はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

今更聞けない:ビットコインは実際法定通貨より何が優れてるのか?|仮想通貨の金融変革に焦点を当てた分析レポートが公開

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

仮想通貨による金融変革に焦点を当てたレポートが公開
Bitcoinが世の中に受け入れられたら、金融システムは根本的に変わるのだろうか? 相場下落とともに期待感も下がりつつある状況下で、Bitmexが分析を行なったレポートを公開した。

Bitcoinは金融システムを変える力を持つか

ビットコインが世の中に受け入れられたら、金融システムは根本的に変わるのだろうか? 誰しもが一度は考えるテーマについて、仮想通貨取引所BitMEXがレポートをリリースした。

BitMEXはレポートにて、銀行融資のよくある誤解と、銀行が与信水準を拡大する能力が経済にもたらす意義について考察している。お金固有の特性を分析することで、考察が事実だと説明できるという。

電子取引され、第三者に仲介されない…なぜビットコインが従来の貨幣と比べて独特な特性を持つのかを考えると、与信サイクルを回すのに銀行預金は不要となることが分かると述べた。

与信拡大のダイナミクスとは

これまでの銀行システムと現代経済の核心的特徴として、大規模預金の受入機関(銀行)の力が経済における与信(債務)水準を拡大するというものがあった。

水準拡大を銀行の準備金で賄う必要はそもそも無く、多くの人が誤解しているポイントだとBitMEXは指摘する。

小規模な金融機関や一部の例外を除いて、銀行は融資を行うために準備金、流動性資産、または「現金」といったものは必要としない。

BitMEXはシンプルな例を挙げた。

  1. 大手銀行(ここではJPモルガン)が、5,000万円のマイホームを買おうとしている顧客に住宅ローンを提供
  2. JPモルガンが顧客に5,000万円の小切手を発行
  3. 顧客がJPモルガンにある自身の口座に5,000万円を預金
  4. 顧客が5,000万円の小切手を書き、不動産販売会社に手渡し
  5. 不動産会社がJPモルガンにある自社の口座に5,000万円を預金

この例を見ると、お金は銀行システム内に「閉じ込められ」ており、銀行が融資のために新たなお金を必要としなかったことが分かる。現実には、不動産販売会社は他行を使っているかもしれないが、大手銀行のシェアはご存知の通りであり、平均すると新規貸付を行うことで銀行内の流動性資金は増加しているのだという。

銀行預金と現金、どちらが勝るのか

預金を要さずに銀行が与信を拡大する能力は、お金の本質的な特徴と基本的な性質の結果によるものだとBitMEXは語った。

人々や企業が、心理的かつ論理的・実用的な理由から銀行預金を「現金」と同じように扱う。だからこそ、預金は引き出されることがなく、銀行は上記のような与信拡大が可能なのだという。

実際には、銀行預金は現金で持つよりも優れた面が幾つもあるとBitMEXは指摘した。

セキュリティ:銀行では何重もの先進セキュリティで保護されており、万一の盗難時に備えて保険も掛けられている(自宅での大量現金保管は盗難・破損に対して脆弱なだけでなく、現金は保険対象とならず、金庫費用も嵩む)

電子送金:銀行システムを用いてネットや電話から低額・高速に送金可能(現金送金は遅く非効率なだけでなく、物理的な送金は安全でもない)

利便性:銀行でお金を管理すると、携帯やPCから決済できるなど便利な機能もついてくる。送金金額と着金金額がずれることもない(現金の取り扱いは時に不便で面倒であり、正確な着金金額が分からずに計算を必要とすることもある)

可監査性:伝統的な銀行は全取引を追跡・管理・監視して詐欺を防止するが、これが当局への報告や可監査性を向上させている(現金の記録付けは効率性に乏しく、詐欺にあう可能性も上がる)

