長官代理が正式に長官へ
米トランプ大統領は17日、主に米国の銀行規制と監督を行う通貨監督庁(OCC)で長官代理を務めているブライアン・ブルックス氏を長官として指名したことがわかった。今後米上院での承認が必要で、仮に承認されれば5年の任期に就くことになる。
ブルックス氏は前任のオティング氏が今年の5月に退任後、長官代理として事実上高責任者としてOCCを率いていた。
OCCは米財務省に所属しており、連邦公認銀行のライセンスの申請審査などの業務も行っている。SEC(証券取引委員会)とCFTC(商品先物取引委員会)と並び重要な金融規制機関だ。
ブルックス氏は暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースで最高法務顧問を務めていた経歴を持つ人物で、政府高官として仮想通貨の地位を向上させることは当初から業界から期待されていた。
ブルックス氏の政策
ブルックス氏は仮想通貨支持派として政策を策定。今年7月に米貯蓄貸付組合および国民貯蓄銀行に対し、仮想通貨の取り扱いを許可する声明を発表。9月には、連邦公認銀行が仮想通貨ステーブルコインの準備資産となる(法定通貨)を保管することができるようにするガイダンスも発行した。
また、先日には、銀行がブロックチェーンのノードになることについて、その可能性を肯定しつつ、運用リスクとメリットのバランスを見極める必要性があると言及するなど、既存企業のブロックチェーン活用に推進派としての意見を述べている。
銀行の将来性については、DeFi(分散型金融)のような非中央集権的プロトコルが技術発展することによって、資産の預け入れや融資のビジネスモデルを崩される可能性も指摘した。
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一方、米国には、仮想通貨やブロックチェーン技術の採用を推進する点について、優先度を問う議員もいる。特に米国での新型コロナ感染拡大に置かれて、銀行監督者であるOCCは他の規制当局や議会と協力し、新興技術を採用する今後への影響を再考し、業務の優先順位を見極めるよう促す意見も見られた。
議員らは仮想通貨の将来性を否定したわけではなく、あくまでコロナの感染が増加している現状において、OCCがより適切に優先順位をつけて業務を行なっているのかを問う思惑があり、未だ給付金を受けて取れていない国民が大勢いるなど、OCCは通貨の安定を確保する立場にいるにもかかわらず、業務の範囲を超えているとの指摘を行なっている。