オントロジーおよびそのパートナーは、あらゆる参加者の利益となるグローバルなクロスチェーン・プラットフォームの構築に取り組んでおり、ブロックチェーンの真の可能性の実現に向けて大きく前進しています。
Ontology創業者 Jun Li
本記事の概要
オントロジーは、効率性とセキュリティ、特にアイデンティティとデータの観点から、ほとんどの企業がエンタープライズ向けブロックチェーンの恩恵を受けることが可能であると考えます。時間とコストのかかることが多いブロックチェーンの性質を克服するために、オントロジーは幅広い企業や組織にとって、より使いやすく効率的なオンボーディングを推進するための専門的な分散型データ交換フレームワークを提供します。
このフレームワークにより、企業の顧客は、安全性、透明性、コスト効率に優れた方法でデータを転送・交換することができます。またオントロジーには独自のデュアルカレンシーシステムがあり、そこではオントロジー・コイン(ONT)がステーキング手数料として使用され、時間、ステーキングコスト、ノードの運用コストがインプットとしてみなされます。
またオントロジー・ガス(ONG)は、オンチェーン・アプリケーションの価値を支える通行料として使用され、チェーン上の取引において使用されます。この記事では、オントロジーの歴史、パートナーシップ、トークンエコノミクスの構造を紹介します。
オントロジーの仕組み解説
オントロジー・ブロックチェーンの仕組み
オントロジーは、分散化アイデンティティとデータに特化した高性能なオープンソースのブロックチェーンです。オントロジー独自のインフラストラクチャーは、強固なクロスチェーン・コラボレーションとレイヤー2スケーラビリティをサポートしており、企業のニーズに合わせたエンタープライズ・ブロックチェーンを柔軟に設計することが可能です。
スピード、セキュリティ、信頼性を向上させる分散型アイデンティティとデータ共有プロトコルのスイートを備えたオントロジーの機能には、エコシステム全体で使用されるモバイルデジタルIDアプリケーションおよびDIDであるONT IDと、分散型データ交換およびコラボレーションフレームワークであるDDXF(分散型データ取引所)が含まれます。
オントロジーのカスタマイズ可能なブロックチェーンという特徴は、多くの人の関心を寄せることに成功し、2020年10月現在、オントロジーのメインネット上では82のdAppsが稼働しています。オントロジーを搭載したdAppの中でもトップの実績を上げているのは、クロスチェーンの相互運用性に焦点を当てた分散型金融(DeFi)プロジェクト「Wing」や「Unifi Protocol」などです。
さらにオントロジーは、自動車メーカーのダイムラーとの契約をはじめ、数々の注目を集めるパートナーシップを獲得しており、ブロックチェーン技術を用いた自動車のモビリティとファイナンスを先端化する方法を模索しています。「Welcome Home」は、ダイムラー社のモビリティー部門の優れた経験と、オントロジーの技術的優位性、特に分散型アイデンティティとデータ保護に関する技術を組み合わせた、真に先駆的な製品です。
オントロジーのバックエンドシステムは、次世代「オントランド・コンセンサス・エンジン(OCE)」上で動作しており、そのOCEはプルーフ・オブ・ステーク(PoS; Proof of Stake)、検証可能なランダム関数(VRF)、ビザンチン・フォールト・トレラント性(BFT; Byzantine Fault Tolerance)を組み合わせた「検証可能ビザンチン・フォールト・トレラント性(VBFT; Verifiable Byzantine Fault Tolerance)」と呼ばれるカスタマイズされたコンセンサスメカニズムに依拠しています。つまりVBFTは、基盤となるPoSモデルに優れたスケーラビリティを追加し、VRFのノード選択プロセスでセキュリティと検証可能なランダム性を提供し、BFTはより短いファイナリティレートを実現します。
オントロジーの潜在的な使用例は、顧客の観点からは事実上無制限ですが、当プラットフォームの主なユーザーメリットは、次の2つの機能に集約されます。
- ONT ID:改ざん防止の分散型IDフレームワーク
- 分散型データ交換フレームワーク(DDXF):分散型データ交換や管理のためのフレームワーク
