はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用 WebX
CoinPostで今最も読まれています

仮想通貨取引所コインベースが初の透明性レポートを公表、日本金融庁からの要請は

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

コインベースが透明性レポート公表

米暗号資産(仮想通貨)取引所最大手のコインベースが16日、初の透明性レポートを公表し、法執行機関からの顧客情報開示要請の頻度とその形態について明らかにした。

この動きは先月初め、非営利のデジタル権利団体、「電子フロンティア財団」(the Electronic Frontier Foundation=EFF)が、コインベースに対し、ユーザーの財務データ開示状況について透明性レポートを発行するよう求めていたことを受けてのものだ。

2020年上半期の情報開示要請状況

レポートによると、コインベースは2020年上半期に、複数の国の政府から1914件の情報開示要請を受けたという。そのうちのほとんど(96.6%)が犯罪行為に関連するもので、民事もしくは行政上の要請は3.4%だった。

国別ランキング

出典:Coinbase

35カ国からの情報開示要請があったが、国別でみると米国機関からの要請が1113件で58%を占めている。次いでイギリスの441件(23%)、ドイツの176件(9%)となっており、上位3カ国だけで要請件数の9割を占めている。米国とイギリスはサービス対象国だが、ドイツは対象国ではない。

その他、要請件数のトップ10位にランクインしたのは、フランスやオーストリア、スペイン、アイルランドなど、すべて欧州の国々からのものだった。アジア圏では韓国の6件とシンガポールの5件のみで、日本の金融庁からの要請はなかったようだ。日本もコインベースのサービス対象国ではない。

参考:対象国一覧

米法執行機関からの要請

出典:Coinbase

次に米国内の法執行機関では、連邦捜査局(FBI)からの要請が340件(30.5%)、国土安全保障省調査局(HSI)が184件(16.5%)、州の機関と地方自治体が180件(16.2%)、麻薬取締局(DEA)が104件(9.3%)と、7割以上を占めている。

仮想通貨規制関連では、少数だが証券取引員会(SEC=2.6%)と商品先物取引委員会(CFTC=0.6%)からの要請もあったという。

コインベースの姿勢

レポートでは、顧客情報開示に関する背景を次のように説明した。

コインベースは、法執行ならびに政府機関から、定期的に顧客の口座情報や財務記録の開示要請を受けている。主に召喚状という形で要請されることが多いが、捜査令状や裁判所命令などの公式な手続きが含まれる場合もあり、金融規制をはじめとする適用される法律の下で有効な場合、コインベースはその要請に応じる義務がある。

しかし、このレポートを執筆した、コインベースのPaul Grewal最高法務責任者は、当局からの不当な要求に対しては「たとえ不都合であろうとも、費用がかかろうとも、躊躇することなく抵抗する」と強調した。そして、社内の専門家チームが要請の妥当性を確認し、過度に広範囲に及ぶ要請に対しては、その対象を絞り込んだり、異議を唱えるという対応をしているという。

実際、2013年〜2015年の仮想通貨取引で得た課税対象利益の申告漏れを理由として、2017年に米国歳入庁(IRS)がコインベースに対し、顧客情報開示を求め提訴した際には、無差別の情報開示要求は顧客のプライバシーを侵害するとして、情報提供を拒んだ経緯がある。

結果的にはIRSが勝訴したが、コインベースは、IRSが当初要求した約48万人の財務記録を、約1万4000人の顧客に限定することに成功。また、対象となった1万4000人の情報提供の範囲に関しても、プライバシー保護を理由として大幅に削減することができたという。

今回の透明性レポートには含まれていないが、グーグルなど他のIT企業が通常報告している、当局からの情報開示請求に異議を唱えた割合に関しても、今後のレポートに盛り込んでいく予定だという。

金融業界へのよびかけ

最後に、Grewal氏は、説明責任を果たし、顧客の信頼を維持するためにも透明性の確保は非常に重要な要素であり、ハイテク業界では透明性レポートの公表が一般的となっているのに対し、金融サービス業界では稀であると指摘、法執行活動のデータ開示を促した。「仮想通貨企業だけではなく、フィンテックや一般の銀行にとっても、金融データ共有の実践に光を当て、業界動向の理解に有意義な形で貢献することが重要だと考える」

一般的に、仮想通貨の不正使用が声高に叫ばれる傾向があるが、実際に犯罪行為に仮想通貨が使われる割合は非常に低いと結論づける数々の調査結果が報告されている。

先月、米財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)の漏洩した機密文書から、複数の世界的大手銀行で、その違法性が問題視されながらも、20年近くにわたり、大規模な資金の移動が行われていたと報道され、大きな注目を集めた。