銀行預金vs.現金vs.電子通貨

BitMEXは、銀行預金の強力な利点として、電子的に使用することができるという面に触れてきたものの、物理的な紙幣や硬貨にも重要な利点があると述べている。

次の表は、銀行預金、現金、ビットコインのような電子通貨について機能概要を纏めている。

法定通貨(フィアット)の利点

  • 銀行が支払不能またはアクセス不能になった場合でも、資金は完全に保護されている
  • 当局が資金を没収することが困難である
  • 資金を当局から効果的に隠匿することができる
  • 取引を簡単に差し止めできない
  • 送金の匿名性が高い
  • 送金は取り消せない
  • 送金は瞬時に行える
  • 支払いは週7日24時間行える
  • 送金手数料はゼロ
  • 支払いは、停電時や通信ネットワーク遮断時にも機能する
  • デバイスを購入または所有せずにお金を使用できる
  • 誰もが許可を求めることなく、システムを使用することができる

電子システムの利点

  • インターネットを介して支払い可能である
  • お釣りの計算が不要である
  • 支払いを記録させることが簡単である
  • 資金が盗難から守られている

上記のように、現金には常にニッチなユースケースがあるものの、BitMEXは大部分のユーザーにとっては、銀行預金は現金より優れていると語る。

だからこそ、銀行預金には、常に高い需要があり、銀行は与信を拡げることができるのだという。

Bitcoinの特性とは

上の表で説明してきたように、BitMEX によれば、ビットコインをはじめとする電子通貨は、現金が銀行預金に対して勝っていた点の多くをカバーしている上で、更に電子的に使うことも可能という両揃いの面に独自性があるという。ビットコインが登場する以前、人々は現金か銀行預金を二者択一する必要があった。

持参人払い(持っている人が使える)タイプ貨幣vs電子タイプ貨幣

タイプ別比較表
種類 貨幣タイプ 電子タイプ
現金(紙幣と硬貨) ×
電子化されたお金(銀行預金) ×
電子通貨(ビットコイン)

現金と銀行預金の二者択一ということは、持参人払い(持っている人が使える)と電子タイプの貨幣のどちらか一方しか選べなかった訳だが、BitMEXはビットコインの登場によって、両者の特性を兼ね備えた選択肢が登場したのだと伝えた。

Bitcoinにある制限とは

ビットコインが現金と銀行預金それぞれの長所を全て備えているわけではないが、双方のサブセットを併せ持つ中間的な存在として新たな選択肢を提供することに意味があるとBitMEXは述べる。

ビットコインは従来の電子決済システムの処理能力や、現金のように電気無しで使用する能力は決して持っていない。しかし、技術が進歩するにつれて、ビットコインはゆっくりと強みを発展させ、能力を向上することでギャップを埋めていくだろうとBitMEXは伝えた。

それぞれの通貨特性が与信拡大にもたらすもの

現金vs.銀行預金、ビットコインvs.ビットコイン預金の比較は以下の通り。

セキュリティ

  • 金融機関に預金することで、自宅に多額の現金を持つことによる盗難・損害リスクと比べてセキュリティが向上
  • ビットコインは、資金を銀行に預金することなく、高度なセキュリティを実現可能

電子送金

  • 銀行システムを利用することで、インターネットや電話を介し、低コストで世界中に送金可能。現金を物理的に転送する場合は低速で安全性も低い
  • ビットコインでは、金融機関に入金することなく、ユーザーがインターネットを介して効率的に送金可能

利便性

  • 銀行システムを使ってお金を管理すると、携帯電話やパソコンでお金を支払えるなど便利な機能も享受可能。また正確な金額で着金
  • ビットコインを使用すると、ユーザーは携帯電話からお金を利用できる上、着金金額も変わらないため、入金額の調整も不要。金融機関への入金も不要

預金の引換機能

  • 伝統的な銀行システムでは、金融機関から物理的な現金を引き出すには、プロセスに長い時間が必要。したがって、銀行は大量の現金を準備金として保管する必要は無い。
  • ビットコインを使用すると、ユーザーは預金受入機関からすばやく資金を引き出すことが可能。これにより、銀行は常に十分なビットコインを確保しておく必要が発生

