
金が時価総額30兆ドルを突破
伝統的な価値保存手段である金が今週初めて30兆ドルの時価総額を超え、ビットコイン(BTC)やハイテク大手を大きく引き離している。金は1オンス4,251.8ドルで取引されており、年初来で約63%上昇した。一方でビットコインは年初来14.5%上昇に留まっている。
金は今年だけで11兆ドルの価値を追加し、時価総額2位のエヌビディアを250億ドル上回った。世界経済の不確実性と法定通貨への信頼低下が、安全資産としての金の需要を押し上げている。銀も年初来73.7%上昇と大幅な伸びを見せた。

金の急騰を後押しするマクロ要因は複数あるとされる。先日、パウエル連邦準備制度理事会議長が米雇用の減速が成長への脅威になると述べ、市場は年内に2回の追加利下げを織り込んだ。実質金利の低下が貴金属に有利な環境を作っている。
また、トランプ大統領が中国の大豆輸入停止を受けて「経済的敵対行為」と非難し、11月1日までに中国への関税を100%に引き上げると警告した。また、政府機関閉鎖が3週目に入り、米ドルへの信頼が低下しており安全資産への需要がさらに高まっている。
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一方で、ビットコインは10月に強いスタートを切ったが、米中関税戦争により売り圧力が強まっている。ビットコインは現在10万8000ドル以下で取引されており、過去1カ月で8%下落した。オンチェーン分析企業エコイノメトリクスによると、貿易緊張の再燃がビットコインのパフォーマンスを圧迫している。
コイングラスのデータでは過去3回の取引セッションで8億ドル超のビットコイン流出が記録された。テクニカル面ではスーパートレンド指標が弱気に転じ、センチメントの脆弱性を示している。ただし大口保有者は下落局面で静かに買い増している兆候も見られる。
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さらに、著名トレーダーのマーライン・ザ・トレーダー氏は16日、「ビットコインは世界の流動性と金に遅れている。M2は急増し、金は急騰しているが、ビットコインは眠っている。この乖離は長続きしない。流動性は常にリスクを見つける。追い上げ相場は激しいものになるだろう」と分析した。別のトレーダー、クリプト・セス氏も金が月足チャートで買われ過ぎの状態にあり、ビットコインが反発すれば大幅上昇の可能性があると指摘している。

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