CoinPostで今最も読まれています

米仮想通貨団体「プルーフオブステーク同盟(POSA)」とは|普及目的と活動内容

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

米プルーフオブステーク同盟(POSA)とは

アメリカには、「プルーフオブステーク同盟(Proof Of Stake Alliance:以下、POSA)」という名の団体があります。 POSAは、プルーフオブステーク(以下、PoS)の普及を推進するため、規制当局や政策決定者を対象にした啓蒙活動などを行う団体です。

プルーフオブステークは、仮想通貨業界で一種の「不労所得」として注目されていますが、プルーフオブステークはネットワーク参加者がいて成り立つものです。そして、その参加者に対してどのように課税するのか、などの論点について、世界中で多くの関係者が活発に議論しています。

この記事では、アメリカで活動をしているPOSAがどのような目的で、どのような活動を行っているのかをお伝えします。

1)POSAとは?

PoS技術やそれを取り巻く規制に関する対話を通じ、政治家や規制当局に働きかけていくロビイング活動を行う団体「POSA(PoS:Proof Of Stake Alliance)」は、2019年9月に立ち上がりました。

POSAは、PoS技術の開発に携わる関係者や、規制当局、政策決定者間の対話を通じ、PoS技術の規制について政治家などに働きかけていくことを目標としています。つまり、PoSそのものについて、規制当局などの関係者を教育することにとどまらず、積極的にロビイング活動も行うと、サイトに明記されています。

2)POSAのミッションとアクション

POSAのミッションには、以下の項目が含まれています。

  • 顧客、技術者、法律、規制の面でPoSに透明性をもたらし、米国でのイノベーションを促進する
  • PoS技術を利用したり、あるいは関わりをもつ関係者間のコラボレーションを醸造する
  • 規制当局や政策決定者との対話を通じてPoSについて啓蒙・周知する
  • PoSに関する透明性ある法律や規制のフレームワークを構築する

そして、PoS技術の普及のためには、下記の3点が重要であると述べています。

  • ネットワークの分散化を推進・維持する
  • エネルギー消費量を減らす
  • トークン保有者がネットワークへより積極的に参加できるようにする

なぜ、POSAがこのような活動を行っているのか。その答えは、PoS技術をとりまく状況にある、とPOSAは表明しています。POSAでは、PoS技術は主に3つの課題を抱えている、と考えています。

1. 不確実性

PoSネットワークはオンライン上で稼働し始めたばかりで、法律、税務、規制の観点からどのように統制するかについて具体的なガイドラインは整っていない。実在するPoW規制とPoS規制は異なる内容になるはずで、そのためには、新しいフレームワークと規制が求められている。

2. 教育の不足(啓蒙不足)

PoSそのものや、PoSがPoWと比較して環境への負担が少ない、といった技術と環境面でPoSが優れている点があるにも関わらず、規制当局や政策決定者には、そのような知識や情報が不足している。その補填は座学だけではなく、対話を通じても行う必要がある。

3. 不透明な法律と税制

法律と税制の不透明さが、PoS普及の足かせになっている。活発かつ透明性のある議論を促し、PoS普及の推進と米国におけるイノベーションを遅れさせないように規制当局に働きかけることが重要。

POSAが掲げる6つの活動

これらの課題に対し、POSAは6つの活動を実施することで解決を目指しています。

1. 連携

米国の法律事務所や会計事務所、ロビイストと協力して規制当局や政策決定者と対話を重ねる

2. 議論に参加する場作り

メンバーにPoS技術とネットワークの利点について議論(話しあう、対話する)場を提供する

3. 啓蒙活動

PoS・エコシステムの成長をさらに促進するため、必要(適切)な規制をPoSにかける意思がある規制当局や政策決定者に対し、PoSの利点について伝える

4. 連携を促すプラットフォーム作り

POSAの目標は、PoS・エコシステムのステークホルダー達が対話を行い、消費者を保護しつつイノベーションを推進できる規制の枠組みが形成されるための推進力を生み出すプラットフォームになる

5. 同一のメッセージ

規制当局や政策決定者たちが理解しやすい、理解できるようなメッセージを、POSAメンバーは同じメッセージを発信する

6. 集中

PoSに法的・規制面での透明性をもたらすことを目指します。PoSの健全な成長と成功に貢献する上で、POSAメンバーが最も重要かつインパクトのある形で関与する

3)POSAのメンバー

POSAには、ブロックチェーン業界ですでに著名なプロジェクトや法律事務所などが参加しています。メンバーの中にはWeb3 Foundatioin、Tezosの開発・成長を担う団体も含まれています。

