
*本レポートは、X-Bankクリプトアナリストである仮想NISHI(@Nishi8maru)氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
仮想通貨マーケットレポート(9/30 AM10時)
仮想通貨ビットコイン(BTC)市場は28日から30日朝にかけて急騰した。背景には、バンス米副大統領が「米国は連邦政府機関の閉鎖に向かっている」と発言し、議会における予算案の民主党支持が得られず、10月1日から米政府の一部閉鎖が現実味を帯びたことがある。こうした政治的不確実性を背景に、無国籍資産であるビットコインへと資金が逃避的に流入している状況である。

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9月29〜30日相場状況
デリバティブ市場では、先物価格が現物価格を下回る「バックワーデーション」の状態が確認されている。これは、市場でビットコインの需給が逼迫し、現物の需要が強まっていることを示唆するものである。

成行注文の動向を見ると、急騰局面において値ごろ感からショートポジションが増加している。未決済建玉(OI)も増加しており、短期的にはショートカバー(売りの買戻し)を契機としたさらなる上昇の可能性が高まっている。

オプション市場においては、コールポジションの急増によりプット・コールレシオ(PCR)が低下している(下画像赤枠・黄矢印)。これは投資家態度が急速に強気へと転じていることを意味している。

他アセットクラスとの相関を2カ月間で分析すると、S&P500との相関係数は−0.10、Nasdaq100とは+0.02とほぼ無相関である。株式市場や金利市場との連動性が乏しく、ビットコインが独自の値動きを示している点が特徴的である。

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現状分析(9/30日 AM10時)
ビットコインは法定通貨や国家に依存しない無国籍資産であり、政府機能や金融システムが不安定化する局面において上昇する傾向を持つ。
過去にも同様のパターンが確認されている。たとえば、2018年末から2019年初頭にかけての長期的な米政府閉鎖時には、リスク回避資金の一部がビットコインに流入した。また、ロシア最大手銀行ズベルバンクへの金融制裁、キプロスの預金封鎖など、国家主導の金融統制が強まった局面でもビットコイン価格は上昇した。
これらの事例はいずれも、「国家の信用リスク」が高まる局面で、非中央集権的な価値保存手段としてのビットコインの存在意義が再評価されることを示している。
今回の政府閉鎖懸念もその一環とみられ、米国の財政構造的な脆弱性を背景に、短期的な需給要因と中期的な投資テーマの双方からビットコイン市場が活発化している状況である。
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