CoinPostで今最も読まれています

【後編】ブロックチェーンは生活者主導社会を加速させる。HAKUHODO Blockchain Initiativeの今後のビジョンとは?

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

伊藤佑介氏インタビュー:生活者主導社会とブロックチェーンの関連性
ブロックチェーンは生活者主導社会を実現させる一助となる。しかし、ブロックチェーンはあくまでそのためのツールの一つである。博報堂が提起している「生活者主導社会」を実現させることに様々な形でチャレンジしていきたいと語った。今回はインタビュー内容の後編をお届けしていく。インタビューの前編はこちらからどうぞ

―「CollectableAD」ではトレーディングカードのようにデジタル広告を集めて、決められた一式を集めると企業からインセンティブをもらえるというお話がありました。どの部分でブロックチェーンを利用されているのでしょうか?

トレーディングカードの価値移転をプライベートブロックチェーンで実装しています。各ユーザーのトレカの保有情報をトークンとしてプライベートブロックチェーンに刻んでいます。

今は、デジタル広告をクリックするとユーザーが取得できるものを、プライベートブロックチェーンのトークンに限定しているのは、ブロックチェーンサービス企業だけでなく、一般企業の皆さんのマーケティングにも使っていただけるようにするためです。

ただ、将来的には、ブロックチェーンサービス企業の皆さん向けに、デジタル広告をクリックするだけで、パブリックブロックチェーンで実装されたNon-Fungibleトークンをユーザーが取得できるようにする構想ももっています。そして、そこまでいければ、まさに「価値交換のインターネット」の実現に一歩近づけるのではと思っています。

―「TokenCastMedia」の第一弾としてサービス展開した、ラジオ番組のリスナーにリアルタイムでデジタルインセンティブとしてトークンを配布できる「TokenCastRadio」で目指すことは?

TokenCastRadioは、ブロックチェーンで実装されたトークンをラジオ番組のリスナーにリアルタイムに配布できるサービスなので、想定している利用対象は、dAppsゲームなどの2C向けのブロックチェーンサービスを展開する企業です。このサービスを通して、ブロックチェーンサービス企業が、メディアや生活者と良い関係性を築けるような社会実装ができればと考えています。

一方で、現在のCollectableADは、2C向けのサービスを展開する一般企業の皆さんにもご利用いただける、ブロックチェーンサービスとして位置付けています。

ブロックチェーン技術はサービスを実現する手段の一つに過ぎないため、CollectableADをご利用いただく一般企業の皆さんには、ブロックチェーンを使っているサービスであるということを意識して頂くことなく、あくまでも生活者参加型のデジタルマーケティングサービスの一つとして活用していただければうれしいです。

また、利用していただいた後に、「前回のデジタルキャンペーンで使ったCollectableADは、実はブロックチェーンで実装されているサービスだったんだね」と結果的に思っていただき、ブロックチェーンを身近なものに感じてもらうことで、ブロックチェーンが一般企業へ浸透する一助になれれば、という気持ちでいます。

ですので、TokenCastRadioとCollectableADの2つサービスの位置づけは、ぞれぞれ明確に分けています。

具体的には、TokenCastRadioは「ブロックチェーンサービス企業を一般社会に繋ぐこと」、CollectableADは「ブロックチェーンを一般企業に浸透させること」を目標にしており、それを実現するために、今後もサービスの展開に力をいれていきたいと考えています。

また、この2つのサービスにエンドユーザーとして生活者に触れていただくことを通して、まだブロックチェーンに対して仮想通貨以外のイメージを持ってない多くの生活者の皆さんに、「価値交換のインターネット」を実現する可能性をもつブロックチェーンの魅力を知ってもらえればという思いももっています。

出典:CoinPost

―生活者の皆さんもブロックチェーンを自然と使っているような世界を実現したいということでしょうか?

