- Zaifにおける仮想通貨返還請求の注意点
- 仮想通貨取引所Zaifを運営するテックビューロ社は、不正流出に対する補償手続きを11月21日までに行う必要があるとアナウンスした。フィスコに承継されるサービス内容や承諾・非承諾時の注意点をまとめた。
契約上の問題で承認が必須
仮想通貨取引所『Zaif』で発生した仮想通貨不正流出事件に関して、Zaifを運営するテックビューロ社より重要なアナウンスが発表された。
同取引所は2018年9月14日にハッキング被害が発生、預託されていた顧客の仮想通貨ビットコイン、ビットコインキャッシュ、MONAコインの一部(約70億円相当)が不正流出。
2018年10月10日に、株式会社フィスコ仮想通貨取引所との間で、仮想通貨取引所「Zaif」の事業を譲渡する旨の事業譲渡契約を締結していた。
これに伴い、テックビューロ社は、フィスコへの事業譲渡後、「仮想通貨交換業」の登録を廃止した上で解散の手続を行う予定としている。公式サイトのFAQでは「Zaifが無くなるということではない」としているが、Zaifという名の仮想通貨取引所は、事実上運営出来なくなる可能性がある。(今年6月に分社化したテックビューロホールディングスは残る:記事下で後述)
株式会社フィスコとの正式契約に基づく事業譲渡により、個々の契約関係が株式会社フィスコ仮想通貨取引所に承継されることとなるが、「承継の効果」が発生するためには、顧客自身がこの承継に承諾することが前提としている。
11/1追記:期日までに承諾した場合
承諾した場合、「Zaifにおけるサービスは、すべて譲受人が提供することになる」としており、BTCとBCHについては、すでにフィスコ仮想通貨取引所が消失した数量に相当する仮想通貨を調達済みのため、顧客の保有されている仮想通貨の残高については、その全部について正常に出金をすることが可能となる見込み。
また、事業譲渡に「承諾」した場合、1000ZAIF(11/1時点で150円相当)を入手できることが新たに発表された。
【ZAIFトークン送付のご案内】
— Zaif – 暗号通貨取引所 (@zaifdotjp) 2018年11月1日
この度事業を譲渡するにあたり、ご承諾頂きましたお客様には、大変ささやかではございますが、1000ZAIFトークンをお礼と致しましてお送りします。なお、既にご承諾頂きましたお客様も対象となります。https://t.co/5YkJrQLZ6S
フィスコニュースによると、事業譲渡に承諾したユーザーは、アクティブ口座の約90%に到達したという。
Zaif内で資産を保有していなくても、登録済みの顧客情報も承継されるため、承諾する必要があるとしており、注意が必要だ。
期日までに承諾しなかった場合
テックビューロ社は、承諾しない場合の対応に関して、Zaif事業に関するサービスを皆様にご提供できなくなる可能性が高いと言及。
現在の「財務状態」に鑑みて、本件譲渡を承諾されなかった顧客が、「テックビューロ社に預託している仮想通貨の返還請求、その他の請求」を行ったとしても、これらの請求に対応できない可能性があると注意喚起を行っている。
Zaifに実際にログインして、テックビューロ社の承諾規約を確認すると、「当社に対して、当社に預託している仮想通貨の返還請求その他の請求を行ったとしても、これらの請求に対応できない可能性がある」との一文が記載されていることからも、万が一承諾漏れがあった場合、Zaifとの契約及び請求権が無効になってしまう恐れが高い。
フィスコ社のプレスリリース文でも、以下のような案内を確認できる。
テックビューロと各利用者の契約及び両者間の権利義務のFCCE(フィスコ仮想通貨取引所)への承継は、当該承継につき各利用者が個別に異議なく承諾された場合にのみ有効となります。
従いまして、別途ご案内する承諾手続きにおいて、当該承継を異議なく承諾された利用者との契約及び権利関係は FCCE に引き継がれますが、承諾されなかった利用者との契約及び権利義務は、FCCE には引き継がれず、利用者と FCCE との間には一切の権利義務関係は生 じません。
また、当該承継を異議なく承諾された場合であっても、FCCE(フィスコ仮想通貨取引所)は、テックビューロが利用者に対して負う損害賠償義務は一切承継いたしません。
引用元:持分法適用関連会社における事業の譲受けに関するお知らせ
つまり、顧客が「承諾手続き」を行わない場合、FCCE(フィスコ仮想通貨取引所)に対して「利用者との契約及び権利義務」は引き継がれず、損害賠償義務も生じない」ということになる。
Zaifの利用規約上負う債務及びZaifの利用規約におけるテックビューロ社の契約上の地位につき、譲受人に譲渡することに「承諾するか否か」は、本人の意向次第にはなるが、上記は十分留意する必要があると言えるだろう。
引き継がれるサービス内容と承諾の手順
株式会社フィスコ仮想通貨取引所によって承継・提供されるのは、以下のサービスだ。
- 主要通貨やトークンの取引
- ZaifAPI
- 簡単売買
- 信用取引
- AirFX
- Zaif コイン積立 など
承諾手順は、仮想通貨取引所Zaifのウェブサイトにログインすると、「Zaif事業譲渡に伴うお客様のご承諾のお願い」という譲渡に関する画面(以下、画像参照)に遷移できるので、内容をよく確認した上、「異議なく承諾します」もしくは「承諾しません」を選択する形となる。
ただし、有効期限が2018年11月21日(水)までとなっているので、仮想通貨を預けていて被害に遭った利用者は、くれぐれも承諾漏れのないよう注意したい。
プライベートブロックチェーンはどうなるのか
2018年7月2日、テックビューロ株式会社は、ソフトウェア開発・販売事業を2018年7月2日をもって分社化し、新会社テックビューロホールディングス株式会社(代表取締役:朝山 貴生)に承継している。
つまり、旧テックビューロ社が営む仮想通貨交換業は廃業となるものの、分社・承継済みのプライベートブロックチェーン製品「mijin」やICO総合プラットフォーム「COMSA」(ソフトウェア事業を承継)は、新会社テックビューロホールディングスの事業として残り、mijinなどのソフトウェア開発機能は、今後も継続して行われるものと考えられる。
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Zaif問い合わせ先
なお、Zaifでは本案件について、専用の問い合わせ先を設けている。
▼専用窓口
03-6629-2842 03-6629-2471
▼営業時間
10:00~17:30(土日祝含む)