仮想通貨の取り締まり強化を呼びかけ
米民主党所属のエリザベス・ウォーレン議員は9日、上院銀行・住宅・都市問題委員会公聴会で暗号資産(仮想通貨)について言及。米政府は仮想通貨の問題に直面する必要があると述べ、これまで直接的な言及を避けてきた米議会や連邦規制機関を非難した。
エリザベス・ウォーレン議員は民主党のベテラン政治家で、2020年11月の米大統領選に立候補した経歴を持つ。
「CBDC(中銀デジタル通貨)のもたらす可能性」を議題に行われた上院の金融政策委員会の公聴会で、ウォーレン議員は、既存の決済システムに課題があると認め、仮想通貨がオルタナティブ資産として浮上していると言及。しかし、現金の代わりとして見た場合の仮想通貨は「三流以下(4等級)のオルタナティブにしか過ぎない」と酷評した。
また、以下の4点について、米政府は仮想通貨のもたらす課題に正面から向き合うべきだと主張している。
- ボラティリティ
- 消費者保護の欠如
- 違法活動での悪用リスク
- 環境へのコスト
仮想通貨のさまざまな問題点
ウォーレン議員は、高いボラティリティを理由に、「売買手段としての仮想通貨は粗末である」と指摘。直近のドージコイン(DOGE)の乱高下を一例に挙げ、投機的なデイトレーダーにとっては有益でも、一般利用には適していないと述べた。
また、一般的な金融市場で提供される消費者保護が欠如しているため、パンプアンドダンプなど価格操作(相場操縦)が横行していると批判し、仮想通貨を「粗末な投資対象」と一蹴。他にも、ハッキングや違法薬物の取引、ランサムウェア攻撃などの違法行為を容易化していると述べ、コロニアル・パイプライン社や大手製肉会社JBS社のサイバー攻撃でも利用された事例を挙げた。
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さらにウォーレン議員は、一部PoW(プルーフ・オブ・ワーク)を採用する仮想通貨のマイニングは気候変動問題に重大な影響を与えていると指摘。一部では石炭を利用したマイニング拠点がある点や、ビットコインの消費電力が世界水準で見るとオランダを超える点を問題視した。
しかしその一方、既存のシステムにも課題があると認め、米国でも3300万人のアンバンクド層がいると言及。このような観点から、よいデザイン設計と効率的な実施を可能にすれば、中央銀行の発行するデジタル通貨(CBDC)は大きな将来性を持つと述べ、金融包摂や、金融システムの効率化や安全性の向上につながるとの見解を示した。