はい、技術の普及というのは、社会の理解があってこそですので、広く生活者の皆さんが「ブロックチェーンのサービスって、使ったことあるよね」という状況になっていくとよいと思っています。

そういう普及活動は、企業としての活動だけでなく市民としての活動も必要となると考えているため、企業人としてのHAKUHODO Blockchain Initiativeの活動だけでなく、プライベートで運営に参加しているブロックチェーンエンジニアコミュニティ「BlockchainEXE」の活動もとても大切にしています。

また、「なぜその生活者向けのサービスの実装にブロックチェーン技術を使うのか」という意義についての議論もたくさん起こっていますが、それは段階論の問題で、技術にフォーカスするだけでなく、ブロックチェーンが社会に役立つということを、ブロックチェーン技術を使った具体的なサービスを実装し、それを生活者の皆さんに利用していただき、実際の体験を通して少しずつ感じてもらうことが、一番の近道ではないのかと思っています。

―CollectableADやTokenCastRadioでのトークンの配布という応用例以外にも、いろいろなブロックチェーン応用例があると思うのですが、他にはどういったサービス展開を予定しているのでしょうか?

HAKUHODO Blockchain Initiativeのミッションは、「生活者をエンパワーメントする手段の一つとしてブロックチェーンを活用して、生活者主導社会の実現を後押しする一助となる」ということなので、今後もそれに寄与するものに色々チャレンジしていきたいと考えています。

また、CollectableADやTokenCastRadioで行っているようなトークンの配布ということだけにフォーカスしているわけではありません。あくまで価値交換のインターネットを実現する応用例の一つだと思っています。

目的は生活者主導社会を実現させることですので、色々な方向性でブロックチェーンを応用して行きたいと考えており、トークンの配布以外のアプローチとして、ブロックチェーンサービスのデータ分析を支援するサービス「トークンコミュニティ・アナライザー」も開発しましたし、現在もそれ以外のサービス開発にブロックチェーンベンチャーの皆さんとコラボしながら積極的に取り組んでいます。

―生活者主導社会はどのように発展して行くのでしょうか。

インターネットの登場により企業と同様のレベルの情報発信力を生活者がもちました。

そして、今度はブロックチェーンによって、生活者は企業と同様に価値を自ら創造して自由に交換する力をもつだろうと考えています。

しかし、そこで大事なポイントは、決して企業と生活者の二項対立にはならないということです。

なぜなら、企業とは生活者が社会的に集まった集団であり、また生活者とは企業の商品やサービスに支えられて社会生活している存在であるからです。

そして、この両者の接合点にあるのが社会です。社会とは企業と生活者を結ぶもので、生活者主導社会とは、企業に勤める生活者も自営業の生活者も年金生活の生活者も学生の生活者も、すべての生活者がひとりひとり自律的に自分らしくイキイキと生活を営み、その結果として、みんなで力を合わせて社会を作っていくことだと考えています。

―最後に、今後ブロックチェーンの領域で活動して行く上で、HAKUHODO Blockchain Initiativeとして社会にどうアプローチしていきたいか等、何か今後のビジョンはありますか。

2つのビジョンをもっています。

1つは、生活者をブロックチェーンでエンパワーメントして、生活者主導社会の後押しをすること

2つ目は、価値交換のインターネットを実現することです。

また、アプローチとしては、生活者と企業とメディアの間にいるという博報堂の社会の中での立ち位置を活かして、今後もさまざまなブロックチェーンに関するプロジェクトを主導していく中で、いずれの取り組みにおいても、特にその3者を繋ぐことに貢献できればと思っています。

