はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

DeFiの認知度と利用度のギャップを可視化する|CoinGecko Japan寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

DeFiの認知度と利用度のギャップを可視化する

ここ1~2年で、DeFi(分散型金融)市場は大きく成長し、メディアがDeFiに関するニュースを取り上げる回数も増えています。ですが、実際にどれだけの人がDeFiを知っていて、かつDeFiサービスを利用しているのでしょうか。

本記事では、Coingeckoが独自に実施したアンケートデータを元に、数あるDeFiカテゴリ及びDeFiサービスの認知度と比較した実際の利用度、ユーザーの利用意思を明らかにしていきます。

要旨

  • DEX、ウォレット、分散レンディングが特に多くの認知を獲得。
  • DeFiサービスは認知度と実際の利用度の間に大きなギャップが存在する。
  • 利用度の低さは否めないが、回答者の大多数が”脱銀行”に前向き。

下図はCoingeckoが4月に公開した「CoinGecko四半期レポート for Q1 2020」の、各DeFiカテゴリの認知度に関するスライドです。カテゴリはDEX(74%)、ウォレット(73%)、分散レンディング(54%)、分散保険(9%)、その他(56%)のように分類されています。

やや一部の分野への集中が見られますが、DEXやウォレット、分散レンディングを中心に、DeFiの認知度の高さが伺えます。

続けて以下グラフは各DeFiサービスの認知度のランキングデータです。MetamaskはEthereum上で最も人気なウォレットサービスの一つで、利用用途はDeFiに限られません。そのため首位であるのも当然といえます。

次に、各DeFiカテゴリでの各サービスの認知度・利用度・利用意思の違いを見ていきましょう。下図はDeFiサービスの利用に用いられる人気のウォレットであるMetamaskとArgentの比較データです。

ArgentはDeFi内蔵ウォレットとしてメディアやユーザーから一定の注目を集めていました。しかしアンケート実施当時はクローズド版であったこともあり、認知度に対する利用度はMetamaskほど高くはありません。

※質問の内容
・Aware P3M = そのサービスを過去3ヶ月間で見聞きしたか
・Usage P3M = そのサービスを過去3ヶ月間で利用したか
・Intent 12M = そのサービスを今後12ヶ月で利用する意思はあるか

下図はDEXであるKyber Network・Unisawap・Bancor・dydxの比較です。Kyber及びUniswapは様々なDeFiサービスに対し流動性提供を行っており、広く利用されていることが分かります。

一方でBancorの認知度だけが突出して高い理由は、dydxなどと比較して古参プロジェクトである点や、2017年に大規模なICOを実施した点などが要因だと推測できます。

DEXにとって最大の課題は中央集権型取引所(CEX)に対抗することです。しかし現在DEXの中で取引ボリューム首位のUniswapですら、1日の取引ボリュームはBinanceの約170分の1程度しかありません。(※執筆当時2020/6/11)

下図は分散レンディングカテゴリのMaker・Compound・Instadapp・bZxの比較です。認知度の観点では、DeFiエコノミー内の主要ステーブルコインであるDAIを発行するMakerが圧倒しています。

ただしMakerの認知度に対する利用度・利用意思は、Compoundなどと比較して低いことが分かります。これは3月に起きた資産流失事件を要因としている為でしょう。セキュリティに関する話でいえば、bZxの利用度が異常に少ない要因も、2月に起きた攻撃及び資産流出を背景としていると考えられます。

その他のDeFiサービス群である、予測市場のAugurや保険分野のNexus Mutual及びopyn、ギャンブルのPool Together、決済のxDAI、バスケットプロトコルのSet、給与先払いのSablierのデータも見てみましょう。

これらのほとんどは比較的新しいサービスであるため、上述のKyberやMakerと比較すれば、認知度の低さ及び認知度に対する利用度・利用意思の低さはより顕著です。Augurが突出して認知度を獲得できているのは、Bancorと同様に古参かつICOプロジェクトであるためでしょう。

下図は上述のデータを元に、ブランド認知度(Brand Awareness)及び最近の利用(Recent Usage)という2つの指標を4象限データに変換したものです。Metamaskを除く全てのプロジェクトが、右下から右上の象限にかけて点々としていますが、これはつまり認知度の過剰な上昇を意味しています。

さて、ここまでDeFiサービスの実際の利用度の低さを明らかにしてきましたが、利用度の上昇を期待させるポジティブなデータもあります。驚くことに別のアンケートでは、「将来的に銀行の利用を完全にストップするか」という質問に対し、44%の回答者が「完全に止める」と回答しています。

今現在のDeFiの利用度の低さは課題であるものの、こちらのアンケート結果を見ると、既存の銀行システムに対する問題意識はある程度共有されていることが分かります。今後の長期的なDeFiサービスのパフォーマンス次第では、認知度に対する利用度のギャップを埋めていくことができるかもしれません。

(記事作成:CoinGecko Japan)

