- リブラはSECの監督対象か
- 仮想通貨リブラの構造からいわゆる上場信託投資ETFに該当する可能性があり、SECはその可能性について管轄権を検討をしているという。リブラにおける規制をめぐる懸念は国会や中銀のみならず、トランプ政権やSECなどの行政部にまで広がる。
リブラはSECの監督対象か
現在トランプ政権の規制ターゲットになったフェイスブックの仮想通貨リブラが、米証券取引委員会SECの監督対象になる可能性が浮上してきた。米有力紙WSJがこれを報道した。
WSJが入手した事情に詳しい情報筋によると、SECは仮想通貨リブラをETF(上場信託投資)として管轄下に置くことを検討している。仮にETFと見なされた場合、フェイスブックはETFに関する申請をSECに対して行う必要がなってくるという。
ホワイトペーパーによれば、リブラは複数の法定通貨および複数国の債券を裏付け資産として発行されるため、ETF商品を分析するサイト「ETF.com」の責任者であるDave Nadig氏は、リブラの仕組みはこれまでのETFに類似しており、「外貨ETF」のようなものだと指摘している。
なお、仮想通貨リブラではその価格の安定性を保つために、サードパーティである「正規販売代理店」を用いて流通させる仕組みは、ETFでの大口ディーラーの役割にも似ているという。
さらに、米法律事務所Thompson HineのETF専門家であるBibb Strench氏は、このようにSECのような規制者が持つ監視の傾向をこのように説明している。
規制者は商品の構造・仕組みを見て、既存の規制下に置かれているものと類似点があるかどうかを判断する。
つまり、仮にリブラが持つ要素がETF(上場信託投資)に限りなく近い場合、SECがその規制権限を主張する可能性があると言っていいだろう。
もちろん現段階ではリブラを規制する機関は、SECなのかCFTCなのかはっきりと判明していないが、フェイスブックが両機関とも会話を重ねていることから、いずれの規制準拠に応じることは間違いないだろう。
リブラ、規制面で四面楚歌
各国政府がフェイスブックのリブラに対して、不安視することは多々あり、もはや四面楚歌に置かれている状態だ。先日、トランプ大統領はリブラやその他の仮想通貨が犯罪行為を促進していると強く批判した。
一方、米連銀総裁Powell氏は10億人以上のユーザーを抱えるフェイスブックはリブラの利用が一気に拡大すると見込み、それに対する規制を追いつかせる必要があると指摘した。
そして本日、米財務省の長官は、トランプ氏の発言を踏まえた上で、フェイスブックとリブラは最高水準の規制に準拠しなくてはならないと発言しつつも、その立ち上げや発行に対しては阻止するスタンスを見せていなかった。
なお、英財務相もリブラ規制問題について、すべての規制条件を有効に満足できれば、その業務は認めると前向きに立場を示した。