金融市場動向
米長期金利(10年国債)が1.5%水準まで再上昇したことを受け、米株式市場ではナスダック総合株価指数が前日比2.7%安と下落。金利上昇の影響を受けやすい高PERのテック銘柄、及びグロース株で売りが先行している。
新型コロナウイルスワクチンの世界的な普及で経済正常化が期待される一方、コロナ禍の株高を支えてきた金融緩和の縮小(テーパリング)懸念、及び物価上昇などのインフレーション懸念が台頭し始めた。
金融市場に本格的なリスクオフが訪れた場合、仮想通貨を含めたリスク資産全般に波及するおそれがある反面、インフレヘッジの観点からは、中長期的にビットコインへの関心が高まる余地もある。
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代替資産の代名詞である金(ゴールド)が、20年8月に記録した過去最高値2,074ドルで天井を付け、21年3月にかけて1,714ドルまで大幅下落する中、ビットコインは、20年8月の11,000ドルから大きく値を上げ、21年3月は50,000ドル水準を推移するなど、明暗が別れている。
4日のビットコイン(BTC)価格は、前日比+5.4%の550万円(51,300ドル)に。
1日には一時43,000ドルまで下落したが、3日には一時52,600ドルまで回復するなど、調整局面での買い意欲は引き続き旺盛だ。
個別銘柄の動向
ビットコインの反騰を追い風に、国内大手取引所コインチェックなどに上場する個別銘柄では、BATやENJなどの活況が目立つ。
BAT高騰の背景は
中でも目立っているのが、プライバシーウェブブラウザ「Brave」のネイティブトークンである「ベーシックアテンショントークン(BAT)」だ。前月比150%高、前週比52%高、前日比25%高と高騰している。
Braveは、元MozillaのBrendanEich CEOらによって共同設立された、プライバシーに焦点を当てたウェブブラウザ。Brave公式サイトによると、21年2月時点で、月間アクティブユーザー(MAU)2500万人、アクティブユーザー(DAU)800万人を擁し、21年末までに5000万MAUの利用を見込む。
財務情報は公開されていないが、公式サイトによると、「過去16か月で収益は28倍まで増加し、21年3月時点で現在115人の従業員が勤務している」という。
Braveブラウザでは、広告を任意でオプトインすることによりベーシックアテンショントークン(BAT)が入手できる。仮想通貨を報酬システムを組み込むことで、コンテンツ作成者へのインセンティブを用意している。
日本の法律遵守のため、国内ではBATではなくBATポイント(BAP)が利用されている。BAPはBAT価格と連動しており、BATと同様に広告視聴の報酬として受け取ることができる。
受け取ったBAPをお気に入りのクリエーターやウェブサイトに送付できる点もBATと同じであるが、BAPの購入、およびBAPとBATの交換はできない。
Braveは3日、Tailcat検索エンジンを買収し、「Brave Search」を立ち上げる予定を発表した。
同分野では、最大手Googleの検索エンジンが、実に92%の市場シェアを占める。
Google検索テクノロジーから独立したTailcatは、独自の検索インデックスをゼロから構築しており、Braveブラウザ同様のプライバシー保証を提供するとされる。
Tailcatの開発者は、プライバシー指向のWebブラウザおよび検索エンジンであるCliqz Browserに携わっていた。
詳細:Braveブラウザ、Googleから独立した独自検索エンジン「Brave Search」導入へ
また、2月24日に発表された「ロードマップ2.0」によれば、分散型取引所(DEX)アグリゲーターと、現在主流の仮想通貨ウォレットを代替する「BraveWallet」の作成を明かした。企業側のリーチは、これを通じて分散型金融(DeFi)領域にもアクセスできるようになるという。
BAT Roadmap 2.0 — Brave Decentralized Exchange (DEX) announced: Discounts when using BAT for transaction fees, discounts for BAT holders, BAT utility for search engines; new Brave Wallet, and more https://t.co/dIVXUwp1rP
— Brave Software (@brave) February 23, 2021
詳細:BATとは|プライバシーを守るブラウザ「Brave」の特徴と将来性
ENJ高騰の背景は
コインチェック銘柄では、エンジンコイン(ENJ)も前日比50%もの急騰を見せ、市場の注目を浴びた。NFT(Non-Fungible Token/非代替性トークン)特化型のスケーリングソリューションを発表したことなどが好感された。
1/ Over the last year, we've seen vibrant NFT ecosystems pop up across networks.
— Enjin (@enjin) March 3, 2021
As #NFTs continue to gain attention, traction, and users, the next step in the evolution of the Enjin ecosystem has become clear:
⛓️ multi-chain interoperability ⛓️https://t.co/MvktQr9c3Q pic.twitter.com/7HnmCHCVyf
2日には、国内大手取引所GMOコインで、エンジンコインの上場、及び「積み立てサービス」の提供開始が発表されている。
関連:国内大手取引所GMOコイン、エンジンコイン(ENJ)を取扱い開始へ時価総額2位のイーサリアム(ETH)のネットワーク手数料であるガス代高騰は、DeFi市場やNFT市場の市場規模拡大に伴い大きなボトルネックになっている。このガス代削減を目的としたエンジンコインのスケーリングソリューション「JumpNet」と「Efinity」のローンチに関する詳細は、以下で詳しく解説している。
関連:EnjinがNFT特化型のスケーリングソリューションを発表、ガス代削減に尽力