- Huaweiがブロックチェーン技術を活用したスマホ開発か
- サムスン、Appleに次ぐ世界第3位の携帯電話メーカー「Huawei」が、Sirin Labsと提携して、ブロックチェーン技術を活用したスマートフォンを開発しているという情報が伝わっています。
ブロックチェーンスマートフォン
この度、公式な発表ではないものの、今後注目に値する情報が発表されました。
世界第3位のシェアを持つ「Huawei」が、ブロックチェーン技術を応用した、スマホ開発への参入を考えているのではないかという情報です。
事実あれば、最大手のスマートフォンメーカーとしては、世界で初めて仮想通貨市場に本格参入することになります。
この記事では、情報の概要を説明していきます。
HuaweiがSirinと提携か
bloombergやengadgetの情報によれば、関係筋からの報告で、Huaweiは、イスラエルを拠点とするスタートアップ企業Sirinlabが開発している、ブロックチェーン技術を利用した「SirinOS」を搭載したスマートフォンの開発を検討中とのことです。
この計画が実現すれば、分散型ネットワークによるセキュリティの向上、少額決済の手数料削減といったブロックチェーン技術の恩恵を得ることができます。
また、Androidと同じように、モバイル端末上で仮想通貨ウォレットやdAppsなど、ブロックチェーンのアプリケーションを実行できるようになります。
dAppsとは
分散型アプリケーション(dApps)は、Decentralized Applicationsの略。
従来のアプリケーションをブロックチェーンベースで構築していく仕組みのこと。
HuaweiとSirinによる、画期的なスマートフォン実現に向けた会合は、2月28日に発表されたSirinのTelglamで明らかになっているものの、正式なものではなく、あくまでプライベートなものだったようです。
現時点で会合の内容や今後の動向に関する公式な発表は、Huawei社,Sirin Labs社のどちら側もコメントを控えています。
もしこの画期的な試みが実現すれば、Huaweiはブロックチェーン技術に対応した世界初のスマートフォンメーカーとなるでしょう。
ブロックチェーンは、基本的には”仮想通貨内部で起こるすべての取引を記録しておく”台帳です。
これら台帳は、非中央集権化されており、信頼性が高いという2つの利点を持っています。
仮想通貨に投資する多くの人は、基幹技術であるブロックチェーンが持つ利点を熟知し、そのことを広めています。
過去12ヶ月間で仮想通貨市場は15倍の約3,500億ドル(36.7兆円)規模まで成長しましたが、その一方で、一般経済市場と比較すると「未だ1%ほどの規模」でしかなく、まだまだニッチな市場であるという認識に変わりありません。
今回、Huaweiのようにスマホ市場を牽引してきた大手企業がブロックチェーン技術に興味を示していることは、こうした現状を大きく変えていく可能性を秘めていると言えるでしょう。
Huaweiが提携を検討するSirinは、いったいどのような企業なのでしょうか。
ブロックチェーン技術を活用したスマホ「Finney」を開発
Huaweiとの会合で話題になっているSirinOSを手掛けるSirinlabは、スイスの企業であり、イスラエルに研究・開発の拠点を置いています。
イスラエル出身のCEOである「Moshe hegeg」氏は、写真共有サービスmobliの創業者としても知られる投資家であり、技術者です。
Sirinlabは先日、すべての情報のやり取りを暗号化し、あらゆるサイバー攻撃に耐えること可能という特徴を持った、世界最高峰(軍用並)のセキュリティ体制を誇る最高級スマートフォン「Solarin」を開発・販売しています。
Solarin自体は、その技術力の高さから話題になったものの、その価格の高さ:9,500ポンド(約150万円)からか、一般市場では成功を収めることができませんでした。
そんな中、満を持して開発を始めたのが、世界発のブロックチェーン技術を応用したSirin OSを搭載、ビットコインの先駆者であるプログラマー「hal finney」氏の名前を取った、スマートフォン「Finney」です。
