- 仮想通貨デリバティブ市場が絶好調
- 4月からの相場高騰の好影響により、デリバティブの出来高が好調な推移を見せている。各取引所で過去最高の出来高を記録しており、将来的な機関投資家の参入促進にも期待が高まっている。
- Diarとは
- Diarは仮想通貨・ブロックチェーンに関連するさまざまな調査を行う企業。同社は分析したデータをサイトを通じて提供している。
仮想通貨デリバティブ市場が絶好調
ビットコインがデジタル資産クラスへと成熟し始めているため、機関投資家による新しい市場開拓が徐々に進行している。今月に入り、ビットコインが高騰。これに合わせてイーサリアムなど多くのアルトコインもの価格も持ち上がり、個性的な値動きを見せた。
そのような相場の中で顕著な成長が見られたのが、デリバティブ取引である。
仮想通貨リサーチ企業Diarの報告によると、機関投資家によるビットコインのデリバティブ取引は過去最高を記録し、今年のデリバディブ取引には新しい傾向が見られた。
シカゴ拠点のCME(シカゴマーカンタイル取引所)
CMEはシカゴを拠点している取引所で、ビットコイン先物取引を提供している。米国内では、Cboe(シカゴボードオプション取引所)も同様の取引を提供していたが、5月からは取引を中止。
2017年12月より先物取引がスタートしたCMEは今月、過去最高の出来高を記録している。
昨年の仮想通貨市場の影響もあり、今年度に入っても先物取引は低迷していた。昨年12月から今年の3月までは厳しい状況が続いたが、ビットコインの相場高騰の波に乗り、4月の出来高は3月比約380%の約50億ドル(5515億円)に達した。
5月はさらに相場が高騰し、同社の取引高は3月比約520%の約70億ドル(7721億円)を超えている。このような伸長から、ビットコイン先物取引は金融市場の中で非常に注目を浴びているデリバティブ取引といえる。
オランダ拠点のデリバティブプラットフォームDerbit.com
Derbit.comはヨーロッパスタイルの先物オプションを提供しているプラットフォームである。同社の取引高も毎月記録。今月にいたっては、最低を記録した昨年の10月より6倍もの伸びを見せている。
BitMEXの出来高が過去最高に
BitMEXは、証拠金取引レバレッジ100倍の取引が可能なことで、日本を含め、世界中から人気を集めている取引所だ。
昨年の仮想通貨市場が冬相場を迎えていたにも関わらず、11月,12月では60億ドル(6618億円)前後まで出来高を伸ばしていた。今年に入り1月から3月は出来高が低迷。3月は直近で過去最低の記録を残している。
ところが、CMEと同様に4月からの相場急騰を受け、4月は約60億ドル(6618億円)まで回復。5月には78億ドル(8603億円)に達し、ついに過去最高をマークした。
専門家が分析したところ、ビットコインデリバティブ取引量はビットコインの発行限度枚数である2100BTCをはるかに超える見込みが立っているという。
さらに、デリバティブに特化したデータ分析会社SkewのCOOであるTimothee Noat氏は、ビットコインデリバティブ取引の増加が市場操作を減らすのに役立つDiarに語り、次のように説明した。
現物決済の先物取引の最近の拡大は、市場操作を減らすのを助ける金融インフラストラクチャの開発につながる。
機関投資家の参入契機も
今月の仮想通貨市場は、一般ユーザーから機関投資家まで新たな参入機会を掘り起こした。また、2019年は新たなデリバティブ取引の申請、開始にも期待が集まっている。
先物取引では、BakktとLedgerXの2社が現物決済のビットコイン先物取引を申請。Bakktは7月にプラットフォームのテストが予定されているほか、ビットコインETFの申請では、VanEck、Bitwise、XBET、NYSE Arcaの4社が現在米SECに申請中である。
米議会で法整備の議論が活発になっていく中、相場の高騰に加え、市場への新規参入者増加やこれらの申請の実現が期待される。そうなれば、機関投資家の参入促進にもつながる事が期待される。