- ビットコインのハードフォークにより誕生予定のビットコインゴールドの詳細記事
- ビットコインという名前が含まれているために誤解しやすいですが、アルトコインの一種です。ビットコインのマイニングに注目して、その問題点の改善を目指したものです。
- ビットコインゴールドには幾つかの問題点があるため取扱いを予定していない取引所が多い
- プレマイン(非公開環境における採掘の独占)が行われている、リプレイ攻撃保護がされていない等といった問題点があります。
通貨名 | ビットコインゴールド |
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通貨コード | BTG |
ハードフォークブロック数 | 491,407 ブロック |
ハードフォーク予定日時 | 2017 年 10 月 25 日頃(ブロックの進行状況に左右される) |
通貨ジャンル | ビットコインから派生したアルトコイン |
前提知識(BTGと同様にビットコインから派生したBCH)
ビットコインゴールドを知る前に、同じハードフォークのやり方で生まれたビットコインキャッシュの説明をいたします。
ビットコインキャッシュは2017年8月にビットコインからハードフォークをして生まれた派生通貨でありアルトコインです。
ビットコインに人気が集まり本来のポテンシャルではその取引量をこなす事ができないことからの取引スピードの低下などスケラビリティという問題が、話題となりました。
ビットコインキャッシュは、このビットコイン自体をアップグレードしよう(これが後のSegWit2xのようなやり方です)というやり方ではなく、ビットコインの性質をそのまま受け継ぎより大量の取引が可能となる”ビットコインの上位互換”を目指した新しいアルトコインとして、一部のビットコインマイナーにより生み出されました。
ビットコインゴールドの概要
ビットコインゴールドも、ビットコイン自体をアップグレードするわけではなく、ビットコインの問題点を改善した新たな通貨を発行する事を目的した、ビットコインキャッシュと同様のハードフォークとそれに伴う通貨発行方法をとっています。
ビットコインゴールドの目的は、ビットコインキャッシュがビットコインのスケラビリティに注目したように、ビットコインのマイニングに注目して、その問題点の改善を目指したものとなります。
ビットコインは現在中国マイナーを中心に数社がほとんどマイニングのハッシュパワー(マイニングする力)を有しています。
これはビットコインが目指す非集権化である、一つの権力に依存しない通貨という概念に反していると捉え、世界で議論されています。
このようにマイナーの中央集権化やマイナーの急激な成長への抵抗から生まれ、その状況を打開するビットコインを目標に作られます。
ビットコインのマイナーたちは、全力でビットコインのマイニングに投資しており、マイニング専門に設計されたASICコンピューターという特殊な高い計算能力をもつプロダクトを使用しています。
このASICは非常に高価で、規模を広げる程コストを削減できるスケールメリットが適用されます。
結果的に、ビットコインネットワーク上の、メジャーなマイナーたちにビットコインをマイニングする権利が中央集権化されてきていて、数少ないマイナー(やマイニングプール)がビットコインのマイニングを独占しているという状況が出来上がってきています。
しかし、ビットコインゴールドでは、新たなネットワークで新たなマイニングアルゴリズムを設定し、承認ルールを変更する予定です。
このアルゴリズムの変更は、ASICを牽制し、比較的簡単に手に入るGPUでのマイニングを可能にし、少数マイナーによるマイニングの独占を軽減、幅広い人がマイニングできるビットコインを目指します。
ただこの目指すという意味は、ビットコインとして目指すのではなく、ビットコインから派生したアルトコインであり違う通貨として目指すことになります。
ハードフォークはいつ行われるのか?
ハードフォークは、元のビットコインから派生するためビットコインのブロックチェーン(Bitcoin Core)に依存します。
このビットコインのブロックチェーンはこちらから確認できます。
直接BTGの正確なハードフォーク日程を確認したい方はこちらから
このビットコインブロックチェーンのブロック数が 491,407 ブロックにハードフォーク実行システムが設定されており、ハードフォークが行われます。
よってブロックの進行速度によって時間は多少左右されます。
25日に予定されていたBTGハードフォークですが、現在のハードフォーク進行状況では日本時間24日 21:40頃を予定しています。
取引所がBTGを付与するタイミングは?
