Citiアナリストの低い評価
米大手銀行シティバンクのアナリストTyler Radke氏が、MicroStrategy社の株式に対する評価を引き下げた。MicroStrategy社は、直近で暗号資産(仮想通貨)ビットコイン購入の動きを強めていたが、それが主な理由としている。
金融情報プラットフォーム「Seeking Alpha」によると、Radke氏はMicroStrategy社の株価続伸は、限度を超えて拡大している。同社のMSTR株は過去6ヶ月で165%以上もの上昇を記録していた。
Radke氏のMSTR株に対する評価は、12月7日までは「中立」であったが、8日にMicroStrategy社がビットコインを追加購入するために、転換社債(convertible notes)を通して416億円を調達する計画を発表したことなどを受け、「中立」から「売り」に評価を下げた。
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なぜ評価を下げたか
Radke氏は評価を下げた理由について、2点を挙げている。
一つ目は、MicroStrategy社の「インサイダーセリング(関係者による売却)」の規模が拡大した点だ。ここでいう「インサイダー」は違法の「インサイダー取引」ではなく、あくまでSECのルールに沿った形で報告された取引を指す。MSTR市場についても、過去6ヶ月の継続的な株価上昇で、利益確定売りが出るとみている。
二つ目の理由は、MicroStrategy社のアグレッシブなビットコイン購入戦略にあるという。MicroStrategy社は、8月より3回の購入を合わせて、計4.75億ドル(494億円)を使って、総額40,824BTCを買い入れた。
ビットコインの購入する規模を拡大するあまり、企業のバリュエーションに問題がきたしつつあるのではないかと指摘した。
その上で、ビットコイン上昇による利益と株価の上昇率に乖離が生まれている点を懸念視した。
同社のビットコイン投資は8日付けで計2.5億ドル(260億円)の含み益をもたらしている。これを、MSTRの株数で計算すると、一株あたり26ドルのリターンをもたらしたことになるが、株価の上昇率に比較すると、株価の過熱感は否めないため、「株価はビットコインと同社コアビジネスのバリュエーションから大幅に乖離している」と指摘している。
これらの理由を元にRadke氏は、「Michael Saylor CEOのビットコインへのフォーカスが不均衡になっている」と指摘し、あまりにも偏った株価戦略を問題視した上で、株価の見通しを引き下げを行なったとした。
転換社債(convertible notes)の販売で調達した資金をビットコインに充てる戦略に関しては、一部の仮想通貨有識者はレバレッジ取引に類似すると指摘が出ていた。
MicroStrategyの株価はRadke氏の評価などの材料やビットコイン市場の上昇一服を受け、8日に-13.91%安で289.45ドルで取引を終えた。