可監査性

  • 銀行は全取引を追跡・監視。これは詐欺を防ぎ、説明責任の向上に寄与。現金にはこのような機能はない
  • ビットコインのブロックチェーンまたはその他の電子データベースを利用することで、第三者の金融仲介業者を使用せずに、ユーザーが取引を効果的に監査・監視可能

ハイブリッドバンキング

  • 従来の銀行モデルでは選択肢は二者択一で中間選択肢はなし(1.現金を利用者が完全管理 2.金融機関への入金)
  • ビットコインは、より広範囲の預金とセキュリティモデルを可能することで、より複雑な与信拡大のダイナミクスをもたらす。

ハイブリッドバンキングのビットコインの例では、「銀行が1つの鍵を保持し、ユーザーが別の鍵を保持する、2 of 2多重署名ウォレット 」、「 銀行が1つの鍵を保持し、ユーザーが別の鍵を保持する1 of 2多重署名ウォレット」などが挙げられていた。

ビットコインは金融システムを変革するか

BitMEXが語ったように、ビットコインのような電子通貨は、従来の現金と銀行預金それぞれの利点を少しずつ併せ持つという面で、これまでに存在しなかった中間選択肢を金融システムにもたらそうとしている。

技術発展によって、中間選択肢自体の強化も為されていくだろう。

与信拡大が小さいということは経済にどのような影響があるのだろうか。

ビットコインはこれまでのお金とは特性が異なっており、何十年にも渡って行われてきた経済の議論を当て嵌めることには、より多くの情報が必要だろうとBitMEXは述べた。

与信拡大サイクルによって引き起こされるデフレやインフレは、銀行預金や負債のもたらしたものとは様変わりするかもしれないという。

BitMEXは、ビットコインは必ずしも優れた経済モデルをもたらす訳ではないかもしれないと述べた。そのうえで、ビットコインが従来の経済モデルを少々ユニークで興味深いものにするような、そんな特性を秘めているかもしれないと示唆した。

▶️本日の速報をチェック

合わせて読みたいCoinPostの関連記事

次世代のWeb 3.0|Consensysの創業者が語るイーサリアムの可能性と今後の躍進
イーサリアムに注力したブロックチェーン企業Consensysの創業者であるJoseph Lubin氏は、今後のWEB2.0からWEB3.0への移行においてイーサリアムが主導権を握って牽引していくと力説した。
ブロックチェーンは主要産業をどのように変革するのか
今後の発展がますます期待されているブロックチェーンが、特に活躍するであろう分野は、投票、不動産、輸送、サイバーセキュリティ、そして、銀行業の5分野であるとGeorge Beall 氏は述べました。また、既に実用化の段階まで進んでいるものもあります。
CoinPostのLINE@

スマートフォンへの「プッシュ通知」で、相場に影響を及ぼす重要ニュースをいち早く知らせてくれる「LINE@」の登録はこちら。大好評につき、登録者10,000名突破。