注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
10/01 日曜日
11:30
相場上昇でBTCは下げ幅を解消、2.8万ドルを試す展開も視野に|bitbankアナリスト寄稿
国内大手取引所bitbankのアナリストが、上昇に拍車が掛かり、前週の下げ幅をほぼ解消した今週のビットコインチャートを図解。今後の展望を読み解く。ビットコイン・オンチェーンデータも掲載。
09/30 土曜日
19:23
a16zが物理製品×NFTドロップのIYKに出資-web3資金調達まとめ
過去1週間にWeb3プロジェクト12社が計約90億円を調達。NFTドロップを実現するNFCチップ提供の「IYK」はa16zらから23億円を集めた。アディダス「NFT NYC 2023限定シャツリリース」の実績を有すIYKは、個人サービス向けサービス基盤をリリース。
15:33
米サークル社がステーブルコインの「非証券性」を主張、SEC対バイナンス訴訟めぐり
米サークル社は28日、バイナンス対SECの訴訟で書面を提出。決済用ステーブルコイン自体は証券ではないとの見解を述べた。
15:17
米Circle、ステーブルコイン運用基盤を無償公開
ステーブルコイン発行の米Circleは、「Perimeter Protocol」をオープンソース化した。リアルワールドアセットのトークン化の需要増加に対応し、USDCのユースケース拡大を狙う。
10:45
スリーアローズ破綻に進展、Zhu氏をシンガポールで逮捕
破綻した仮想通貨ヘッジファンド3AC共同創設者の一人Su Zhu氏はシンガポールで逮捕された。清算人の調査に協力しなかったことで懲役刑となる。
10:05
グーグルクラウド、Polygonバリデーターに参加
Google Cloudが、Polygonのバリデーターとして参加していることがわかった。同社は今年4月からPolygon Labsと「継続的な戦略的協力関係」を維持している。Google Cloud APACは、関連するYouTube動画を公開した。
08:25
SBI、XDC Network運営企業と合弁会社設立へ
SBIホールディングスは、UAE拠点のTradeFinexと日本における合弁会社の設立について基本合意した。仮想通貨XDCの上場を望む取引所のサポートなど、新会社の事業を説明している。
09/29 金曜日
18:24
世界のゲーム企業時価総額トップ40企業のうち、29社がWeb3分野を模索
時価総額上位40のゲーム会社の中で、29社がWeb3分野を模索している。NFTゲームの開発を進めているNexon、バンダイナムコ、コナミ、Krafton、スクウェア・エニックス、ユービーアイソフトの7社を中心に動向をまとめた。
16:53
米決済大手PayPal、NFTの購入・送信システムで特許出願
米決済大手PayPalは、NFTの購入・送信システムに関する特許を米国特許商標庁に申請している。オフチェーン取引機能などを備えるものだ。
13:56
BISと各国中央銀行、CBDC取引の実証実験成功
国際決済銀行は、フランス、シンガポールおよびスイスの中央銀行とともに行った、ホールセール中央銀行デジタル通貨(wCBDC)のクロスボーダー取引および決済の実験に成功したと発表した。
13:00
米コインベース、米国外のリテールユーザーに無期限先物サービス提供へ
米大手仮想通貨取引所コインベースは、バミューダ金融庁から米国外のリテールユーザー向けに無期限先物を提供するライセンスを得たと発表した。
12:53
ビットコインやや反発、MakerDAO(MKR)前月比50.0%高の背景は
暗号資産(仮想通貨)相場では米株指数の反発の影響もありビットコインが反発。アルト市場ではMakerDAO(MKR)が前月比50.0%高となり年初来高値を更新した。
12:00
アジア最大級のWeb3カンファレンス「WebX 2024」、ザ・プリンスパークタワー東京で開催へ
国内最大手の暗号資産(仮想通貨)メディアCoinPostは、アジア最大級のWeb3国際カンファレンス「WebX 2024」の開催を発表した。第2回は、ザ・プリンスパークタワー東京で行われる。
11:38
FTX Japanが支払い能力証明を導入
FTX Japan株式会社のセス・メラメドCOO、顧客から預かった資産の保全状況を証明するため、新機能「Proof of Solvency」を導入したと発表した。取引所の残高が預かり資産を上回っていることを、改ざん不可能で検証可能な方法で証明する。
10:26
イーサリアムのテストネット「Holesky」起動
仮想通貨イーサリアムのブロックチェーンについて、新たなテストネット「Holesky(ホレスキー)」が起動した。次期ハードフォークDencunに向けた重要なステップであり、開発計画の進展につながる動きだ。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2023/10/19 14:00 ~ 16:00
東京 東京都渋谷区
2023/10/28 14:00 ~ 17:00
東京 東京都中央区
重要指標
一覧
新着指標
一覧