大きな顧客層を抱える伝統的な金融業界で、法執行活動に関する透明性が高まることは、金融犯罪の実態をより客観的に評価する一助となるかもしれない。

参考:コインベースブログ

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
11/26 水曜日
15:35
ロビンフッド、予測市場向けデリバティブ取引所を新設 2026年運営開始
ロビンフッドがサスケハナと提携し、CFTC認可の先物取引所を買収。予測市場事業を強化し、2026年の独自取引所運営を目指す。市場規模は2035年までに955億ドルに達する見込み。
14:50
日本の暗号資産規制、具体的な方向性は?──金融審議会WG
金融審議会WGが暗号資産規制の報告書案を取りまとめ。資金決済法から金商法へ移管し、インサイダー取引規制や課徴金制度を新設する。銀行子会社の参入も解禁。座長は「お墨付きを与えるものではない」と強調した。
14:12
仮想通貨企業のベンチャー投資、価格上昇でも活動は低調=レポート
仮想通貨金融大手ギャラクシーデジタルは、2025年第3四半期(Q3)の仮想通貨ベンチャーキャピタル(の現状について、市場心理は改善し活動も増加しているものの、以前の強気相場の水準には大きく及ばないと指摘した。
13:35
F・テンプルトン、ソラナETFの最終上場手続きを完了 まもなく取引開始へ
運用資産255兆円を誇るフランクリン・テンプルトンがソラナETFのForm 8-Aを提出。取引開始が目前に迫る中、既存のソラナETFは20日連続で純流入を記録し、累計858億円の資金が流入している。
13:10
米CFTC、民間企業CEOにイノベーション評議会への参加を呼びかけ 仮想通貨にも対処 
米CFTCのファム代理委員長が「CEOイノベーション・カウンシル」参加者の候補者推薦を呼びかけた。仮想通貨や予測市場の規制策定に向け、業界リーダーを募集している。
11:15
VanEck、BNB現物ETFのステーキング計画を撤回 方針転換に
VanEckが米SECに提出したBNB現物ETFの修正届出書で、当初予定していたステーキング機能を撤回。BNBの有価証券分類をめぐる規制リスクが背景にあるとみられる。
11:05
米上場のリライアンス社、デジタル資産トレジャリーをジーキャッシュ(ZEC)に一本化
ナスダック上場のリライアンス・グローバル・グループがデジタル資産トレジャリーを仮想通貨ジーキャッシュ(ZEC)に統合した。プライバシー機能を持つ仮想通貨への需要が高まる中、サイファーパンク・テクノロジーズも追加購入を発表している。
10:25
予測市場ポリマーケット、CFTC承認受け米国市場に正式復帰
予測市場大手ポリマーケットが米CFTCの承認を受け、3年ぶりに米国市場に正式復帰。2022年の罰金処分後、QCX買収とICEからの投資を経て、完全規制下での事業再開へ。
10:10
スタンダードチャータード銀行、21Sharesの仮想通貨カストディアンに選定
スタンダードチャータード銀行が21Sharesの仮想通貨カストディアンに選定された。機関投資家の需要に対応し安全な保管サービスを提供。様々な仮想通貨企業とも提携を進めている。
10:05
「仮想通貨交換業者の販売所誘導に懸念の声」金融庁の作業部会
金融庁は、仮想通貨制度に関する作業部会の報告書案を公開。報告書案には、仮想通貨交換業者の販売所誘導に対する懸念が指摘されているとも記載されている。
07:35
仮想通貨支持派のホワイトハウス経済顧問ハセット氏、次期FRB議長の最有力候補に浮上
ホワイトハウス国家経済会議のケビン・ハセット委員長が次期FRB議長の最有力候補として浮上。トランプ大統領の信頼が厚く金利引き下げ方針に賛同する人物で、デジタル資産市場作業部会で中心的役割を果たしコインベース株も保有。
06:58
米銀大手USバンコープ、ステラで独自ステーブルコインをテスト
米国第5位の銀行USバンコープがステラブロックチェーン上で独自のステーブルコインをテストしている。資産凍結機能などのセキュリティを評価し、バンク・オブ・アメリカやシティに続いてデジタル資産への取り組みを拡大。
06:40
メタプラネット、ビットコイン担保に約200億円を借入れ
メタプラネットは、約203億円の借入れを行ったことを発表。調達した資金は、ビットコインの追加取得やビットコインインカム事業、市場環境に応じては自己株式の取得に充当する予定だと説明した。
06:30
ビットワイズのドージコインETFも承認、水曜日にも取引開始見込み
ニューヨーク証券取引所がビットワイズのドージコインETFの上場を承認した。水曜日にも取引が開始される見込みで、グレースケールとREX-オスプレイに続く3番目のドージコインETFとなる。
06:15
JPモルガン、高リスクのビットコインETF連動仕組債を提案
JPモルガンがブラックロックのビットコインETFに連動する仕組債を提案した。1年後に16%の固定リターンを保証し、2028年には投資額の1.5倍を上限なく受け取れる設計だが、30%超の下落時は損失を全額負担する高リスク商品となる。
通貨データ
グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