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10/10 金曜日
16:47
ジャック・ドーシーのブロック社、ビットコイン決済・ウォレットソリューション「Square Bitcoin」提供開始へ
ジャック・ドーシー氏率いる米ブロック社が、Squareで仮想通貨ビットコイン決済・変換サービスを開始する。初年度手数料無料で、売上の一部をBTCに自動変換可能だ。
16:09
ビットコイン、2030年までに金と並ぶ中央銀行準備資産に ドイツ銀行が予測
ドイツ銀行のアナリストらが、ビットコインが2030年までに中央銀行の準備資産となると予測した。ボラティリティ低下や規制整備が進む中、ビットコインは、金と共に中央銀行のバランスシートに共存する可能性があると見ている。
15:23
カルビー×SNPIT「じゃがりこ」NFTコラボ発表 10月15日から販売開始へ
ブロックチェーンゲームSNPITとカルビーが「じゃがりこ」NFTコラボを開始。10月15日から段階的に販売。ミントスクロールを使って新カメラBOXを生成可能。価格や販売スケジュールの詳細を解説。
12:05
ステーブルコイン史上最大の買収案件か、コインベース・マスターカードが買収競合=フォーチュン誌
コインベースとマスターカードがステーブルコイン企業BVNK買収で競合している。過去最大規模の20億ドル案件となる可能性。ステーブルコインブームが本格化か。
11:57
大口投資家が4億ドル超のビットコインショート、市場は冷静な反応
暗号資産(仮想通貨)市場では、大口投資家が4.2億ドルのビットコインのショートポジションを構築し市場に警戒感。一方で現物ETFへの資金流入は8日連続で継続。ビットコインは121,000ドル台で推移し、短期的な値動きに注目が集まる。
11:03
BitLendingが最高料率10%を出せる理由──J-CAM運営メディアIolite編集長に聞いた暗号資産レンディングの未来
日本発の暗号資産レンディング「BitLending」。J-CAM・Iolite編集長の八木紀彰氏に、業界最高水準10%の料率を実現する理由とFireblocksによる堅牢なセキュリティ体制、海外展開について聞いた。
10:18
ルクセンブルクの政府系ファンド、ビットコインETF投資が明らかに
ルクセンブルクの財務大臣は、同国の政府系ファンドFSILがポートフォリオの1%を仮想通貨ビットコインのETFに投資していると明かした。政府承認の新たな投資方針を適用している。
09:47
アーサー・ヘイズが「ビットコイン相場の4年サイクル」終焉を主張 米中通貨供給に注目
仮想通貨アナリストのアーサー・ヘイズ氏が、ビットコインの半減期サイクル終焉を予想した。米中の通貨供給変化が価格を左右すると分析し、トランプ政権下での上昇要因を解説している。
09:32
ブラックロックのビットコイン現物ETF、BTC保有数量が80万枚超え
ブラックロックの仮想通貨ビットコイン現物ETFのIBITは、保有するビットコインの数量が節目の80万BTCを超えた。ビットコインの最大供給量の3.8%超に達している。
08:00
Aleo創設者が語る「プライベートスマートコントラクト」の将来性と日本市場への期待|CoinPostインタビュー
革新的ブロックチェーン「Aleo」を創設したハワード・ウー氏に独占インタビュー。ゼロ知識証明技術の可能性、プライベートステーブルコインの未来、規制当局との連携、そして日本市場への展望を語ります。
10/09 木曜日
17:13
米最大手取引所コインベース開発のBaseが「トークン専門家」を募集開始 独自トークン検討か?
コインベース支援のイーサリアムLayer 2プロジェクトBaseが「トークン・ガバナンス調査専門家」の採用を開始。独自トークン発行に向けた計画が本格化か。
16:18
大手予測市場ポリマーケットに独自トークン発行の可能性、ICE投資後にCEOが示唆
予測市場大手ポリマーケットのコプランCEO が独自トークン「POLY」発行をXで示唆した。3000億円規模のICE投資発表後のタイミングで憶測が広がっている。
14:52
Binance Japan、PayPayと資本業務提携契約を締結 PayPayマネーによる仮想通貨購入サービスを検討
日本のキャッシュレス決済最大手PayPayが、世界最大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスジャパンの筆頭株主に。40%の株式取得により資本業務提携を実現し、PayPayマネーで仮想通貨を購入・売却できる新サービスを展開予定。7000万人のユーザー基盤と世界2.9億人のBinanceネットワークが融合し、日本のデジタル金融に革命をもたらす提携内容とは。
14:13
ソラナDEXジュピター、独自ステーブルコイン「JupUSD」発行へ エセナと提携
仮想通貨ソラナ最大のDEXアグリゲーター「ジュピター」が独自ステーブルコイン「JupUSD」を2025年中にローンチ予定だ。エセナと提携しUSDtbを担保に採用するとしている。
11:46
ビットコイン高止まり、過去最高水準の機関投資家需要とBNBミーム熱が市場牽引
仮想通貨市場で2つの大きな動きが確認された。1. ビットコインETFへの資金流入が過去最高水準に到達、大手金融機関の配分解禁で機関需要が加速。2. バイナンスのBNBチェーンのミームコイン市場が急拡大、10万人超の新規トレーダーが流入し取引量8200万ドル超え。最新市況を分析。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