明確な会計基準を求める書簡提出
米国で7人の議員が、米財務会計基準審議会(FASB)宛てに暗号資産(仮想通貨)に関する明確なガイダンスを構築するよう求める書簡を送った。仮想通貨を様々な形で採用する企業が増加したことが背景だ。
FASBは、米国で企業会計基準を整備・制定する民間の非営利団体で、その発行する基準は米証券取引委員会(SEC)にも承認されるなど、米国の会計基準の中で主要な役割を果たしている。
書簡は、ブロックチェーンを支持する議員グループ「ブロックチェーン党員集会」を率いるTom Emmer氏をはじめ7人の議員が差出人に名前を連ねたものだ。
ガイダンスが必要な理由については、ビットコイン(BTC)を財務資産として保有する企業が増えたことが背景にあると指摘。
具体的な事例として、13日にビットコインを買い増して91,850 BTCを保有するマイクロストラテジー、3月17日時点でビットコイン投資信託において300億ドル(約3兆円)を超えるビットコインを有するグレイスケール、ツイッターCEOのジャック・ドーシー氏とミュージシャンのジェイ・Z氏が設立した、500 BTC規模のビットコイン開発基金を挙げている。
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また、米通貨監督庁(OCC)が昨年、国立銀行や米貯蓄貸付組合に仮想通貨のカストディサービス提供を認め、銀行業界に新たな機会が開かれたことにも触れた。
信頼性が高いガイダンスが必要
こうした仮想通貨を採用する組織が多くなる一方で、まだ明確な会計基準がないことが問題だと議員らは指摘する。これまでに独立公認会計士協会(AICPA)などが、仮想通貨の会計処理に関してガイダンスを示したこともあるが、それらは効力を発揮する「権威あるガイダンス」とはみなされていないという。
より信頼性が高い、財務会計基準審議会(FASB)からガイダンスが打ち出されていないことは、仮想通貨に関して正確で一貫した財務報告を行う上で支障があると訴える格好だ。また、ガイダンスを作成する上での推奨事項を次のように語った。
FASBが、金融商品の定義を更新し、仮想通貨などのデジタル資産を含めることを推奨する。また、仮想通貨を保有する目的は企業ごとに異なっていることから、適切な会計方法を決定する際には、ある企業がビットコインをどのように使おうとしているのかを考慮すべきだ。
議員らによると、仮想通貨が会計処理される際のカテゴリーは以下の4つに分類されるという。
- 現金および現金同等物
- 金融商品
- 無形資産
- 在庫
書簡は最後に、現在上場企業および非上場企業のどちらでも、財務報告の上で仮想通貨が関わる場合がみられるようになっており、会計処理上、信頼できるガイダンスが早急に必要だと強調した。