- Ripple社のプロダクト:
- Ripple社が運営する国際送金ネットワークであるRippleNetに接続するために、Ripple社は3つの主要なプロダクトを提供しています。xCurrentは銀行向け、xRapidは送金業者向け、xViaは一般企業向けのプロダクトです。
- xRapid採用企業
- XRPを利用したソリューションであるxRapidを採用または試験的に運用している企業はCuallix、MoneyGram、Western Union、IDT Corporation、MercuryFXです。さらに大手国際送金企業がもう一つ加わる予定です。
- 提携先企業がどのプロダクトを採用するかが重要
- RippleNetに加盟している企業は200にも及びますが、実際にXRPを使用する企業はxRapidを採用する企業のみです。したがって、Ripple社が企業と提携する際には、その企業がどのプロダクトを利用するかが重要になります。
最近、Ripple社と提携する金融機関や企業が急増しています。
しかし、一概に「Ripple社と提携」と言っても、提携企業が利用するプロダクトは異なっています。
以下では、Ripple社の主要な提携先を、提携企業がどのようなプロダクトを利用するかまで含めてまとめます。
RippleNetと3つのプロダクト
Ripple社はブロックチェーン技術(分散台帳技術)を基盤として、銀行や企業間、顧客などの国際送金を効率的かつ安全に実行するためのシステムを提供します。
RippleNetは、Ripple社が運営する、ブロックチェーンを基盤とした国際送金ネットワークです。
Ripple社が企業と提携するとき、その企業は通常RippleNetに参加することになります。
RippleNetに接続するための手段として、Ripple社はいくつかのプロダクトを金融機関などに提供しています。
- xCurrent:金融機関とRippleNetを接続するためのソリューション
- xRapid:XRP通貨を利用し、新興国市場への支払いにおける流動性コストを最小限にするためのソリューション
- xVia:一般企業とRippleNetを接続し、請求書などの豊富な送金情報を送信するためのソリューション
xCurrent
xCurrentは、銀行による即時国際送金の決済を可能にし、すべての送金プロセスを可視化するソリューションです。
xCurrentを利用することで、銀行間でのリアルタイムメッセージングが可能となり、取引前に決済内容の確認や決済後の着金確認ができるようになります。
xRapid
xRapidは、流動性コストを最小化したい送金業者やその他の金融機関のためのソリューションです。
新興市場への送金においては事前に現地通貨を用意する必要があり、流動性コストは高くなります。
xRapidでは、XRPをブリッジ通貨とすることで、流動性面での資本要件を大幅に引き下げることができます。
多くのXRP保有者にとって、最も重要な関心事が、XRP通貨が実際に利用されるかということですが、RippleNet上のプロダクトのうち、実際にXRP通貨を利用するのは(xCurrent、xViaではなく)xRapidです。
したがって、3つのプロダクトの中では、xRapidの利用が公表されることがXRPの価格上昇に最も大きな影響を与えます。
xVia
xViaは、標準インターフェースを使用してさまざまなネットワークにまたがって支払いを送金したい法人、支払いプロバイダおよび銀行向けのシンプルなAPIです。
xViaでは、請求書のような重いデータを送信内容に添付することができます。
このようなデータの移動については、従来多くのコストや時間、手間がかかっていましたが、より速くて低コストな送金を可能にします。
xViaのシンプルなAPIはソフトウェアのインストールが不要で、新規のユーザーであっても、シームレスな送金を行うことができます。
それぞれのプロダクトは、過去記事でもまとめられています↓
xCurrentを採用する企業:主に銀行向け
xCurrentを採用する企業は数多く存在しますが、以下では、最近採用を表明した主要な法人をまとめます。
①中央銀行
中央銀行がRippleNetに参加することは、その国の銀行全体にRippleNetへの参加を促す可能性があるため、極めて重要な意味を持ちます。
2月14日には、Ripple社がサウジアラビア中央銀行(SAMA)の試験的プログラムを実施する契約をし、サウジアラビア国内銀行間でRipple社のネットワークシステムを利用する方針を明らかにしました。
