はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

ヴィタリック氏が提案する新たな手数料システムとは|イーサリアムの実用性向上に期待感

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

「第一価格オークション」の下ではユーザーの入札戦略が複雑化する
イーサリアムで各ユーザーがGas Priceをトランザクション手数料として設定する仕組みは、「第一価格オークション」と同等のメカニズム担っている。このメカニズムの下では、ユーザーが最適なトランザクション手数料で落札をする戦略を考える際、その戦略が大変複雑になる。
「均一価格オークション」の下ではマイナーに攻撃余地を与える
トランザクション手数料の入札方式に「均一価格オークション」を用いると、ユーザーの最適な戦略はシンプルになる。一方、このオークション方式の下では、マイナーが自身の収益を最大化するために戦略的な行動を取る可能性がある。
Buterin氏らは代替的なメカニズムを考案中
上記のオークション方式の問題を解決すべく、Buterin氏らは新たなメカニズムを考案している。これらのメカニズムは数学的には完璧でないものの、イーサリアムの実用性を向上させるのに役立つだろう。

6月下旬から、イーサリアムネットワークのトランザクション手数料であるGas代が大幅に高騰し、dAppsユーザーや高い取引手数料を支払えないユーザーが不便を強いられています。

Gas代の高騰はイーサリアムにとって重大な問題であり、イーサリアム開発者らはユーザーの利便性を向上させる方法を考案しています。

イーサリアムの創業者であるVitalik Buterin氏(以下、Buterin氏)は、今回のGas代高騰を受けて、Gas代を決定する新たなアルゴリズムについて記述しています。

現時点ではイーサリアムなどのブロックチェーンが「第一価格オークション」と同等の手数料決定メカニズムを採用していますが、Buterin氏は代替的なオークション方式についても言及しています。

以下では、それぞれの手数料決定メカニズムの利点や問題点を解説します。

イーサリアムなどが採用する「第一価格オークション」とは

ビットコインやイーサリアムのようなブロックチェーンでは、トランサクションに手数料を設定することで、マイナーにトランザクションを承認させるインセンティブを与えると同時に、トランザクションの優先順位を決定するメカニズムが用いられています。

ユーザーは自身のトランザクションが早急に承認される必要性に応じて手数料を設定し、マイナーは自身の収益を最大化するために、より高い手数料が設定されたトランザクションを優先的に承認しようとします。

現時点では、ほとんどのブロックチェーンは「第一価格オークション」と同等のメカニズムを採用しています。

このオークション方式は、全員が入札額を提出し、落札者は自身の入札額と等しい価格を支払います。

「第一価格オークション」の問題点

「第一価格オークション」の問題点は、各ユーザーが最適な入札額を提出しようとすると、その戦略がとても複雑になってしまうことです。

例えば、あなたが今すぐ承認されるトランザクションに対して、10ドルの価値があると考えているとします。

この時、あなたは10ドル以下でこのトランザクションを落札すれば、得をする計算になります。

しかし、もしあなた以外の人がそれぞれ1ドル、2ドル、3ドル、4ドルを入札した時、あなたは例えば5ドルを入札額とすることで、あなたの真の評価額である10ドルよりも、はるかに低い額で落札をすることができます。

このオークション方式のもとでは、各ユーザーの最適な入札額を導出するためには複雑な経済学のモデルやブロックチェーンの実際の利用法を考慮しないといけません。

代替的な入札メカニズム「均一価格オークション」とは

このメカニズムの代替案として、「均一価格オークション」と呼ばれるオークション方式があります。

これは、全ての落札額を「落札者の中で最低の入札額を表明した人の入札額に設定する」オークション方式になります。

このメカニズムのもとでは、ユーザーの評価額がいくらであっても、ユーザーの入札戦略はとてもシンプルなものになります。

例えば、あなたのトランザクション評価額が10ドルで、あなた以外のユーザーの入札額が1ドル、2ドル、3ドル、4ドルであるとします。

そして、マイナーは高い方から3つ分のトランザクションを選択するとします。

もしあなたが戦略的に5ドルを入札した時、このオークション方式のもとでは3ドル、4ドル、5ドル(あなたの入札額)を入札したユーザーのトランザクションが承認され、あなたを含めた各ユーザーは、一律で3ドルを支払うことになります。

