はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

「推定時価1兆円」を保有、サトシ・ナカモトによるマイニングの真の目的とは

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

サトシ・ナカモトのBTC保有量を推計

大口のオンチェーントランザクション分析を行うホエール・アラート(Whale Alert)は、サトシ・ナカモトによるマイニングパターンを分析し、過去に採掘されたビットコイン数を割り出した。総量112万5150BTC、執筆時のレートで1.12兆円相当に及ぶ。

この「最も正確な推計」に到達する過程で、ホエール・アラートはサトシがマイニングした目的も推察することができたと主張。それは、マイニングの速度を調整することで、まだ”幼い”ネットワークを守り育てようとする、ビットコインの生みの親の姿だったという。

分析の手法

サトシが所有するビットコイン量を推定する研究の中で、最も有名な分析の一つがビットコイン・セキュリティ研究者のSergio Demian Lernerが発見した「パトシ・パターン(The Patoshi pattern)」だ。

このパターンは、各ブロックのコインベース・トランザクション(採掘報酬が得られるトランザクション)でマイナーが使用するエキストラナンス値に見られる特徴的な型で、Lernerは3年の月日をかけて発見したという。Lernerはこの発見により、約110万BTCの採掘を行ったマイナーを突き止めたが、業界ではこの人物こそサトシだと見ている。

ホエール・アラートは、Lernerのパトシ・パターンを利用するとともに、一定のブロック間で各パトシチェーンの開始時にのみ使用される数字を特定、サトシが採掘しなかったブロックを除外することに成功し、その結果、明確な推計を得ることができたという。

分析の結果、最初にマイニングされた5万4316ブロックのうち、推定2万2503ブロックがサトシによるものだと考えられるという。使用されたブロックのうち、少なくとも18ブロックがサトシのものであると確認されており、取引されたのは907BTCになるとのことだ。(取引時レートは1BTC当たり0.01ドル未満)また、112万2693BTCは、まだ使用されていないとホエール・アラートは指摘している。

調査の目的

ホエール・アラートは、サトシの採掘したビットコインに関する調査の目的は、単にサトシ保有のビットコイン量だけではなく、なぜサトシがこのようなマイニング手法を選んだのか、ということを知るためだったと述べている。

分析により、ブロック5万4316=2010年5月を境に「パトシ」によるマイニングが停止されたとホエール・アラートは結論づけている。そして、この採掘停止のタイミングに加え、マイニング行動やマイニング速度の計画的な低下、またビットコイン使用量が極端に少ないことなどから、サトシは「若いネットワークを成長させ、保護することにしか興味がなかった」ことが読み取れるという。

前出のLernerもサトシは「利他的」であるとの印象を持っているようだ。

平均マイニング速度が裏付けるサトシの意図

「平均的なマイニング速度は、長期間にわたり、信じられないほど一定」

ブロック高2,000から16,000までの全範囲で、パトシが1時間に採掘したブロック数の平均は、マイナー数に大きなばらつきがあったにもかかわらず、10分あたり0.6ブロックとほぼ正確に保たれていたという。

レポートでは次の2点をサトシが平均値を維持する理由としてあげている。

1. 51%攻撃の阻止と他のマイナーへの配慮

ネットワークにとって脅威となる51%攻撃を阻止するため、処理能力を60%と一定に保つと同時に、他のマイナーが採掘するのにも十分なブロックを残した。ネットワークに参加する「誠実な」マイナーが増加するにつれ、サトシはマイニング活動を徐々に縮小していった。

2. 理想的なブロック生成時間

理想的なブロック生成時間は10分程度だが、処理能力をコントロールすることで、ブロック生成にかかる時間を一定に保つことが可能であると、サトシは述べていた。ネットワークが十分強力になったと判断すると、サトシはブロック生成時間の目標を減らし、他のマイナーへ採掘のチャンスを与えたという。

ホエール・アラートは、パトシは少なくとも48台のコンピュータ(1台は全体の調整用)で構成されており、攻撃に備えて、さらに多くのコンピュータが待機していたと考えられると述べている。

サトシによるビットコイン売却の可能性

サトシのビットコイン保有量は、まさに巨大なクジラそのものであり、仮想通貨市場の視点からは、大量売却が気になるところだ。

ホエール・アラートは、サトシの保有するビットコインはネットワークを成長させるための「副産物」にすぎず、未使用のビットコインが使われる可能性は低いだろうとしている。一方で、永久に使用できなくするよう「バーンしなかった」ことに疑問は残ると付け加えた。

