
ガバナンス体制再構築へ
暗号資産(仮想通貨)ソラナ(SOL)ブロックチェーン上のDEXアグリゲーター「Jupiter」は20日、ガバナンストークン「JUP」保有者は2026年までプロトコルの変更を提案・投票することができなくなると発表した。
Jupiterチームのカッシュ・ダンダ氏は、現在の自律分散型組織(DAO)の構造が意図した通りに機能していないとして、次のように述べている。
私たちは不満の声を耳にし、信頼関係の崩壊を目の当たりにし、投票のたびに拡大するFUD(不安や不満)の連鎖を感じている。DAO、トークン保有者、そしてチームが一体となって製品、プラットフォーム、そしてコミュニティを前進させることができず、負のループに陥っている。
このため、すべてのステークホルダーが連携し、一致団結する必要があると続けた。発表を受けて、Jupiter(JUP)は21日までの24時間で6%下落した。
DAOとは
自律的に機能する分散型組織を指す。「Decentralized Autonomous Organization」の略。一般的な企業などとは違い、経営者のような中央管理者が存在しない。参加メンバーやアルゴリズムによって運営管理が行われる。
2025年末までDAO投票を一時停止し、2026年には、分断ではなく統合を促す新たなアプローチでガバナンス体制を再構築するとしている。
投票の一時停止により、プロジェクトの成長に集中できるようになるとし、主に以下の3つの事項に注力できると述べた。
- Jupiter製品とプラットフォームの成長
- Jupiverseを生産性の高いグローバルコミュニティとして推進
- JUPコミュニティが共に価値を創造できるよう後押し
なお、JUPをロックしてガバナンスに参加する人へのステーキング報酬付与は継続される。
また、これまで資金提供を受けていたすべてのワーキンググループは、DAOの資金によってこれまで通り運営を続ける。ただし、DAOの資金による新しいワークグループは作成されず、JUPの追加発行も行われない。
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背景として、ジュピターでは投票権の集中化を問題として内部で衝突が発生していた。Jupiter DAOの直近のガバナンス投票で、Jupiterチームメンバーが管理する1つのウォレットが全投票数の4.5%以上を占めていたことを受けたものだ。
たとえば、匿名のJupiter DAOガバナンス参加者であるThisisfun氏は、次のように批判していた。
チームメンバーがこれほど大量のJUPトークンを保有し、投票権を与えられれば、簡単に結果を自分たちに有利に傾けることができる。これは間違っており、容認できない。
批判を受けて、Jupiterの共同創設者であるMing Ng氏はガバナンスフォーラムで、自分ともう一人の共同創設者Siong Ong氏はDAOの投票には参加しないと確言した。
一方でNg氏は、匿名の3人目の共同創設者はステーキング報酬の獲得は停止するが、これまでの貢献とプロジェクトの先行きを気にかけていることから引き続き投票には参加するとコメントしている。
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