法定通貨へのアクセスが困難に
中国の法執行機関が国内の資金洗浄活動を厳しく規制する中、一部暗号資産(仮想通貨)採掘業者(マイナー)が、採掘したビットコインなどの法定通貨売却が困難となり、電気代などランニングコスト支払いに困窮している。
中国ブロックチェーンメディアWu Blockchain(吴说区块链)が調査したところによると、74%の業者が仮想通貨OTC(相対取引)に対する政府の取締まりが、法定通貨へのアクセスに大きく影響している指摘した。
中国では2017年、中央銀行が「仮想通貨禁止令」を下して以来、仮想通貨取引所が中国から撤退。法定通貨と仮想通貨間の取引サービスは、OTCやP2Pなどの個人間取引で一部アングラ化した経緯がある。
しかし近年では、中央銀行による資金洗浄対策強化の一環として、一部の仮想通貨OTC業者の銀行口座凍結が確認されるなど、さらなる規制強化の憂き目に遭っている。政府系メディア人民日報によれば、中国人民銀行の見解として、「OTCを含む仮想通貨の売買サービスが違法になる」という見方を掲載した。
関連:中国のビットコイン取引に暗雲 OTC取引業者で銀行口座凍結事例──中銀が資金洗浄対策を強化
マイナーの海外移転
中国政府による圧力を受け、すでに一部マイナーは、ロシアやカザフスタンへの移転に協力している。F2Poolの元役員Thomas Heller氏はCoindeskの取材に対し、「中国採掘業者の多くは中国市場以外に詳しくないため、海外移転は容易ではない」、「実際に移転するには、中国よりも高価な電気代や土地代など、複数の要素も障壁となっている」と説明した。
Wu Blockchainの報道によれば、「採掘した仮想通貨の売却が困難になった一部マイナーは、電気代が賄えず稼働を停止」した。一部OTC業者にも規制強化の影響は波及している。
ビットコインのハッシュレート(採掘速度)は10月後半〜11月初めの急落を経て再び急伸しているが、中国国内の動向は注視する必要がある。
参考:吴说区块链