CoinPostで今最も読まれています

ビットコイン(BTC)が100万円台を維持した理由 米公聴会における温度感の変化と今後の注目点

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

ビットコイン(BTC)が100万円台を維持した理由
2日連続で行われた公聴会。上院の追及内容に対し、下院では仮想通貨市場に影響が及ばなかった理由を解説。今後の注目ポイントも併せて掲載。

BTCが100万円台を維持した理由

18日に2度目の米公聴会「下院」を終えた仮想通貨市場は、昨日ほどの売られる場面こそなかったものの、軟調な相場が継続している。

昨日(17日)、一時100万円を割り込んだビットコインは、押し目買いを誘発する形で107万円まで反騰するも、買いが続かず。ハッキング事件や各国政府や機関から出されるバッシングに市場心理も冷え込んでいることが影響した。

前回1万ドル到達時点でも同様の押し目買い誘発が確認されているが、市場の方向性は変わらず。明確な目先の材料がない市場では厳しい状況が続いている。

なお、現相場における市場の関心は、リブラの動向とそれに伴う仮想通貨市場への影響だ。

1回目の公聴会を終え、10%以上相場が急落したビットコインは、18日明朝に行われた下院の公聴会への警戒感も高まっていた。結果から見れば市場の下落要因として見られず、100万円台の価格を維持。前日比も8時時点でプラス域で推移している。

すでに市場が織り込んでいると見ることもできるが、上院と下院の公聴会では、追及される内容に大きな変化があったこともその理由にある。

リブラの下院公聴会

米公聴会の追及内容とその間の米国会議議員の発言の違いは以下の通りだ。

  • 米上院(17日):金融安定への影響、フェイスブックのデータプライバシーや信頼問題
  • 米議員(メディア出演):リブラとビットコインとの違いに言及
  • 米下院(18日):仮想通貨リブラの存続やリブラ協会の中央集権的な特徴など

上述するように、市場下落に影響を及ぼした上院の公聴会では、リブラの技術的側面ではなく、法定通貨など国際的な(主に米ドル)通貨体制の脅威になる発言が相次いだほか、フェイスブックに対するやプライバシーの問題、根本的なフェイスブック社の信頼を追及する場面が見られた。

一方、18日に開かれた米下院の公聴会は、フェイスブックのデータプライバシーや信頼問題、国際金融システムへの懸念だけでなく、仮想通貨リブラの存続やリブラ協会の中央集権的な特徴なども議論の中心に置かれた。

リブラ存続を強調

また、米下院関係者からはリブラ開発の中止や代替案の要求が行われる場面も見られたが、フェイスブックの仮想通貨責任者Marcus氏は、リブラプロジェクト存続の意向を強く示した。

今回の公聴会を開いた下院金融サービス委員会の理事長Waters議員が、フェイスブックの仮想通貨責任者Marcus氏対して「リブラ」とウォレット「カリブラ」の中止に圧力をかけたほか、Maloney議員の「SECと連銀の監督下における100万人以下のパイロット版(規制当局監督下で、小規模スタート)」提案が行われたが、Marcus氏は承諾する意思を見せなかった。中止に関しても、再三「時間をかけて、全ての規制に準拠した上で、ローンチする」と、譲らない姿勢を維持した。

全ての規制機関に準拠した形で行うことが明言されたリブラは、一部で存続自体が危ぶまれていたが、プロジェクト自体の存続がリブラプロジェクト側の意向として示された(強調された)ことは大きい発言であったと見ることができる。

仮想通貨とリブラの違い

一方、リブラに対する追求こそ行うものの、ビットコインに対しては寛容的な立場を表明する議員が多く見られたのも、一つの要因にある。これは、米国会下院議員Patrick McHenry氏が公聴会前にメディアの取材に答えたものだが、「規制者は非中央集権のブロックチェーン技術を殺すことはできない。中国政府でさえ、ビットコインを殺せなかった。」と発言し、ビットコインとリブラの根本的な構造の違いに言及した。

米ドルを含めた通貨体制への脅威であり、金融安定への影響が懸念されているリブラに対して、通貨規模の面でビットコインが軽視されているとの見方も見られたが、ビットコイン価格への影響を及ぼしていた公聴会なだけに、ビットコインと枠組みを分けた見解が見られることで、市場に安堵感がでたのは間違いない。

Ocasio-Cortez議員などからは、「リブラ協会の参入条件が非民主的かつ非透明」との指摘や、有識者枠で招待されたイギリスの仮想通貨ファンド企業CoinSharesのCSOからは、根本的に非中央集権の要件を満たしていないとする追及が行われた。中央集権と指摘する理由には、リブラ協会が裏付け資産を管理する内容などがある。

総じて、上院・下院共に、公聴会はフェイスブックに対する批判も見られたものの、主にリブラや仮想通貨の特性、企業が発行する通貨に対する不安視が主な論点であった。大きな違いは、仮想通貨という枠組みで金融安定への脅威と見られた上院に対し、よりリブラのプロジェクトにフォーカスした追及が行われた点にある。公聴会での内容では仮想通貨の中でもビットコインが主となるが、リブラとビットコインを一括りに見ない米議会の姿勢が、市場に安堵感を与えた。

今後の注目ポイント

注目ポイントとしては、一つに、今後仮想通貨リブラに対する具体的な審議や法案の提出は見られると考えられる点だ。Marcus氏の譲歩しないスタンスから、規制当局による対応方針が打ち出される動きになると予想される。

