- OECDが問題提起:新技術に対する枠組みの必要性
- OECD(経済協力開発機構)は、仮想通貨に対して、国際的に標準化された税金の枠組み(グローバル・スタンダード)が必要であると提起。2020年までの施行を目指すとしています。
先進国による仮想通貨の共通税制
国際政府間によって組織される「経済協力開発機構」(以下、OECD)は、仮想通貨のような新たに台頭した技術に課税するため、新しい枠組みに関する基本合意を求めました。
OECD(経済協力開発機構)とは
日本、北米、欧州など先進国の国々によって、国際経済全般について協議することを目的とした国際機関のこと。
三大目的として、1)経済成長 2)貿易自由化 3)途上国支援 に貢献することを掲げている。
3月20日にG20加盟各国の財務省や中央銀行規制機関に送られた報告書によると、OECDは仮想通貨や分散型台帳技術などの”新しい技術に対して課税が与える影響”に関して、税効果を調べる実用的なツール開発分野などで協力関係の構築を求めていることが明らかになりました。
同組織によると、この新しい取り組みは、OECDが取り組む「包括的な枠組み」の一環として、早期に開始される見通しです。
導入(施行)は、2020年を予定しており、2019年に別の更新が行われる予定だと語りました。
地域を超えた経済成長の促進を念頭に置くOECDは、ブロックチェーンのような新しい技術が多大な技術的優位性をもたらすことを認識する一方で、現時点では課税額の算出が曖昧なため、統一規格の枠組み(グローバル・スタンダード)を制定しようとしているのです。
さらに報告書では、以下のように言及しています。
「ブロックチェーンのような技術は、過去10年間における”税制の透明化”の発展という観点からリスクをもたらす仮想通貨を促進する一方、記録保管のための新しくて安全な方法の両方を生み出すことになる。」
このように、仮想通貨課税の分野は、さまざまな領域で議論の余地が多い問題です。
現時点で、仮想通貨取引が課税対象になるのか否かの、いわゆるグローバル・スタンダード(世界標準)のようなものはありませんが、アメリカや日本では、すでに「国内における”既存の税法”」を適用し始めています。
OECD to G20: Crypto Tax Policies Need Global Clarity
Mar 21, 2018 by Wolfie Zhao
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CoinPost考察
仮想通貨の税制:日本の場合
2017年7月に「改正資金決済法」が施行され、政府によって、物ではなく一般的な貨幣と同じような財産的価値を持つ”通貨”として事実上認められたことで、消費税(8%)が非課税となりました。
日本の税法上は、原則「雑所得」に区分され、総合課税の対象となります。
仮想通貨に関する税率は、一律10%の住民税を合わせた累進課税となり、所得額に応じて「15~55%(最高税率)」が課税対象です。
つまり、所得(1年間で得た給与収入+仮想通貨収入から給与所得控除を差し引いたもの)が高いほど、税負担が重くなる計算です。
仮想通貨の雑所得の計算は、「収入-必要経費」 となりますが、マイナスが生じてもゼロ扱いの計算になるため、株式取引と異なり、「前年度との損益通算や損失の繰越」ができません。
株式取引の税制
株であれば、損益通算した際に控除しきれない場合、「翌年以後3年間にわたり、上場株式等の譲渡所得等の金額や上場株式等の配当所得等の金額から繰越控除」することが可能です。
また、株やFXの利益は、一律約20%(所得税15%:住民税5%:復興所得税0.315%)の税率であり、仮想通貨の税率(15〜55%)よりも大幅に優遇されていますが、これは「総合課税」ではなく、「申告分離課税(他の所得と分離して税額を計算、確定申告によって納税する課税方式)」として扱われることに起因しています。
株式投資は、企業の資本(時価総額)を形成すると共に、雇用の創出や市場の活況など、日本経済の成長と社会貢献性に直接寄与することになるため、政府によって優遇されやすいと捉えることもできます。
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仮想通貨の税制:アメリカの場合
アメリカ合衆国の連邦政府機関の一つで、連邦税に関する執行、徴収を司る「IRS(アメリカ合衆国内国歳入庁/米国国税庁)」が税制について発表しました。
IRSによると、仮想通貨は「資産(property)」として取り扱われ、「資産取引に関する一般的な税務上の理論に基づいた課税がなされる(general tax principles applicable)」としています。