関連:https://web3.foundation/

Web3 Foundation(以下、Web3財団)は、Web3.0の実現に向けた世界的な動きをリードするブロックチェーン財団です。Web3財団は、既存の中央集権型のインターネットを分散化するためにPolkadotなどのプロダクトを開発する一方で、Web3.0の実現を推進するプロジェクトへの資金や技術面でのサポートも行っています。

また、Tezosは、スマートコントラクトや分散型アプリケーションに適した新しいプラットフォームです。

独自の​ガバナンスメカニズムを実装しており、そのネットワークに参加することで、参加者自らが今後のTezosの成長・発展に貢献する事ができます。TQ Tezosはこのプラットフォームとエコシステムを発展させるための集団で、オープンソースソフトウェアの開発や、Tezos上で開発を行うプロジェクトや企業向けにサポートを提供しています。

関連:https://tqtezos.com/

4)POSAのホワイトペーパーに記載されていること

POSAは2020年1月頃から、サイト上にホワイトペーパーを公開しています。このホワイトペーパーは、世界的に有名な国際法律事務所であるポール・ヘイスティングス(Paul Hastings LLP)が作成したものです。

このホワイトペーパーは、正式にはPoSによって得られた報酬への課税に関する提案(Proposed Tax Treatment of Earning Proof of Stake Awards)と題されており、PoSの概論的な説明にとどまらず、そもそもブロックチェーンとはどのようなもので、活用方法としてどのような形が考えられるのかについてまで触れています。

そのため、このホワイトペーパーを読めば、PoSのみならず、ブロックチェーン技術とは一体どのようなものか、この技術はどのように生活やビジネスに適用されうるのかについて、誰でもおおまかに理解できる内容になっています。ここからも、ブロックチェーンについて理解が追いついていない規制当局や政策決定者に対して、POSAがいかに啓蒙活動を重要視しているかがうかがい知れます。

ホワイトペーパー目次(一部)

  • ブロックチェーン技術の成長が、経済という視点で見るとどのような推移をたどったのか
  • ブロックチェーンとは?分散型台帳技術とは?
  • データ共有とデータ保護
  • ブロックチェーン活用例
  • 不動産の権利管理
  • 医療業界における記録

など

POSAのサイトやSNSアカウントは以下の通りです。POSAはニュースレターを発行しているため、最新情報を追いかけたい方は、登録してみてはいかがでしょうか。

関連:https://www.proofofstakealliance.org/

5)日本のステーキング部会について

日本仮想通貨ビジネス協会には、様々な分科会があります。

分科会の中にはステーキング部会があり、この分科会は2019年11月に立ち上げられました。

ステーキング部会では、ステーキングの基本的概念の啓蒙活動に加え、PoS 及びDPoSを採用する主要暗号資産におけるステーキングモデルの解説、法規制や税務会計などの視点をもとにステーキング方法の分類や、それらの論点整理などを行なっています。この分科会には、仮想通貨取引所、ブロックチェーン技術の開発に従事する企業、メディア、法律事務所、証券会社などが会員として参加しています。

関連:https://cryptocurrency-association.org/subcommittee/

寄稿者:さとうさん@extreme_stretch
2014年頃ブロックチェーン技術を知ったことがきっかけで、過去2年間、主に海外プロジェクトの日本における活動をサポートする事業に参画。平日日中はマーケットリサーチ企業に勤めるかたわら、複業として海外ブロックチェーンスタートアップを翻訳などでサポート中。NFTに関する情報発信も行っている。

