- 米国の仮想通貨関連検索数が上向く
- ”過去最長の弱気相場”の真っ只中にある中で、米国の投資家の仮想通貨への関心が上向きに転じてきたことがわかった。アルトコイン関連の検索数では、2017年末を超える水準に到達している。
米国の仮想通貨関連検索数が上向く
仮想通貨市場は、2017年末の過去最高値更新から1年3ヶ月に渡る”過去最長の弱気相場”の真っ只中にあるが、ここにきて米国の投資家の関心が上向きに転じてきたことがわかった。
その判断指標の一つとして利用するのが、検索クエリやトピックの推移を掲載する「Googleトレンド」だ。Googleトレンドは、特定のキーワードの検索数を視覚的に確認、比較できるサービスで、投資家の関心度の指標としても度々用いられる。
今回、仮想通貨の関連クエリやトピックを調べた結果、明確に変化が見られた国は米国で、その中でも最も大きな検索推移の変化として確認されたのが、米国内における「アルトコイン」の関連トピックの検索数が、過去最高値を更新した点だ。
これは、2017年12月〜1月の最も市場が盛り上がっていた時期を超える数値であり、現相場の推移から鑑みても、異常値であることがわかる。
検索クエリとトピックの違いとしては、検索クエリが「仮想通貨」や「ビットコイン」といった単ワードでの検索結果であり、トピックがその内容に関連する内容を統合した結果となる。例えば、アルトコインのトピックが上がっている米国でも、「Altcoin」の単ワード検索では微増の結果となっている。
要するに、米国内におけるアルトコインの銘柄や、それに関連する内容の検索数が増えていることを示す結果と言えるだろう。
関連ワードとして挙げられているものでは、上位から順にビットコインやイーサリアム、ライトコインのほか、直近で上場発表で話題になったCoinbaseやリップル、ウォレットなどが入っている。
また、これらのキーワードの多くが、直近のトレンド変化として「急増」の値を示していた。
また、アルトコインではなく、「仮想通貨(検索数の多い日本:仮想通貨、米国:CryptoCurrency=暗号通貨を採用)」のトピック検索結果にも、米国トレンドでは右肩下がりにあった動きが上向きに転じている様子も見られる。Googleトレンド推移では、直近まで最低値の6を基準に6〜8で推移していたが、2月17日以降は11〜12までの水準に回復している。(数値は最高検索時を100とした上での比率 最高検索日時は2017年12月17日〜23日)
一方で、日本の仮想通貨検索は、下落相場の長さとともに右肩下がりに落ち続けるような推移を継続しており、投資家の関心低下が断続的に起こっている現状が見受けられた。Googleトレンドの推移では、現在が過去最低水準の8を示している。(最高検索日時は2018年1月28日〜2月2日)
米国市場での検索数が上向いてきた背景には、同時期において、これまでビットコインに懐疑的な立場を示していたダイモンCEOが率いる世界有数の金融機関「JPモルガン」が、仮想通貨とのワードを使用した独自通貨の発行を発表したほか、米フィデリティやIBMといった大手企業の仮想通貨関連サービスの開始(フィデリティは一部)、米国SECへのビットコインETFの再申請などがあると見られる。
また、米国の各州で「仮想通貨関連法案」の提出が相次ぎ、ワイオミング州やコロラド州などではすでに可決する動きが見られており、日本における(仮想通貨や交換業者を定義した)「改正資金決済法」の施行時期などの前例と同じく、政府による法整備の動きが、投資家心理や関心にも影響している可能性が考えられる。
日本においても、仮想通貨業界に「楽天ブランド」が誕生するなど、大企業の動きが見られていたが、依然として投機的な盛り上がりの方が強いことなどから、検索数の下落傾向は続いている。日本において特に検索数を変化させる要因としては、やはり通貨価格の上昇が鍵となるのではないだろうか。
最後に、米国市場におけるアルトコイン関連の検索数が上昇傾向に転じたことは、大きな意味を持つ可能性がある。直近でも、ビットコインの値動きに相関性を否定しつつ、単独の上昇を記録する通貨が複数見られる状況にあるが、過去最高値から95%以上下落したアルトコインは特に、UnderValue(従来の価値より安い)として捉えられやすいという見解もある。
現相場が、弱気相場の大底であるかどうかは定かではないが、国による整備がある程度進められてきた現状を踏まえると、「トレンド転換」を模索する動きが出てきても不思議ではなく、それらを見る上で、巨大金融市場を有する米国の関心度を示すデータの変化は、追っていく必要があると言えるだろう。
投資信託を運用する投資企業Grayscale社の仮想通貨ファンドの調達額が、3Qで過去最高額を記録したことなどが先日発表されたが、今後の市場の行く先を、見ていく指標として、複合的な見方がより重要となりそうだ。
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