SECの新たな申し立て
米証券取引委員会(SEC)は4日、米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースに対する訴訟で、追補判例通知を提出。Terraform Labsの最新の判例を考慮するよう、裁判所に求めた。SECは対バイナンス訴訟においても3日、同様の追補判例通知を提出した。
SECが言及しているのは、昨年12月28日に、Terraform Labsが未登録有価証券を提供していたとするSECの主張が、ニューヨーク州南部地区連邦地裁で認められた判例についてだ。
同地裁のジェド・ラコフ判事は、「UST、LUNA、wLUNA、MIRといったトークンは投資契約であるため、有価証券であることに異論はない」と述べ、SECの主張を支持した。
SECに有利なこの判決を活用して、SECは仮想通貨取引所大手2社に対する訴訟の論拠を強化しようとしている。
SECは2023年6月5日にバイナンスを、翌6日にコインベースを、未登録で有価証券の提供を行なったとして提訴。また、両取引所が提供しているステーキング・サービスの有価証券性も問題視している。
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コインベースのケース
コインベースに対するSECの訴状では、UST、LUNA、wLUNA、MIRトークンについては言及されていない。SECは、以下の銘柄を未登録証券として分類されるべきだと主張している。
ソラナ(SOL)、エイダ(ADA)、ポリゴン(MATIC)、ザ・サンドボックス(SAND)、チリーズ(CHZ)、インターネットコンピューター(ICP)、ニア(NEAR)、ダッシュ(DASH)、ファイルコイン(FIL)、アクシーインフィニティ(AXS)、フロウ(FLOW)、Voyager (VGX)、Nexo(NEXO)
コインベースは、SECが有価証券と見做しているトークンは投資契約ではなく、SECはその権限を超えた訴訟をおこなっていると主張。コインベースのポール・グレワル最高法務責任者は以下のように述べた。
SECは、買い手が価値の上昇を期待して購入するものはすべて投資契約であり、したがって証券であると主張しており、そうすることで権限を過大に拡大しようとしている。
「投資契約」の定義については、昨年8月に米名門大学の証券法の学者らが、コインベースを支持する法廷助言書(アミカスブリーフ)を裁判所に提出。SEC対ハーウィの最高裁判決と連邦証券法の制定時における「投資契約」の理解/定義について、分析と解説を提供している。
関連:米名門大法学者ら、対SEC裁判でコインベース支持の法廷助言書提出
ハウィーテストとは
ハウィーテストとは、米国で特定の取引が「投資契約」という証券取引の定義の一つに該当するかどうかを判定するテスト。1946年のHowey社訴訟事件の際に裁判所が「投資契約」の判断基準として定めた。/p>
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バイナンスのケース
バイナンスに対する訴訟でSECは、ソラナやエイダ、ポリゴンなどの銘柄に加え、米ドルに連動したステーブルコインBUSDとバイナンスの独自トークンBNBが、有価証券に該当すると主張。その関連サービスも問題視している。
SECは今回の追補判例通知で、以下のように指摘した。
Terraform被告の「ステーブルコイン」USTに関する裁判所の分析は、Binanceの「ステーブルコイン」BUSD、および被告のサービスとしてのステーキング、BNB Vault、Simple Earnプログラムに関する被告の主張について、当裁判所が検討する際に特に関連性が高い。
SECのバイナンスに対する訴訟は、Terraform Labsのケースと類似点が多いため、今後の裁判所の対応が注目される。特にステーブルコインが有価証券に該当するか否かの判断は、今後の仮想通貨業界に大きな影響を与える可能性が高い。
ステーブルコインUSDCを提供する米サークル社は昨年9月末、裁判所に書面を提出し、「決済用ステーブルコイン自体は、投資契約の本質的な特徴を備えていない」と論じた。
SECは、特定資産を有価証券判断する基準の一つとして、「投資行為によって、利益を合理的に期待できる」ことを挙げているが、ステーブルコインは「定められた価値で償還される」という性質から、こうした基準を満たしていないとサークル社は主張した。また、通常、ステーブルコインのユーザーはその購入によって、利益を得ることは期待していないと付け加えた。
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