- ブロックチェーン技術の市場価値
- 自動車産業・航空宇宙産業・航空機産業におけるブロックチェーン技術の市場価値が、2029年までの10年間に約20兆円(2000億ドル)に達すると発表された。業務効率化やコスト削減などに期待が集まる。
ブロックチェーン技術の市場価値を分析
フランスに本社を置く専門データ分析会社Reportlinkerによれば、自動車産業と航空宇宙産業、航空機産業におけるブロックチェーン技術の市場価値は、2029年までの10年間に約20兆円(2000億ドル)に達する。
これは、2018年時点での市場価値が約1500億円(13.8億ドル)だったことを考えると顕著な成長だ。2029年までの1年ごとの平均成長率は60.35%に上る。
これらの産業にブロックチェーン技術が適しているのは、ブロックチェーンに透明性があり、詐欺リスクの軽減や取引コストの削減、また決済のスピード向上、そして組織のまとまりが期待できるからだ。
自動車産業における財務や決済や保険、あるいは航空宇宙産業と航空機産業における製造や複雑な供給販売網の管理などにブロックチェーン技術が活用されている。
しかし、課題もまだ残されている。規制整備やインフラ構築や技術の標準化が遅れており、業界にはまだ専門技術不足や、またその技術への意識不足が見られる。こういった課題が成長の阻害事実だ。
こういった課題を克服し、自動車の所有権の委譲業務や航空宇宙産業と航空機産業にもさらにブロックチェーン技術の導入が進めば、市場は今よりもはるかに成長すると期待されている。
分析の詳細
これらの産業において、ブロックチェーン技術の普及に重要な役割を果たしているプレイヤーには、有名企業が名を連ねている。
IBM、アマゾン、マイクロソフトをはじめ、欧州大手ビットコインマイニング企業Bitfury、ブロックチェーン企業のR3, また仮想通貨イーサリアムの開発に携わるイーサリアム財団や、企業向けに決済システムなどを提供するリップルラボなどが含まれている。こういった企業が携わっていることも、成長の期待を抱かせる要因だろう。
また、地域別に見ると、北アメリカでこれらの産業においてブロックチェーン技術の導入が一番進んでいる。この傾向はこれからも変わらないと見られる。自動運転の乗り物やインターネットに接続された自動車の増加数などが根拠だ。
最後に、種類としてはプライベートブロックチェーンの採用数が多い。参加者が限定されないパブリックブロックチェーンなどと比較して、安全性が高く、処理スピードも速いからだ。また、今後はこの2つを合わせたハイブリッド型のブロックチェーンの導入にも期待を寄せている。