一方、もしあなたが正直に10ドルを入札した時も、3ドル、4ドル、10ドル(あなたの入札額)を入札したユーザーのトランザクションが承認され、あなたはやはり3ドルを支払うことになります。

つまり、あなたは戦略的な行動をして、真の評価額(ここでは10ドル)と異なる入札額(ここでは5ドル)を入札したとしても、得をすることはありません。

「均一価格オークション」の問題点

一度にブロックに組み込まれるトランザクション数が十分に多い場合、このメカニズムの利点は実現します。

しかしながら、イーサリアムネットワークの文脈での「均一価格オークション」には2つの問題点があります。

第一に、ブロック承認者は自身のトランザクションを自由にブロックに組み込むことができます。

そして、落札価格を釣り上げることで、自身の収益を上げることができます。

出典:ethresear.ch

第二に、ブロック承認者は何人かのトランザクション承認者と共謀する可能性があります。

共謀したユーザーは、自身の真の評価額よりも高い入札額を提出し、落札価格を引き上げる可能性があります。

このように、「均一価格オークション」の下では、一人のユーザーが真の評価額と異なる入札値を提出するインセンティブがないものの、複数人が共謀して戦略的な行動をするインセンティブは排除できません。

どちらの問題も「均一価格オークション」のもとでは起こりうるケースですが、「第一価格オークション」のもとでは起こりません。

Buterin氏は、よりよい手数料決定メカニズムを考察中

イーサリアム開発者の目標は、ユーザーのトランザクション手数料の入札戦略を単純化すると同時に、マイナーの戦略的行動を防止するメカニズムを考案することです。

Buterin氏が考案した代替的なメカニズムの一つは、数学的には完璧でないものの、実践上のほとんどのケースで、マイナーの戦略的行動を防止し、ユーザーフレンドリーなメカニズムになっています。

さらに同氏は、ユーザーが自身のトランザクションに関して「5ブロックが生成されるまでの間に承認してほしい」などといった具体的なオプションにも対応できるメカニズムを考案中です。

これらのメカニズムが実際にうまく機能するかは分かりませんが、Gas代高騰などの実用上の問題に対して、イーサリアム開発者らが日々様々な改善案を考案しているのは確かです。