出典:Whale Alert

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
12/02 火曜日
18:36
AIがスマートコントラクト脆弱性6億9000万円分を発見 防御活用にも期待=レポート
Anthropicの研究で、AIエージェントがスマートコントラクト脆弱性6億9000万円分を発見。2025年3月以降の34件で460万ドル相当の攻撃に成功し、新たに2件のゼロデイ脆弱性も発見。攻撃収益は1.3カ月ごとに倍増しており、防御活用が急務に。
17:42
FRBが3年半にわたる量的引き締め(QT)終了、仮想通貨市場に流動性改善の可能性
米FRBが12月1日、3年半にわたる量的引き締め(QT)を終了した。約2.4兆ドル規模の資産縮小後、仮想通貨市場への流動性改善が期待される。2019年QT終了時はビットコインが短期下落後に上昇した経緯があるが、専門家は政策効果の遅延やインフレ動向など不確実性に慎重な見方も示している。
16:04
走行映像でGARコインを還元 ドラレコアプリ「セトラス」が地方創生DXモデルを始動
セトラスが市民のドラレコ映像を行政業務に活用し、専用暗号通貨「GARコイン」で報酬を還元する地方創生モデルを発表。実証実験に参加する自治体を3枠限定で募集している。
13:55
コインベースへの情報開示請求が過去最多の1.2万件、欧米で協力要請急増 実態判明
コインベースが2025年透明性レポートを公開し、60カ国以上から12,716件の情報開示請求を受領し、前年比19%増加となったと報告した。米国の件数がトップだが、米国外からの請求は53%を占め前年比2%増加した。
13:15
米FDIC、ステーブルコイン規制「ジーニアス法」運用規則案を12月下旬に公表予定
米FDIC代行議長がステーブルコイン規制「ジーニアス法」の運用規則案を今月に公表する予定だと表明。トークン化預金や仮想通貨業界のデバンキング問題についても対処を説明した。
12:29
カルシ、ソラナ上で予測市場トークン化を開始 仮想通貨の流動性取り込みへ
米予測市場カルシがソラナ上で予測市場契約のトークン化を開始。オンチェーン取引により匿名性が向上し、開発者のサードパーティ構築も可能に。評価額110億ドル、約3500市場を運営する同社は仮想通貨ユーザーの流動性獲得を目指す。
11:00
米トランプ政権の仮想通貨特命官サックス氏、利益相反報道を否定
米トランプ政権のAI・仮想通貨特命官デビッド・サックス氏がNYタイムズの利益相反報道を否定した。名誉毀損専門の法律事務所に対応を依頼し、倫理規定遵守を主張している。
10:40
ゴールドマンがイノベーター買収、ビットコイン連動ETFも取得で仮想通貨事業拡大
ゴールドマン・サックスがETF大手イノベーターを20億ドルで買収すると発表した。買収にはビットコイン連動ファンドQBFも含まれ、ゴールドマンの仮想通貨関連商品ラインアップが拡大。
10:14
リップル、シンガポールでライセンス範囲拡大 XRPとRLUSDによる決済事業を強化
リップルがシンガポール金融管理局から主要決済機関ライセンスの拡大承認を取得。XRPとRLUSDを活用した決済サービスを強化。アジア太平洋地域のオンチェーン活動は前年比70%増で、同地域での事業拡大を加速。
10:02
ビットコイン100万円幅急落、yETH流出事故で大規模清算|仮想NISHI
ビットコインは軟調な推移が続いている。1日には一時8万5,000ドルを割り込み、日本円ベースでも24時間比で100万円超の下落となった。背景には、イーサリアムが「フサカ・アップデート」を目前に控えロングポジションが積み上がる一方、Yearn FinanceでyETHの流出事故が発生し、ロングポジションの清算が連鎖したことがある。
09:20
リミックスポイント、12億円規模のWeb3関連事業投資を中止へ
リミックスポイントは、事前に予定していた12億円規模のWeb3関連事業投資の中止を決定。仮想通貨ビットコイン購入以外の調達資金使途を変更した。
08:40
ハッキング被害から3.7億円相当回収、ヤーン・ファイナンス
ヤーン・ファイナンスがyETH関連のハッキングで盗まれた資産のうち約240万ドル相当を回収した。回収作業は継続中で被害者への返還を予定している。
07:35
mNAV1倍割れでも「最後の手段」に、ストラテジーがビットコイン清算条件を明示
ストラテジー社のフォンレCEOがビットコイン売却の具体的条件を初めて明言した。株価が保有資産を下回り資金調達が不可能になれば売却も選択肢の1つとなる。
07:05
ストラテジー、約2240億円の米ドル準備金を確保
ストラテジー社は、優先株の配当と負債の利子の支払いのために約2,240億円の米ドル準備金を確保したことを発表。目的を説明し、仮想通貨ビットコインの買い増しも報告した。
07:00
チェーンリンク初のETF、NY証券取引所に上場予定
仮想通貨チェーンリンク(LINK)に投資する上場投資信託(ETF)が12月3日にニューヨーク証券取引所で取引を開始予定。NYSEアーカがグレースケール・チェーンリンク・トラストETFの上場を認証した。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