- ConsenSys社John Lilic氏がイーサリアムの将来を語る
- CoinPost編集部の取材に対し、John Lilic氏はイーサリアムのPoW→PoS移行、Sharding(シャーディング)について肯定的な意見を述べました。また、有価証券トークンやdApps開発への期待感も露わにしました。
ConsenSys社John Lilic氏がイーサリアムの将来を語る
イーサリアムは、まずスケーラビリティに向かっています。
世界最大級のイーサリアムブロックチェーン研究のフィンテック企業ConsenSys社John Lilic氏(以下、Lilic氏)はそのスケーラビリティへ向かうプロジェクトについて、CoinPostの取材に対し以下のように述べました。
Caspaer(キャスパー)と呼ばれるものがあります。これはEthereumのスケーラビリティプロジェクトに使用される用語です。
これは2つのことを要求します。一つ目はPoS(プルーフオフステーク)、これはコンセンセスの仕組みの変化です。
もう一つがSharding(シャーディング)です。
Sharding(シャーディング)とは、イーサリアムの送金遅延や手数料増加など「スケーラビティ問題」に対する解決策の一つです。
データベースを水平方向に分割、検証作業を並列化することで処理能力の大幅向上が見込めます。
この説明では少しイメージしづらいユーザー向けに、Lilic氏は以下のように解説しています。
今は1つのネットワークで、発生する全てのトランザクションを確認します。
ここで、イーサリアムが100個あるとします。それぞれのイーサリアムが、それぞれ一体となって役割分担し一つのネットワークを管理する。この方がずっと効率的、という話です。
この状態でイーサリアムが何千何万と増えた時を想像してみてください。
今と比べられないほどパフォーマンスとセキュリティが向上します。
PoSへの移行について
イーサリアムはPoWからPoSへの移行を予定しています。
PoSへの移行については識者の間でも賛否両論です。
例えばVMwareのセキュリティ研究者は先月、イーサリアムのPoSへの移行は”根本的に脆弱である”と主張しています。
一方で、最近ではPoWとPoSを組み合わせたハイブリッド型システムが「EIP1011」にて提案され、話題になりました。
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Lilic氏は、PoSを以下のように肯定しています。
PoWはエネルギー消費が激しく、効率がとても悪いです。
PoSは非常に経済的です。
そのバリデーション(検証)をしたい場合、イーサリアムにエスクロー(商取引の際、信頼の置ける第三者を仲介させて、取引の安全を担保する第三者預託)や債券を入れます。
スマートコントラクトを使っている場合、例えば、ネットワークを攻撃しようとするような悪意のある行動を取ると、債券の一部または全部が失われます。
その際失う金額は、取引から得られる金額を上回ります。
つまりネットワークを攻撃するとお金を失う、ということが保証されるのです。
例えばビットコインを攻撃したい場合は、数十億ドルのコインを購入し、51%の攻撃のためにオンラインにする必要があります。これは非常に高額です。
つまりお金を失うか、多くのお金を費やすことも保証されています。
PoSと目的は同じです。
よって、PoSは経済的かつビットコインと同じ目的を達成しています。
スケーラビリティ確保の結果、有価証券トークンとdApps開発が活発化する?
それでは、スケーラビリティが確保された結果、何が起きるのでしょうか。
Lilic氏はその結果について、「出来る分野が大幅に広がる」として、例として有価証券トークンとdApps(分散型アプリケーション)開発の2つを挙げました。
私は有価証券トークンの時代が来ると思います。
これは、債券のような利益の期待を持っているトークンがある代わりに、規制上の承認を満たす複雑な金融商品です。
有価証券トークンに対する期待感を露わにしながらも、Lilic氏はdApps開発に対する期待感を「それ(有価証券トークンへの期待)を超えるものだ」と語りました。
dApps開発は波に乗っていると思います。
企業側を見るといくつものスタートアップや政府が業界の成長に力を込めています。
dApps開発は、昨年のイーサリアムのトランザクション詰まり、またETH価格高騰に伴うgas(イーサリアムプラットフォーム上の手数料)価格高騰問題などもあり、現状は実用的かどうか疑問視する声も挙がっています。
しかしスケーラビリティ確保が実現された場合、そういった事例が減少する可能性は高いとみられています。
これに期待感を抱いているユーザーは世界中に存在していますが、日本でもdAppsに対する期待感は高まっています。
例えば、コインチェックに出資、bitbankを持分法適用関連会社化し、bitFlyerと提携を行っている株式会社セレスは、2018年春にリリース予定である国産dAppsゲームの「くりぷ豚」をグッドラックスリーと共同開発することを発表しています。
このようなことから、プロジェクトとして2018年のイーサリアムに対する期待感は高いものとなっています。
Lilic氏はCoinPostの取材に対し、最後に以下のように答えました。
今後もスタートアップや政府はイーサリアムに関わっていくでしょう。
Consensysは、より多くの製品と企業を構築し続けます。エコシステムも引き続き稼働します。