達。決算資料でも、「(採掘速度を示す)ハッシュレートは、稼働台数の増加に伴い、計画通りに上昇している」としていた。

                            
    GMO:マイニング報酬データ
    2018年 マイニング報酬 (月末)参考レート PH/s

    BTC

    BCH

    BTC BCH
    1月 93

    (BTC)

    25

    (BCH)

    1093163

    (円)

    159348

    (円)

    27
    2月 124

    (BTC)

    287

    (BCH)

    1132780

    (円)

    131655

    (円)

    108

    なお同社は、2017年12月20日に北欧でマイニングファームを設置し、マイニング事業を本格稼働させており、2018年末までに、総額380億円をマイニング事業に投資する計画を表明していた。

    事業開始時は、順調なマイニング事業展開が進んでいたことがわかる。

    GMOマイニング事業の今後の見通し

    また同報告書にて、今後の見通しに関する内容も発表している。

    自社マイニング事業に関しては、以下の通り。

    • 自社マイニング事業:収益構造を再構築した上で、当社を統括法人として継続
    • 減価償却費:今回の減損損失の計上により償却性資産の簿価を大きく切り下げるため減少する見通し
    • 電力代:マイニングセンターをより安価な電力の調達が可能な地域へ移転を検討

    マイニングマシンの開発・製造・販売事業は、以下の通り。

    • マイニングマシンの開発・製造・販売を停止

    財政状態は、以下の通り。

    • 特別損失計上後も、子会社株式の一部売却もあり、財務の健全性は確保

    なお、この件についてGMOの熊谷CEOは、Twitterで以下のように発言。会社のステークホルダー及び関係者を鼓舞している。

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