CoinPostの関連記事

仮想通貨のPoS(プルーフ・オブ・ステーク)とは|PoWとの違いとメリットを解説
イーサリアムのPoS移行により、関心が高まるプルーフ・オブ・ステーク。ビットコイン(BTC)で採用されるPoWとの違いやPoSのメリットについて詳しく解説。
仮想通貨ステーキングとは|初心者でもわかる「報酬」の仕組み
仮想通貨イーサリアムのPoS採用予定や大手仮想通貨取引所コインチェックのサービス開始で、国内外で一気に認知度が高まることとなったステーキングについて、実際の利率など詳しく解説。
CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
03/29 金曜日
17:08
HSBC銀行がトークン化されたゴールド商品を香港で提供開始
HSBCは香港の個人投資家に向けて、オンラインバンキングとウェブサイトを通じたトークン化されたゴールド商品のアクセスを提供開始した。トークンはHSBC Orionプラットフォームで発行され、リテール向け、HSBCオンラインバンキングおよびHSBC香港モバイルアプリを通じて提供される。
15:30
Filecoinステーキング大手、Glifがポイントプログラム開始
暗号資産(仮想通貨)ファイルコイン(FIL)の、ステーキング・プロトコルGlifがポイントプログラムを開始した。FILトークン保有者は流動性プールにFILを預けることで、Glifのネイティブ・リキッド・リース・トークンである「iFIL」を受け取り、運用できる。
14:34
イーサリアム共同創設者ブテリン氏、Dencun後の改善点を語る
仮想通貨イーサリアムの共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏は、Dencunが完了した今後の技術的な改善点を提案した。
14:11
CoinTradeがソラナ含む4銘柄の取扱い開始、ステーキングサービスにSOL追加
暗号資産(仮想通貨)販売所CoinTradeがソラナを含む4銘柄の取り扱いを開始。ステーキングサービスにSOLを追加した。条件をクリアすることでSOLをプレゼントするキャンペーンを開催中。ジパングコイン(ZPG)など三井物産デジタルコモディティーズも新規で取り扱う。
12:55
日本DAO協会4月1日に立ち上げ 府令改正も同日公布
日本DAO協会が4月1日に設立される。DAOの自主規制や健全なエコシステムづくりを推進していくもので、協会自体の運営もDAOで行う計画だ。
12:24
ビットコイン7万ドル台で高止まり、ブラックロックの新規ファンド好調でRWA関連銘柄買われる
暗号資産(仮想通貨)市場ではビットコインが7万ドル台新高値をうかがう展開。アルト相場ではブラックロックのトークン化ファンド「BUIDL」絶好調の影響で、ONDOなどのRWA関連銘柄が買われた。
11:30
Googleサーチ、ビットコインやArbitrumなどのアドレスで資産残高を確認可能に
全ての資産を表示するわけではなく、残高は各ネットワークのネイティブトークン(ETHやARB、OPなど)のみを表示。
10:50
5月のローンチ目指す、香港でビットコイン現物ETF申請のVSFG
仮に香港で承認された場合、アジア初の事例となり、今後日本でのビットコインETF上場や発行にも追い風になりうるとみられる。
10:00
FTXのサム前CEOに懲役25年の判決 カリフォルニアで服役へ
米国地方裁判所の判事は28日、破綻した仮想通貨取引所FTXのサム前CEOに対して懲役25年、および最大1.7兆円の資産没収という判決を言い渡した。
08:40
2.6兆円相当のBTC保有数到達、ブラックロックのビットコイン現物ETF
純流入再び加速 ブラックロックのIBIT・ビットコイン現物ETFの運用資産は初めて、250,000 BTC(2.6兆円)を超えた。1月11日の取引開始からわずか11週間で2兆円…
08:10
Wormholeの仮想通貨「W」、取得開始日明かす
Wormholeは、今月7日に、Wトークンのエアドロップアロケーションや適合対象アドレスを公開。ソラナ、EVM系、Sui、Aptos、Osmosis、Injectiveといったネットワークでのユーザーや、ソラナNo.1NFTコレクションである「Mad Lads」のホルダーを対象としている。
07:40
米投資会社、マイクロストラテジーの株はBTCより割高と指摘
マイクロストラテジーの株価から概算する仮想通貨ビットコインの価格は17万ドル超であると米ケリスデールが分析。同社の株は、ビットコインに対し正当ではないプレミアムがついて取引されているとの見方を示した。
07:20
アバランチ財団「Codebase」、最初の支援プロジェクト15社を選出
アバランチではすでに「Colony Lab」という分散型アクセラレーターが活動しているが、今回Codebaseと連携し支援対象への資金提供を拡大し、1プロジェクトにつき、100万ドルを超える金額を提供する可能性がある。
06:45
5月承認の可能性低いもBitwiseらがイーサリアム現物ETFの上場申請行う
イーサリアムETFが現在の多くの申請の最終期限となる5月に承認される見込みは、SECがイーサリアム財団を調査しているとの報道などを受け大幅に後退している。1月には70%あったが、現在は20%程度まで低下してきた模様だ。
05:50
Bybit、ソラナミームコイン「POPCAT」の永久先物提供
ソラナの仮想通貨ミームコインへの需要は未だ高い。代表的な犬系ミームコイン「WIF」は29日過去最高値を更新し、前日比で20%上昇している。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
イベント情報
一覧
2024/04/06 ~ 2024/04/09
香港 香港コンベンション・アンド・エキシビション・センター3FG
2024/04/09 14:00 ~ 16:00
その他 オンライン
2024/04/13 ~ 2024/04/14
東京 東京都港区
2024/04/13 10:00 ~ 17:00
その他 オンライン
重要指標
一覧
新着指標
一覧