また、2日連続で行われた米国の公聴会を終えたリブラは、次にG7を控える。G7では、米中貿易摩擦の長期化など世界経済の下方リスクと併せて「リブラ」が主要議題に盛り込まれる予定だ。今回の追及内容と市場への影響から、仮想通貨市場への影響は限定的とみる見方もあるが、リブラが糸口となって、仮想通貨における金融安定懸念が浮上する可能性もある。米国を中心にファンダメンタルズ要因の影響度が上がっている現在のビットコイン市場において、一定の警戒感は見られるかもしれない。

CoinPost関連記事

仮想通貨市場に影響を及ぼす「重要ファンダ」一覧表|ビットコイン、リップルなど【3/7更新】
ビットコイン(BTC)やリップル(XRP)など、仮想通貨市場に影響を与え得る重要ファンダ一覧はこちら。あらかじめイベントをチェックしておくことで、トレードの投資判断に役立てることができる。
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
12/03 日曜日
11:30
米経済減速続けばビットコイン上抜けは時間の問題か|bitbankアナリスト寄稿
3.8万ドル付近を底堅く推移する今週のビットコインチャートを図解。国内大手取引所bitbankのアナリストが今後の展望を読み解く。オンチェーンデータも掲載。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|マイクロストラテジーのBTC買い増しに高い関心
今週は、マイクロストラテジーが仮想通貨ビットコインを買い増ししたニュースや、金持ち父さん著者ロバート・キヨサキ氏がビットコインなどの資産への投資を推奨していることを書いた記事が関心を集めている。
12/02 土曜日
16:25
エルサルバドルのブケレ大統領、2024年再選を見据え職務離脱へ
暗号資産(仮想通貨)ビットコイン支持者で知られる、エルサルバドルのナイブ・ブケレ大統領が総選挙キャンペーンのため職を離れる。再選を目指す中で、国内政治のチェック・アンド・バランスの弱体化と、国際関係への影響を探る。
14:00
2024年に半減期を迎えるビットコインは約1800万円到達、Matrixport分析
Matrixportによる暗号資産(仮想通貨)ビットコインの価格予測を深掘り。2024年に1835万円到達の可能性、歴史的なデータ分析、マクロ経済要因と地政学的影響を詳細に解説。ビットコイン投資の未来を探る。
13:00
米サークル社、「テロ資金調達への関与はない」
ステーブルコイン「USDC」を提供するサークル社は、公開書簡を米議員らに提出。テロ資金など不正金融への関与はないと強調した。
12:00
イーサリアム運用で高利回りを実現、Cegaのデュアルカレンシー戦略とは?
セガ・ファイナンスが新しいオプション戦略「デュアルカレンシー」を発表。暗号資産(仮想通貨)イーサリアム、stETH、USDCホルダーに向けて、年利22%以上の収益を提供。この戦略は、リスクを最小限に抑えつつ、市場での高い固定利回りを実現する。
10:45
コインベースCEOがBaseトークン発行を否定 ソラナなどの統合計画も
米仮想通貨取引所コインベースのCEOは、イーサリアムL2「Base」に関する展望について話した。独自トークンや取引高速化について説明している。
09:55
コインベース・マイニング株大幅高、ビットコイン年初来高値更新|2日金融短観
本日のNYダウは+294.6ドルと続伸し、債券市場は反発した。この日にパウエル連邦準備制度理事会議長の発言からトーンダウンが示唆され2024年にFRBが利下げに動くとの観測がますます広がった格好だ。
08:30
Starknet独自通貨の無料配布、スナップショット実施済み
仮想通貨イーサリアムのL2「Starknet」は今週SNSで出回っていたSTRKトークンのエアドロップのスクリーンショットの真贋を確認し権利獲得にあたるスナップショットはすでに実施されたことを明かした。
07:20
ビットコイン価格は24年に上昇加速か=グレースケールレポート
仮想通貨運用会社グレースケールは、2023年11月版の市況レポートを公開。2024年は複数の条件が重なることによって、ビットコインの価格に上昇圧力がかかる可能性があるとの見解を示している。
06:50
ビットコインETFの上場申請めぐり今週3社目のSEC面談、専門家が承認楽観視
米SECは、GBTCから現物型ビットコインETFへの転換申請について、今週29日に申請側のグレースケール(2度目)と会議を行ったことが判明した。仮想通貨ビットコインは年初来高値を更新した。
06:00
ソラナDEX「Jupiter」、仮想通貨JUP無料配布の事前確認ページ公開
ソラナ基盤の分散型取引所アグリゲーター「Jupiter Exchange」は独自トークン「JUP」の無料配布(エアドロップ)計画について、事前確認の公式ページを公開した。
12/01 金曜日
17:41
「暗号資産の投資状況と確定申告」に関する調査、年内取引で約7割が利益
Aerial Partnersが2023年の暗号資産取引調査結果を公開。ビットコインなどの現物取引だけでなく、PoS銘柄のステーキング利用度が高まりつつあり、利益を出している投資家増加に伴い「確定申告」の必要性も上がっている。
16:03
米投資会社タイガー・グローバル、BAYCやOpenSea投資の評価額を大幅下方修正
タイガー・グローバル・マネジメントが、有名なNFTコレクション「Bored Ape Yacht Club」(BAYC)と主要なNFTマーケットプレイスであるOpenSeaへの投資により、大幅な含み損を抱えていると報じられた。同社の直近の投資動向と報告内容についてまとめる。
16:00
「ビットコインがもたらす革命をSNSへ」Nostrasia特集を配信
第10回のGM Radio:Beyond The Priceは11月22日に公開。今回は11月に東京などで開催されたイベントNostrasiaを特集した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア