BitMEXが対応方針を発表
世界最大の仮想通貨デリバティブ取引所BitMEXは14日、XRP/USD取引の「フラッシュ・クラッシュ」が発生したことを受け、対応方針を発表した。
この件でポジションを強制決済(清算)された一部利用者からクレームが殺到。責任追及の声が高まっていた。
BitMEXは今回の件に関して、「一部トレーダーが行なっていた逆指値はインデックス価格でなく、実際のラスト取引価格で実施された」と説明。「調査の結果、システムやストップロスの仕組みに問題なかった」と続けた。
補償金などの救済手段に関しても、「取引のロールバックや、リファンドは行わない方針」と声明を発表している。
弁護士の見解
仮想通貨界隈の著名弁護士Jake氏は、BitMEXの法的管轄に関して見解を語った。
BitMEXが米国の登録取引所なら、最低限でもCFTC(米商品先物取引委員会)は動くだろうが、今回のケースでは該当しないだろう。
BitMEXの利用者は米国や日本、アジア地域にも多いとされるが、BitMEXはこのような要請が届くエリアの登録企業でないことがその理由だ。
実際に、2019年7月にBitMEXがCFTCから調査を受けた事例があったが、調査結果の公表には至っていない。
フラッシュ・クラッシュの事例
フラッシュ・クラッシュは今回の件だけでなく、米コインベースでも起きた事例があるが、コインベースの場合は現物取引であるため、証拠金による強制清算は発生しなかった。
一方、サーキットブレイクなどによるフラッシュ・クラッシュが時々見られる米取引所Krakenは、2019年に渡り連邦捜査局『FBI』からの召喚状や調査要求書を大量に受けていたことを報告している。
BitMEXでは、大規模フラッシュ・クラッシュによる損害を認定させるため、CFTCに調査を要請するトレーダーも現れるものと考えられるが、Jake弁護士によれば、法人を米国に置いていないBitMEXはCFTCの調査要請に従う義務はない。
なお昨年11月、-15%のフラッシュ・クラッシュが発生したデリバティブ大手Deribitは、取引をロールバックし、損失を補償する方策を取っていた。
伝統金融市場
フラッシュ・クラッシュは、伝統金融市場である株式市場やFX(外国為替証拠金取引)でも度々発生している。
米株式市場を揺るがした2010年5月6日のフラッシュ・クラッシュでは、S&P500、ダウジョーンズおよびナスダック総合指数が、数分間で9%(約1000ドル)下落。米司法省は5年後の2015年、フラッシュ・クラッシュを意図的に引き起こした相場操縦の疑いで、英国人のNavinder Singh Sarao容疑者を逮捕した。「自動プログラムを利用し、大量の注文を発注した後直ちにキャンセルする「スプーフィング(見せ玉)」行為が問題視された。