
*本レポートは、X-Bankクリプトアナリストである仮想NISHI(@Nishi8maru)氏が、CoinPostに寄稿した記事です。
仮想通貨マーケットレポート(10/3 AM8時)
仮想通貨ビットコイン(BTC)市場は10月1日以降、上昇基調を強め、3日にはついに12万ドルを突破した。米政府の閉鎖が実施されたことを受け、特定の国家や金融システムに依存しない「非中央集権的な価値保存手段」として、ビットコインの存在意義が再評価されたことが主因である。

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10月2〜3日相場状況
デリバティブ市場においては、先物価格が現物価格を下回る「バックワーデーション」の状態が1日以降、顕著に継続している(下画像赤枠)。この現象は、現物のビットコインに対する需要が急速に高まり、市場全体で需給が逼迫していることを示唆するものである。

オプション市場では、コールポジションの急増によってプット・コールレシオ(PCR)が大幅に低下しており(下図赤枠・黄矢印)、投資家の態度は急速に強気へと転換している。13万ドルおよび14万ドルの権利行使価格の建玉も増加していることから(下画像赤枠)、市場参加者の多くがさらなる上昇を見込んでいることがうかがえる。

他アセットクラスとの相関を2カ月間で分析すると、S&P500との相関係数は−0.29、ダウとは-0.41と金(ゴールド)とは-0.41であり、ほとんどの主要アセットクラスとはやや逆相関に動いている。株式市場や商品市場との連動性はやや乏しく、ビットコインが独自の値動きを示している点が特徴的である。

暗号資産市場全体では、日本企業が運営するマイニングプールにおいてハッキングによる流出事件が発生したことが波紋を広げている。その影響により、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)形式の通貨群が変調をきたしている。特にドージコイン(DOGE)、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)などでは、先物価格が現物価格を際立って下回る状況が確認されており、これら通貨の需給は急激に引き締まりを見せている。

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現状分析(10/3日 AM8時)
現在のビットコイン市場は、主要アセットクラスとの相関が低下し、独自の上昇トレンドを描いている。米政府の閉鎖および財政問題が続くなか、ビットコインの「無国籍資産」としての特性が市場で強く意識されている点が特徴的である。
さらに、米政府閉鎖が10日以上続くとの報道もあり、リスク回避資産としての需要が一段と高まっている。
短期的な過熱感はあるものの、依然として売られすぎの状態にあり、12万4千ドルの史上最高値をうかがう展開が現実味を帯びてきている。
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今後の重要な日程
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