はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

順調に進んだKyber3.0開発、7月以降の動向について|Kyber Network寄稿

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

Kyber Networkにとっての上半期とは

ここ最近は暗号通貨(仮想通貨)マーケットが落ち着きを取り戻しつつある中、1年の半分が過ぎようとしています。21年のKyber Networkは、より一層DeFiの流動性を高めるプロトコルとして、「Kyber 3.0」というコンセプトをもとに開発を進めてきました。

こちらの進捗の報告と、下半期に達成を目指すミッションを説明いたします。

Kyber 3.0の概要

Kyber networkは「Kyber 3.0」にて、単一エンドポイントの流動性プロトコルから、多様な流動性プロトコルのハブへ変貌を遂げようとしています。

ブログより引用

以前までは一種類の流動性プロトコルで全ての売買需要を賄っていましたが、DeFiの取引ニーズは単純な売買に留まることなく多様化したため、それぞれのニーズ( AMM を利用した交換、プロのマーケットメイキング、オプションなどのデリバティブ等)に応えるためのプロトコルを複数準備することがミッションです。

ブログより引用

各取引ニーズを満たすような仕組みを持った、多様な流動性プロトコルが Kyber Network 内に存在し、それぞれの流動性プロトコルで異なった流動性提供者、利用者が自由に Kyber Network にアクセスすることが Kyber 3.0 で設定された理想像です。

2021年のロードマップと上半期に完成したもの

2021年のロードマップでは、大きく分けて以下の2つのプロセスがあります。

  • Phase1: Katana (Q2完了)
  • Phase2: Kaizen

Phase1にあたる「Katana」では、

がメインイベントでした。以下にて詳しくお話しします。

KyberDMM のローンチ

前回の記事でも詳しく述べましたが、 KyberDMM は資本効率性を追求した AMM です。 昨年から構想され、AMM として成功すればDeFiにおける取引高の多くを獲得できるため、 Kyber3.0 の中心に据えられていました。

KyberDMMは、ロードマップ通り、無事2021年4月5日にメインネットローンチされています。流動性提供者の資本効率性を高めつつ、マーケット状況に応じた手数料設定により、懸念されていた変動損失(Impermanent Loss,インパーマネント・ロス)の影響を緩和することができます。

関連:初心者でもわかるUniswap完全ガイド|Kyber network寄稿

仮想通貨市場が悪化した現在でも約15億円の資金がプールされています。

引用元:Dynamic Market Maker Analyticis

今後も Kyber DMM で資金を運用するユーザー数を伸ばし、Uniswap などの中心プレイヤーに高いレベルでレート競争を仕掛けていくことが求められています。

Kyber DMMスマートコントラクトの監査も終了し、ユーザーリスク低減のための約20億円レベルの保険加入も完了しました。

KNCトークンのアップデート

ブログ「KNC Token Migration & Upgrade Discussion」より引用

Kyber 3.0構想では当初より、柔軟な戦略が取れるようにKNCトークンをアップグレードすることが提案されていました。KNCトークンを、旧KNCから新KNCへ進化させようという提案です。

「アップグレード」という言葉を使っていますが、その目的は「KNCの新規発行が可能な仕様に変更すること」にあります。これまでのKNCトークンのモデルは、新規発行はできず、むしろバーン(焼却)することで供給量を減らすことしかできませんでした。

KNC保有者にとってはポジティブな側面は大きいものの、それだけでは新たな流動性プロトコル公開に伴うユーザーへの利用インセンティブを確保するのが難しい側面もありました。

議論するフォーラムでは大きな反対も散見されたものの、最終的にはKNC保有者の投票にて実現しました。

Kyber DMMの流動性マイニング

Kyber DMMのローンチと、KNCトークンのアップグレードが上半期(~Q2)までのメインイベントでした。この2件は達成できたため、早速それを最大限に活用するため、Kyber DMMは Ethereum と Polygon で流動性マイニングを開始します。

流動性マイニング

流動性マイニングは、イールドファーミングを行う人達を惹き付けるため、流動性(通貨ペア)提供の対価として利息の他にガバナンストークンが付与されることを指す。

仮想通貨用語集

Kyber DMMは Ethereum はもちろん、サイドチェーンである Polygon にローンチされていますが、双方のユーザーに利用インセンティブとして 合計KNC を配布します。

6月30日からの3ヶ月間、総額30万ドル(3億円以上)を使い、Ethereum と Polygon の流動性を高めつつKyber DMM の利便性を周知することが目的です。