オントロジーのデュアルコインシステム
オントロジーメインネットのローンチ以降、このプロジェクトはネットワークのセキュリティと円滑な運営のために2つのトークンを利用しています。
オントロジーコイン(ONT)
オントロジーの主要コインであるONTは、NEOプラットフォーム上でNEP-5トークン(NEOプラットフォーム上で発行されるトークンが準拠しているインターフェースの規格のこと)として誕生しました。しかし2018年6月にオントロジーのメインネットが稼働開始すると、NEP-5のONTトークンはネイティブなメインネットであるONTコインにとって代わりました。
オントロジーチームはIPOを行わず、NEO保有者やメールリストに登録したユーザーにONTコインを無料でエアドロップしています(5NEOの保有につき1ONTを配布)。また、戦略的な投資家のみを対象としたプライベートトークンセールも開催しました。
ONTの総コイン供給量は10億ONTで、そのうち約80%が現在流通しています。
ONTは、オントロジー・ブロックチェーンのエコシステムの中で、トークン保有者にガバナンス投票権およびトークンをステークする権利を付与します。これらは、取引を検証することでネットワークのセキュリティを向上させる役割があります。
ユーザーがONTコインをノードにステークすると、基本的に1回の投票サイクルの間、スマートコントラクトにONTをロックすることとなり、ブロックチェーンのブロック処理のコンセンサスに参加するノードを決める投票権が確保されます。各ブロックの処理には1~30秒かかるため、1回のステークラウンドは16時間~20日程度となります。
ONTコインをステークしたユーザーは、ステーク報酬が得られるため、オントロジー・ネットワーク決定の舵取りに一役買うだけでなく、プロジェクト関与からの利益を得ることもできます。ただし、ONTをステークした場合、ステーク報酬はオントロジー・ガスで受け取ることになります。
オントロジー・ガス(ONG)
ONGはオントロジー・ブロックが確認されるたびに生成され、基本的にオントロジーのメインネットを動かすガスとなります。それにより、ユーザーはブロックチェーンの運用維持に協力することによる取引手数料を得ます。
ONGは、スマートコントラクトの実行など、オントロジー・ブロックチェーンの操作を行う際にも使用されます。
オントロジーによるマルチプラットフォーム相互運用性の強化
オントロジーのクロスプラットフォームの相互運用性は、2020年8月にNEOおよびSwitcheoが提携し、異種間相互運用性プロトコルアライアンス「PolyNetwork」が立ち上がったプロジェクトで大幅に拡大しました。PolyNetworkの主な目的は、様々なデジタル通貨と他のトークン化された資産との交換といったクロスチェーン取引を、関連プロジェクトが効果的に行う能力を最大化することです。
この機能により、別々の企業が細かいレベルで互いに交流し、協力することができます。PolyNetworkには、具体的に以下のような機能があります。
- DeFi開発者に向け、クロスチェーン対応のdApps作成のための新しいインフラを提供
- イーサリアム、Neo、オントロジー、Cosmosなどのヘ異種チェーンおよび同種チェーンの両方をサポートし、各プラットフォームの同種チェーンのフォークをサポートし、将来的にはビットコイン・ネットワークもサポート予定
- クロスチェーン取引への容易でエネルギー効率の高いアクセスを可能とし、部分的に重複する複数のスマートコントラクトの必要性の低減
- データやトークン化された資産のオープンで安全な転送を可能とすることで、クロスチェーン取引のスケーラビリティを向上
多くの従来的なプラットフォームが孤立したデータサイロ(各プラットフォーム上のデータが連携されていない状態のこと)として存在していることは、ビジネス運営の観点からだけでなく、エンドユーザー体験の観点からも有害であることが証明されています。オントロジーおよびそのパートナーは、経済的なバリューチェーンのすべての参加者に利益をもたらすグローバルなクロスチェーン・プラットフォームの構築に取り組むことで、ブロックチェーンの真の潜在能力の実現に向けて大きく前進しています。