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
08/17 日曜日
19:37
金融庁、日本円建てステーブルコイン「JPYC」承認へ=日本経済新聞
金融庁が国内初の円建てステーブルコイン「JPYC」を承認へ。今秋にも発行開始予定で、3年間で1兆円分の発行を目標とする。JPYC代表の岡部氏は「ステーブルコインは巨大な国債消化装置」とコメントし、日本国債市場への影響を予測。国際送金やDeFi活用に期待が集まる
14:00
今週の主要材料まとめ、ビットコイン6年以内1000万ドル到達の可能性やリップル訴訟終了発表など
前週比で振り返る仮想通貨市場の最新動向。ビットコインやイーサリアム、XRP、ソラナといった主要銘柄の騰落率や注目材料を一挙紹介。市場トレンドと関連ニュースを詳しく解説する。
11:30
ビットコイン1750万円台で方向感欠く、ジャクソンホール会議が転換点に|bitbankアナリスト寄稿
ビットコイン(BTC)対円相場が1750万円周辺で方向感を欠く展開。米CPI下振れで利下げ期待が高まるも、PPI上振れで大幅利下げ観測が後退。来週のジャクソンホール会議とパウエルFRB議長発言が相場の鍵を握る。テクニカルサポートも豊富な現在の市況を詳しく分析。
11:00
週刊仮想通貨ニュース|メタプラネットの大幅増益に高い関心
今週は、メタプラネットの決算発表、バリュークリエーションのビットコイン全売却、スコット・ベッセント米財務長官のビットコイン準備金に関する投稿のニュースが最も関心を集めた。
11:00
『守りの金(ゴールド) vs 攻めのビットコイン』資産配分における役割の違いを解説
相場暴落時に注目の集まりやすい金(ゴールド)とビットコインの比較を初心者にもわかるよう解説、インフレ耐性や政府の影響回避といった類似性と、安定性や価格変動要因の違いを比較、投資戦略や資産配分のポイントも提示する。
08/16 土曜日
13:45
トランプ一族支援のアメリカンビットコイン、日本・香港企業買収を検討
ドナルドJrとエリック・トランプ氏が支援する米仮想通貨マイニング企業アメリカンビットコインが、日本と香港の上場企業買収を検討中。マイケル・セイラー氏の戦略に倣い企業財務でビットコイントレジャリー企業を目指す。
13:18
仮想通貨取引所ジェミナイがIPO届出書公開 リップル社からの信用枠も設定
米仮想通貨取引所ジェミナイがナスダックへの上場申請書類を公開した。2025年上半期は純損失が拡大も、リップル社から信用枠も確保している。
11:20
ニューヨーク州議員、仮想通貨取引に0.2%課税法案を提出
ニューヨーク州議会のフィル・ステック議員が仮想通貨取引に0.2%の物品税を課す法案を提出。ビットコインやNFT取引が対象で年間1億5,800万ドルの税収を見込む。
10:15
米司法省、ランサムウェア攻撃容疑者から約4億円の仮想通貨を押収
米司法省がランサムウェア攻撃容疑者から280万ドル超の仮想通貨を押収した。トランプ大統領のビットコイン・仮想通貨準備金政策により、政府が備蓄資産に加える可能性もある。
09:50
ヒューマファイナンス、Eコマース販売者向け当日決済ソリューションを発表
ソラナ基盤のPayFiネットワークを運営するヒューマファイナンスがArf、Geoswift、PolyFlowと提携し、世界大手Eコマースプラットフォーム販売者向けの即時決済サービスを開始。
08:10
ETH財務企業ビットデジタル、25年2Qに黒字転換
ビットデジタルは2025年2Qの決算を発表。仮想通貨イーサリアムの保有量やステーキング量も報告し、今後もイーサリアムの買い増しを継続すると説明した。
07:30
DeFiデベロップメント、ソラナ保有量387億円相当に拡大
ソラナ特化型財務戦略企業DeFiデベロップメントが2200万ドルで11万SOL追加取得。総保有量142万SOLで1株あたり0.0675SOLに増加。
06:30
ビットマイン、186億円相当イーサリアムを追加取得
ETHトレジャリー企業ビットマインが過去2時間でギャラクシー・デジタルのOTCアドレスから大口ETH移転を受領。総保有量120万ETHから拡大継続。
06:00
イーサリアムトレジャリー企業シャープリンク、四半期決算で大幅赤字
仮想通貨イーサリアム財務戦略企業シャープリンク・ゲーミングが第2四半期決算で大幅赤字。ETHステーキングに関する8780万ドルの非現金減損が損失の大部分を占める。
05:35
米FRB、仮想通貨監督の特別プログラムを終了 トランプ政権の規制緩和受け
米連邦準備制度理事会が2023年開始の仮想通貨・フィンテック特別監督プログラムを終了し、通常監督へ統合。トランプ政権の規制緩和方針が牽引。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