各取引所の対応予定は異なります。詳しくはこちらでまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
現在CoinPostで把握している範囲ですが、BTGを付与した上で、取引所で扱うと表明している日本の取引所はbitFlyerのみ、また海外取引所ではHitBTCとなります。
BTG付与を表明している中で、多くの顧客を有する取引所は、ハードフォーク時、取引所がBTG付与のために行う、取引所の顧客のウォレット内にある保有資産の証明”スナップショット”を基準にします。
このスナップショットに付与を表明する取引所が対応する形となり、これが完了した段階で顧客のBTG量が確定になることが多いでしょう。
このアナウンスが、BTGハードフォーク後に付与を表明する取引所から行われると予想されます。
また日本人が多く利用する海外取引所Bittrexでは、現在BTGハードフォークに対応するため、BTCの入出金を停止していますが、これの解除はスナップショット完了と共に行われる予定です。 (正確な情報は公式アナウンスを参考にしてください。)
なぜBTGを取り扱う取引所が少ないのか?
ビットコインキャッシュがハードフォークした際、取り扱いを行う取引所は多く、付与も後々ですが多くの取引所がハードフォーク時のスナップショットに添って、BCH付与を行い取引所上場を行いました。
これには幾つかの理由があると考えますが、ビットコインから派生し、ビットコインと名がつくハードフォークがあまり行われていなかったこと(この時点ではこのようにビットコインの名がつく派生コインの誕生が相次ぐことはあまり予想されていなかった)や、 BCHをサポートや計画した団体が大手マイニングファームであったことなど、大手のマイナーが付きハッシュパワーを確保できることから通貨としての未来があったことなども考えられるでしょう。
また取引所上場の際に重要視される、リプレイ攻撃の保護が備わっていたことも大きな利点となります。
BTGは、これに対し付与を行うための準備はBTCブロックチェーンに依存するため正常にスナップショットを確保できます。
しかしハードフォークが行われた後のBTGブロックチェーンに変更後、リプレイ攻撃に不安点があることや、取引所が取引を実装するプログラミングを書くためのソースコードが十分でないことも大きな原因となっています。
詳しい原因はビットバンク様の説明がとても詳しかったため引用紹介いたします。
プレマイン
10月19日時点において、BTG(github.com/BTCGPU)には8,000Blocksのプレマイン(非公開環境における採掘の独占)が含まれます。
プレマインは公平な分配が行われず、マイナーが利益を独占することができるため、その是非は度々議論の的になっています。
Equihash PoWのコードが完成していない
BTGはCPU/GPUで採掘できることを標榜する仮想通貨ですが、10月19日時点においてEquihash PoWへの移行が完了しておりません。
これからユニットテスト及びリグレッションテストを実施する予定ですが、予定日までの時間が残されていません。
リプレイ攻撃保護がされていない
9月29日に、Bitcoin Cashで用いられたSIGHASH_FORKIDによるリプレイ攻撃保護が提案されていますが、10月19日時点において導入の検討が行われていません。
分岐を前提としたハードフォークを行う場合、リプレイ攻撃保護を明示的に行う必要があります。
リプレイ攻撃保護が行われていない場合、分岐したコインを使用することにより、予期せずもう片方のコインも同時に送信してしまい資産を失う恐れがあります。
リスケジュールの可能性
BTGは当初、8月31日に16,000ブロック(200,000BTG)のプレマインを行い、これを10BTG=1BTCの価格で販売するICOを計画していましたが、計画の見直しを行っています。
Bitcoin Goldに対するビットバンクの対応方針について
2017年10月19日 by bitbank, inc.
参考記事はこちらから
このように多くの問題点を抱えています。
ハードフォーク後状況は大きく変化する可能性はありますが、現在の状況では取引開始を行うには危険な状況ではないか?というのが世界の取引所関係者の考えであることは間違い無いでしょう。
CoinPostの考察
このように多くの問題を抱えてると考えられるBTGハードフォークですが、BCHのハードフォーク時大きな価格をつけたため、世の中では大きく話題となり、ハードフォークの日にちに備えビットコインの価格が上昇しています。
ただビットコインキャッシュと同じ形で行われるハードフォークですが、状況は大きく違うことを頭に入れた上で、より確実な方法でハードフォークに備えることが重要になるでしょう。
またこちらで、ビットコインゴールドだけでなく、次回行われる可能性があるSegWit2Xのハードフォーク対応方法もご紹介しています。