COMPトークンの受け取り目的か
分散型金融プラットフォームCompound上でのテザー(USDT)供給量が急増していることがわかった。
CompoundのガバナンストークンCOMPはICO系トークンではなく、プラットフォーム利用者の貸し・借りに応じて配布されていくもの。この仕組みが利用者や供給量の急増をもたらしているとみられる。
同サービス上でのUSDTの総供給量(貸しサプライ)は記事執筆時点で2億3400万ドルとなっており、16日のCOMPトークンの配布前は供給量が100万ドル前後を推移していたことを考えると、いかに急増しているかが見てとれる。また、USDTの提供者(貸出者)は2800人におよぶが、借入人は680人に留まる。
以下はCompound上でのUSDTの活動状況で、折れ線は年利の推移となっている。
また、同じくステーブルコインのUSD Coin(USDC)も同様に供給量が急増しており、総供給量は1億7500万ドルとなっている。借入人は660人ほどだが、提供者は5500人を超え、USDTと2倍ほどの開きがある。提供者の多さからか貸出側に支払われるAPY(年利)はUSDTと比べて控えめとなっている。
Compund上でなぜUSDTやUSDCといったステーブルコインが人気になっているかについては、ステーブルコインの安定性という点。Compoundでは仮想通貨を担保として他の仮想通貨を借りることができるサービスだ。よってUSDTでUSDCを借り、借りたUSDCでまたUSDTを借りることを複数回行うことにより、原資以上の資金を得て、それに比例したCOMPトークンを受け取ることができる。
この戦略は価格が急変した際清算されるリスクがあるが、ステーブルコイン同士では価格の変動リスクは低くそこまで問題にならないうえ、自動で行うサービスまで登場していることが、熱狂に拍車をかけたとみられる。
19日、コインベースProおよびデリバティブ取引所FTXもCOMPトークンの新規上場を発表したため、COMPの流動性改善で需要が高まる状況だ。
DeFiの競争
DeFi分析サイトのDeFi PulseにおけるDeFiランキングでは、代表格であるMakerDAOが1位を維持しているが、Compoundは既に2位にまで浮上、その差はMakerDAOがサービスに預けられた総額を示すTVL(Total Value Locked)で5億200万ドル、Compoundが4億3300万ドルと7000万ドル以下になっており、首位が逆転する可能性も指摘される。
また、Compoundの急成長を受け、DeFi全体のTVLも急伸、記事時点で13億6000万ドルと過去最高を更新している。