コールドウォレット搭載のスマートフォン
世界最高のセキュリティ技術を持つと謳った「Solarin」で培った開発技術をもとに、あらゆるサイバー攻撃に耐えることが可能で、仮想通貨の保有に必要な安全性を持っていることをアピール。
端末内部に「コールドウォレット」を搭載しています。
このスマホには、仮想通貨「IOTA」のTangle(タングル)をベースとした非中央集権化されたネットワークが搭載されており、「SRN」というトークンを利用して動かすことができるようになっています。
OSは、Androidをベースにした、「SirinOS」という独自のOSを積んでおり、このOSを含むFinneyの全システムは、ブロックチェーン上で動かすことができるため、dAppsや仮想通貨ウォレットへのアクセスに最適であるとしています。
こうした基礎的な性能だけでなく、現在開発途上にあるFinneyは改善を続けており、2017年12月にはイーサリアム上で動作する分散アプリケーション(dApps)と連動するオープンソースのメッセージングプラットフォームと、モバイルブラウザを開発中の「Status」とも提携、Finneyにプレインストールすることを決定しました。
このことによって、Finneyはあらかじめスマートコントラクトを利用できる、またブロックチェーン上で動くメッセージアプリを利用することができるようになっています。
この発表後、SirinはICOで1億5000ドル(約165億円)以上を獲得しています。
2018年に入っても開発は進み、2018年1月8日には、トークンの保有やネットワーク上の各種トークン間の交換を実現する分散型流動性ネットワーク「Bancor(バンコール)」との提携も発表されました。
SirinやBancorによれば、この提携により、Finney上で容易にSRNとETHの交換やBancor上の50種類近くある仮想通貨との交換がシームレスに行えるようになりました。
発売は2018年を予定しており、現在は1000ドル(105,000円)の価格で予約販売が行われていますが、予約段階ですでに25,000台の予約が殺到するなど早くも人気化しています。
さらに「Sirin Labs」は、サッカーの名門「バルセロナ」でプレイする世界最高峰のリオネル・メッシ選手をアンバサダー(広告塔)に起用。
メッシがインスタグラムで宣伝を行うと、200万以上の「いいね」が付くなど、多方面で話題になっています。
Huaweiは技術の革新性だけでなく、こうしたFinneyの革新性にも着目し、提携に向けて動き出しているようです。
まとめ
現時点では憶測の域を出るものではありませんが、現在世界第3位のシェアを誇るスマートホンメーカー「Huawei」が、ブロックチェーン技術を活用したスマホを開発するSirinと提携、「SirinOS」を搭載したスマートフォンを開発することを検討しているようです。
Huaweiは、今回の記事でご紹介した、「Finney」以外にも大手ブロックチェーンの性能をテストするために設計されたツール「Project Caliper」を発表するなど、ブロックチェーン技術の革新性に目を付け精力的に取り組んでいます。
Huaweiは、AI(人工知能)向けの処理能力が劇的に向上する「NPU」(ニューラル・ネットワーク・ユニット)を搭載した次世代スマートフォン「Kirin」など、ブロックチェーン以外にもこれまで革新的なテクノロジーを開発、世に打ち出してきました。
Huaweiの名を冠し、ブロックチェーン技術を搭載したスマートフォンが世に出てくるのもそう遠くないかもしれません。
文中にもあった通り、現時点での仮想通貨市場は、世界経済圏の1%程度の市場規模しかなく、まだまだニッチな市場であるということが言えます。
非中央集権型で一般の市場に影響を受けないことを理想としていますが、些細な社会的な状況変化に応じて、通貨やそれに紐づく信頼性も絶えず変動しています。
こうした現状を変えていくためには、ニッチな市場を出て、広く一般に認められていく必要があります。
そのためには、今回のSirinのように、すでにある程度の市場を獲得している既存大手メーカーとの提携も重要なものになってくるでしょう。