SAMAは、国内銀行にRippleソリューションを利用するためのリソースを提供する、初めての中央銀行になります。
このプログラムに参加する国内の銀行は、xCurrentを利用することになります。
②海外銀行
1月31日、スペイン最大手のSantander銀行は、xCurrentを利用した一般消費者向モバイル決済アプリを年内にリリースすると発表しました。
実現すれば、銀行が運営するブロックチェーンベースの消費者向けアプリとしては世界初の事例になります。
③国内銀行(内外為替一元化コンソーシアム)
内外為替一元化コンソーシアムは、SBI Ripple Asia株式会社による、次世代送金インフラ整備を目的としたプロジェクトです。
内外為替一元化コンソーシアムは、内国為替と外国為替を一元化し、24時間リアルタイムでの送金インフラを構築することを目標にしています。
内外為替一元化コンソーシアムのRCクラウドで構築されているのは、xCurrentです。
現在、みずほフィナンシャルグループ、三菱東京UFJ銀行など61行が参加しています。
内外為替一元化コンソーシアム参加企業一覧はこちら↓
④一般企業
xCurrentは、主に銀行によって採用されていますが、一般企業が採用する事例もあります。
2月7日、中国決済サービスプロバイダーのLianLian Payが、xCurrentソリューションを採用することを明らかにしました。
xRapidを採用する企業:主に送金業社向け
現在のところ、以下の5つの企業がxRapidの採用または試験的運用を表明しています。
Cuallix
XRP通貨が実際に使われるかについて長らく懐疑的な意見が多く挙がっていましたが、2017年10月10日、Cuallixが米国からメキシコへの試験送金を行い、xRapidを利用したクロスボーダー決済に成功した世界最初の事例となりました。
MercuryFXとIDT Corporation
1月24日には、個人間決済サービスを行うIDT Corporationと、外貨両替事業を行うMercuryFXが、xRapidを採用すると報じられました。
大手国際送金企業:MoneyGramとWestern Union
Ripple社CEOは1月5日、5大送金企業のうち3つの企業が、今年中にXRPトークンを使用することをTwitter上で明らかにしました。
1月11日、MoneyGramはXRPを使用することを公式発表し、xRapidを実験的に運用しています。
MoneyGramは米国テキサス州を拠点とする、大手国際送金サービス企業です。
世界200の国と地域に約35万拠点の取扱店ネットワークを構築しており、世界中の400以上の銀行口座に直接送金することができます。
MoneyGram「早い、簡単、信頼できる」送金をモットーにしており、XRPを用いた送金は、MoneyGramの理念に則っています。
また、2月15日には、Western UnionがXRPの送金テストを行っていることが明らかになりました。
今後XRPの使用を正式に表明する可能性があります。
Western Union社は、米国を拠点とする、金融および通信事業の会社です。
160年の歴史を持ち、全世界の約200ヶ国で個人送金、企業支払と貿易業務を代行しています。
Western Unionの取扱店は全世界500,000ヶ所、日本でも210ヶ所以上あります。
xViaを採用する企業:主に一般企業向け
Ripple社は、2017年10月、IFX、Currencies Direct、TransferGoと、xViaの契約を報じています。
IFXは、英国を拠点とするFXコンサルタント会社です。
Currencies Directは、英国に本拠を置く国際送金サービス・プロバイダーです。
TransferGoは、英国を拠点とする、出稼ぎ労働者向けの決済サービスプロバイダーです。
まとめ
上記のように、Ripple社はxCurrent、xRapid、xViaなどのいくつかのプロダクトを提供しています。
このうち、XRPを利用するxRapidを企業が採用することこそが、XRPの価格上昇に最も大きな影響を与えると考えられます。
xRapidではなくても、企業がRipple社のプロダクトを採用すれば、その企業が将来的にXRPを利用する期待からXRPの価格が上昇する可能性もあります。
Ripple社と企業との提携が発表された時、その企業がどのプロダクトを採用するのかについても注意する必要があります。