FRBの政策変更を警戒
世界最大級のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」創設者レイ・ダリオ氏は6日、Xに投稿した記事「バブルへの刺激」で、現在の経済状況における米連邦準備制度理事会(FRB)の量的引き締め(QT)終了と量的緩和(QE)再開の決定は、「バブルをさらに悪化させる刺激策」となる可能性があると警告した。
FRBが過去に実施したQEは、資産安や経済の弱体化、低いインフレ率、流動性の問題などを抱えた「不況への刺激策」だったが、今回は全く逆の状況下で行われようとしている。
- 資産価格は高値圏で上昇傾向にある(S&P500の益回りは4.4%、10年国債の名目利回りは4%、実質利回り1.8% = 株式リスクプレミアムはわずか0.3%と低い)
- 経済は比較的堅調(過去1年間の実質成長率は平均2%、失業率は4.3%)
- 脱グローバル化や関税コストが価格を押し上げており、インフレ率はやや高め(約3%強)
- 信用・流動性は豊富で、信用スプレッドは過去最低水準に近い
ダリオ氏は、現在のQEは「バブルへの刺激」と言えるとして、次のように述べた。
政府の財政政策は現在、巨額の既存債務と短期国債の大量発行による巨額の財政赤字により、非常に景気刺激的になっているため、量的緩和は、単に民間金融システムに流動性を再供給するというよりも、政府債務を実質的にマネタイズすることになるだろう。
まさにこのような点が、今回の状況をこれまでのQEと異なるものにしており、「より危険でインフレを引き起こしやすい」と同氏は警鐘を鳴らした。
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相場が急上昇する可能性
ダリオ氏は、以下に示すような現在の状況は、同氏の著書「How Countries Go Broke: the Big Cycle」(国家が破綻する仕組み:ビッグサイクル)で解説した「典型的な大債務周期における最終段階の兆候」であると指摘した。
- 米国債の供給が需要を上回る
- 中央銀行が「紙幣を刷り」債券を購入
- 長期債の需要不足を補うために、財務省が売却債券の償還期限を短縮
同氏の「大周期(Big Cycle)理論」とは債務、政治、社会、通貨などの構造が数十年単位で繰り返す循環的な変化を捉え、国家や経済の盛衰を分析するフレームワークだ。歴史を振り返ると、オランダや大英帝国、中国などの強力な国々もこの周期を辿ってきた。アメリカ合衆国もこの周期から逃れることはできないとしている。
今、75年の周期をもつ「大債務周期」における典型的な節目が近づいていると同氏は主張している。
FRBによる量的緩和の拡大は、リスクプレミアムや実質金利の低下、株価収益率の上昇につながる。特に長期的なキャッシュフローを生む資産(テック・AI・グロース株など)や、金(ゴールド)やインフレ連動債といったインフレに強い資産の評価額を押し上げる効果が期待されると述べた。
しかしその後、QEはインフレ率をさらに押し上げると予想される。QEによって実質金利が下がってもインフレ期待が上昇した場合、実質リターンは低下することになる。
1999年末や2010〜2011年と同様、強力な流動性による相場の急上昇(メルトアップ)が起こることを想定するのは妥当だろう。ただし、それはやがてリスクが過度に高まり、抑制せざるを得ない局面に至る可能性が高い。
ダリオ氏は、このメルトアップ(価格急騰時)時、およびバブルが最も膨らみ、インフレ抑制のための金融引き締めが始まる直前が、「売り抜けのベストタイミング」であると指南した。
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