ブロックチェーン基盤の株取引実践へ
米大手銀行バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)が、ブロックチェーン企業Paxosが開発する株取引のネットワークに加わったことが分かった。
公式発表は現時点では確認できないが、Paxosが海外メディアの報道を公式ツイッターアカウントで紹介することで事実と認めた格好だ。ウォール街でブロックチェーンの価値が認められてきたことを示す事例として、注目を浴びている。
Paxosのネットワークで利用されるソリューションの名称は「Paxos Settlement Service」。許可型のブロックチェーンを基盤にしており、先月には、すでにネットワークに参加している野村グループのインスティネットと金融サービス企業Credit Suisseが、株取引から決済までを同日に行うことに成功したと発表した。現在は米証券取引委員会(SEC)から許可を得た上で、この決済システムを実験的に稼働させており、バンカメもそこに加わる。
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これからPaxosは、清算機関としてSECに正式に認可を取得する予定だ。担当者はCoinPostの提携メディアThe Blockに対し、「認可を得られれば、ネットワークに参加する企業は、取引の数やボリュームに制限がかからなくなる」と説明。取引から決済までの時間を短縮できれば流動性が向上し、リスク軽減にもつながるという。
現在、ウォール街の株式市場には、世界最大級の証券保管振替機関DTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)があるが、より速く決済まで行うことができるPaxosのネットワークが、50年続くDTCCの支配を脅かす可能性があるとの見方が出ている。
Paxosのソリューション
Paxos Settlement Serviceは、有価証券取引の決済が二者間で直接行える仕組みになっており、従来の清算システムと互換性もあるという。公式ホームページによると、暗号資産(仮想通貨)には対応しておらず、現在は米国の株取引のみが対象になっている。
DTCCなど従来のシステムでは、株式の同日決済を行うには、11時30分までに取引を完了させる必要がある。Paxosの発表によると、先月は午後3時の取引でも同日の午後4時30分に決済を完了。これは1日を通して、その日に行われた株取引を同日に決済できるようになることを意味する。
PaxosのCharles Cascarilla最高経営責任者(CEO)はブルームバーグに対し、「11時30分以降の取引は、全取引の約75%に相当する」と説明して、自社システムの優位性を強調した。