CoinPostの関連記事

イーサリアムネットワークのGas価格が高騰:FCoinの新規通貨上場への投票システムが影響か?
ここ1週間ほど、イーサリアムネットワークの取引手数料が過去最高値を更新する勢いで上昇している。dAppsゲーマーに取っても致命的な送金手数料ガス(Gas)代の急上昇は、取引所FCoinにおける新規通貨上場の投票システムに原因があるとされている。
仮想通貨の分散型取引所(DEX)に潜むリスク|フロントランニングとは
仮想通貨市場における次世代型の分散型取引所(DEX)に潜むリスク「フロントランニング」について。オークション方式や暗号技術によってフロントランニングに対処する方法も考案されている。
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
13:25
エリック・トランプ氏「仮想通貨事業参入のきっかけは不当な銀行口座閉鎖」
トランプ大統領の次男エリック氏は、大手銀行による突然の口座閉鎖が仮想通貨事業参入のきっかけとなったと明かした。同氏は、ブロックチェーン技術により今後10年で金融や銀行の在り方は大きく変わると予想している。
12:56
メタプラネット、ビットコイン追加購入で累計4,206BTCに
メタプラネットが4月2日に仮想通貨ビットコインを160BTC、約20億円分追加購入し、累計4,206BTCに保有量を伸ばした。2025年末1万BTC・2026年末2万1,000BTCを目指し、独自財務戦略を進める。
12:05
ビットバンク、村上信五さん起用の新CM放映開始へ
国内暗号資産取引所の大手ビットバンク株式会社は4月2日、バラエティ番組の司会などで活躍する村上信五さんを起用した新CM「Everybody bitbank」シリーズの放映を4月3日から開始すると発表した
11:44
米グレースケール、バスケット型仮想通貨ETF申請 XRP・ソラナ・ADA含む5銘柄で
米グレースケールがビットコイン他複数の仮想通貨に投資する「デジタル・ラージキャップ・ファンド」のETF転換をSECに申請した。承認されれば一般投資家にも開放される見込みだ。
11:00
「決済用ステーブルコインは利子提供不可」米ヒル議員が強調 コインベースらの嘆願却下
米下院金融委員長が決済用ステーブルコインの利子提供は認められない計画だと強調。コインベースなど仮想通貨業界からの要望を却下した。法案にも禁止条項が盛り込まれている。
10:30
国内上場のenish、1億円相当のビットコイン購入へ Web3事業強化で
株式会社エニッシュが1億円相当のビットコインを4月1日から4日にかけて取得すると発表。ブロックチェーンゲーム開発を手がけながら、Web3領域での事業展開強化と財務戦略の一環としてビットコインを活用へ。
10:15
バックパック、FTX EUの顧客へのユーロ返還手続きを開始
仮想通貨取引所バックパックは、FTX EUの顧客にユーロを返還するための手続きを開始。FTX自体は現金での返還をすでに開始しており、仮想通貨の買い圧につながるのではないかとの見方も上がっている。
08:20
バリュークリエーション、2度目の1億円分のビットコイン購入を実施
東証グロース上場のバリュークリエーション株式会社が3月31日、1億円で7.8BTCの追加購入を発表。3月17日の初回購入から2週間で2回目の投資を実施した。
08:15
ビットコイン一時50万円上昇、米経済指標とトランプ関税政策が影響|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは前日比で一時50万円の上昇となった。現在、市場の最大の注目材料はトランプ大統領による関税政策であり、ビットコインはリスク資産である米国株価指数との相関性が非常に高くなっている。
07:50
『ビットボンド』提案、トランプ政権のビットコイン準備金戦略、年間10兆円の財政削減効果も
ビットコイン政策研究所が「ビットボンド」提案を発表。米国債の金利負担軽減と仮想通貨ビットコイン保有増加を同時実現する戦略で、2兆ドル規模で導入した場合、年間700億ドルの節約効果と推算。
07:20
ビットコイン購入準備のゲームストップ、2200億円調達済み
米ゲーム小売大手ゲームストップが15億ドルの無利子転換社債発行を完了し、ビットコイン購入計画を進行。マイクロストラテジーの戦略に類似する企業の仮想通貨投資の新たな展開に。
06:55
三井住友FG、アバランチらとステーブルコインを共同開発
三井住友FGは、ステーブルコインの開発を行うことがわかった。仮想通貨アバランチを開発するAva Labsら3社と協業し、26年度を目処にした発行を検討している。
06:35
トランプ家支援のAmerican Bitcoin、二社統合モデルでIPO計画
トランプ家支援のAmerican Data CentersとビットコインマイナーHut 8が設立した合弁会社American Bitcoinが上場計画を発表。エネルギー・インフラとマイニング事業を二社統合モデルで展開していく。
06:12
ブラックロック、英で仮想通貨事業者認可を取得、ビットコインETF提供へ
世界最大の資産運用会社ブラックロックが英国金融行動監視機構から仮想通貨事業者として認可を取得。資産12兆ドルの投資巨人が欧州向けのビットコインETFを英国拠点から運営へ。
05:50
AI関連株と仮想通貨が反発、OpenAI過去最大の6兆円調達受け
OpenAIが史上最大の400億ドル資金調達を実施し企業価値3,000億ドルを達成。週間ユーザー数は5億人に拡大し、年間売上高は127億ドルを見込む。これを受けてCoreWeaveが38%上昇、AI関連仮想通貨も5%以上上昇した。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