デジタル証券の普及へ
日本の金融庁は、「デジタル証券(ST)」を普及させるため、規制を緩和することがわかった。日経新聞が8日に報じた。
早ければ8月にも内閣府令を改正する計画。1つの金融グループ企業がSTの発行、引き受け、販売までを通して担えるようにして、商品数の増加を促進し、投資家が購入しやすいようにするという。
規制緩和の対象となるのは、不動産物件を裏付けとするST。具体的には商業施設、ホテル、大型マンションが裏付け資産に含まれる。これまではこういった証券は、組成した信託銀行のグループ内の証券会社は引き受けに参加できなかったが、このルールを改定する。
今回の規制緩和が実現すれば、1つの金融グループで発行から引き受け、販売までの収益を想定できるようになり、STの発行増加につながる可能性があるという。
また、規制緩和に合わせ、日本証券業協会が投資家保護のルールを整備する計画。金融機関が投資家に公表する項目を拡充する。
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STの動向
2020年5月の金融商品取引法改正および関連する政省令の改正施行によってSTの法制度が整備されて以降、日本の市場も発展してきた。
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野村総合研究所(NRI)の24年5月版のレポートによれば、日本における23年度のST発行総額は976億円で、昨年度から5.8倍に成長しているという。以下はNRIが掲載している発行額と発行件数のグラフだ。
発行額における商品別の内訳を見ると、不動産を裏付けとした受益証券発行信託が85%(825億円)と最も多い。J-REIT(不動産投資信託)の公募における23年度の募集・売り出し総額が3,129億円であることを考えると、不動産STは大きな市場に成長しているとNRIは評価した。
STについては上述した法改正を含め、日本では国や自治体が普及を後押ししている。昨年12月には、Progmat(プログマ)ら約30社が行うベンチャーキャピタル(VC)ファンドのST化の取り組みに、オブザーバーとして内閣府らの政策当局も加わることがわかった。
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また先月末には、東京都がST市場拡大促進事業補助金の申請受付を開始したことを発表。都内の企業は申請が認められれば、金融商品取引法および不動産特定共同事業法にもとづき、ST発行に必要な経費の一部を補助してもらうことができる。
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