予測市場の社内トレーダー募集
暗号資産(仮想通貨)取引所Crypto.com(クリプトドットコム)は、米国でスポーツイベント予測のマーケットメイキングを行うトレーダーを募集している。
求人情報によると、この職務はスポーツイベント契約の価格設定と流動性提供を行うものである。スポーツイベント契約(コントラクト)とは、ユーザーが現実世界のスポーツイベントに関連して「イエス」あるいは「ノー」の結果を取引できるものだ。
Crypto.comは今年、スポーツゲーム企業Underdogと提携してスポーツの予測市場を立ち上げている。アメフトのNFLやプロバスケットボールのNBAその他の試合結果に賭けることができるものだ。米商品先物取引委員会(CFTC)の規制下で運営されており、今回の求人もこれに関連しているとみられる。
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予測市場とは
将来起こる出来事の結果に対して「当たると思う結果」に資金を投じ、賭けを行う市場。ある出来事が起こる確率を集合的に予測することにも繋がるとされる。
求人によると、米国におけるこの仕事は最低年収12万ドル(約1,870万円)。市場の継続的な相場情報提供、リスク管理、試合の展開や新たな情報の発生に応じたリアルタイムの価格調整を行う責任を負うことになる。
また、リスクを慎重に管理しながら利益を最大化することが職務として期待されるとも記述され、目標の一つは取引で利益を上げることだと示唆される。
予測市場業界は最近、急速に成長しており、ポリマーケットおよびカルシという2大プラットフォームは11月に合計約80億ドル(約1.2兆円)の取引高を記録した。ポリマーケットは特に、昨年の米大統領選の際にユーザー数が急速に増えたことで知られている。
米大手仮想通貨取引所コインベースも今月、ユーザーが政治、スポーツ、経済指標などの結果予想を取引できる市場機能の提供を開始。「ワン・ビッグ・ビューティフル・ビル法」が来年発効することで、予測市場がギャンブルよりユーザー獲得の上で有利になると述べていた。
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予測市場には法的な議論も
一方で、予測市場が法的な議論の的となる事例も見られる。米コネチカット州の規制当局は先週、Crypto.com、カルシ、ロビンフッドに対して、州民向けのスポーツイベント契約を停止するよう命じたところだ。
これらの契約は、商品先物取引委員会(CFTC)からの承認を受けている。しかし、州当局は「無認可のスポーツ賭博」に該当すると主張していた。
今回のCrypto.comの求人については、顧客と反対の売買をする場合、顧客が負けた場合に取引所が儲かる構造となり利益相反になる可能性を指摘する声もある。
これに対してCrypto.comは、同社は自己勘定取引を主要な収益源としておらず、社内マーケットメイカーが、他の一般ユーザーより先に、独自データや顧客の注文フローにアクセスすることはないと反論した。
また、Crypto.comの社内トレーディングチームは、CFTCに完全な情報開示を行っており、プラットフォーム上の競争と流動性の向上により全体的な顧客体験を向上させることができるとも続けている。
11月、競合のカルシには米国で集団訴訟が提起された。訴状によると、原告は一般ユーザはカルシのマーケットメーカーである子会社のカルシ・トレーディングなどと反対のポジションに賭ける場合が多く、ユーザーに不利になることがあると主張している。
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