関連:イーサリアムとPolygonの流動性向上へ Kyber Network、最大30億円超の報酬プログラムを発表

この原資は、上半期のロードマップで実現した KNCのアップグレードにより可能となった KNC の追加発行により準備されています。プロダクトは完成している以上、あとはマーケティングとしてユーザーを惹き付けることが重要です。

3ヶ月の流動性マイニングで、DeFi上に存在するAMMの中心となれるほどの規模に成長させていく予定です。

下半期のミッションは成長と開発推進

Kyber 3.0 の成功のために、下半期(Phase2: Kaizen)もまず「Kyber DMM」の実績作り、言い換えるならば、数字で測定可能な形の成長が重要です。6月23日現在では Kyber DMM に集まる資金が約15億円ですが、DeFiに欠かせない流動性供給源になるためには、少なくとも数百億円レベルにまで成長する必要があります。

類似したモデルを持っている Uniswap v3 の流動性(ロックされた資金額)は1500億円以上もあり、DeFiユーザーの圧倒的信頼が伺えます。ここまで迫るためには、単にユーザーを呼び込むだけでなく、Kyber DMM で流動性提供した際に獲得できるプールトークン(初心者でもわかるUniswap完全ガイド 参照)を借り入れの担保として受け入れてくれるDeFiアプリケーションを増やす等、下半期もユーザーの利便性を高めるための不断の努力が重要になりそうです。

Kyber DMM 以外の側面でも、「DeFi流動性のハブになる」ためには、オプションなどデリバティブ取引のための流動性プロトコルの開発など、まだまだ新しいミッションが待ち構えており、それらが完成して初めて当初に掲げた Kyber 3.0 が完成します。上半期は開発ロードマップは順調に進みましたが、下半期も求められる仕事は少なくありません。

厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
03/29 土曜日
13:45
イーサリアム創設者ヴィタリック、L2セキュリティの進化と「2-of-3」証明システムを提案
ヴィタリック・ブテリン氏が新たなブログで、L2セキュリティの現状と将来展望を公開。ブロブスペース拡張、ZK・OP・TEEを組み合わせた「2-of-3」証明システム、証明集約レイヤーの必要性について詳細に解説。
12:55
南カロライナ州で新たにビットコイン準備金法案提出 対コインベース訴訟取り下げも
米国サウスカロライナ州が、コインベースへのステーキング関連訴訟を取り下げた。また同日には州がビットコインなど仮想通貨の準備金を持てるようにする法案が提出されている。
10:45
ブラックロックのビットコインETFを保有、トランプ大統領の息子が顧問の米上場企業
米ドミナリ・ホールディングス社がビットコイン保有戦略を開始し、ブラックロックのETFを購入。機関投資家の仮想通貨投資最新動向は。
10:00
欧州保険・年金機構(EIOPA)、保険会社が仮想通貨を100%裏付ける義務提案
EIOPAが保険会社の仮想通貨保有に100%の資本要件を提案。高リスクに対応するためとしている。欧州では特にルクセンブルクで保険会社の仮想通貨エクスポージャーが確認されている。 。
09:30
SEC、イーロン率いる政府効率化省(DOGE)と連携開始
米証券取引委員会(SEC)がイーロン・マスク氏の政府効率化省(DOGE)との連携を開始。トランプ政権下での規制機関改革と仮想通貨政策転換の最新動向を解説。
08:30
ビットコイン80万円下落、BTCメジャーSQ通過で需給悪化|仮想NISHI
仮想通貨ビットコインは前日比で一時80万円の下落となった。アルトコイン市場も、ビットコインの急落に連動するかたちでほぼ全面安の展開となった。
07:45
トランプ大統領、仮想通貨取引所BitMEXの共同創設者3名に恩赦
トランプ大統領は、アーサー・ヘイズ氏ら仮想通貨取引所BitMEXの3名の共同創設者に恩赦を与えたことがわかった。同氏らは、意図的にマネーロンダリング対策を導入せず銀行秘密法に違反したと告発されていた。
07:15
アバランチ現物ETF、米グレースケールも申請
VanEckの後に申請 米ナスダックは3月27日、グレースケールのアバランチ(AVAX)現物ETFに関する19b-4申請書を米証券取引委員会(SEC)に提出した。この申請は、既…
07:02
ブラジル政府高官「ビットコイン準備金は国の繁栄に不可欠」
ブラジル副大統領首席補佐官がビットコインを「デジタルゴールド」と評価し、国際準備金の5%をビットコインに投資する法案を支持する。
06:40
イーロン・マスク氏、人工知能開発のXAIがX社を買収と発表 企業価値16兆円超の巨大統合に
イーロン・マスク氏が率いるAI企業XAIが旧ツイッター社X社を全株式交換で買収。XAIを800億ドル、X社を330億ドルと評価する統合により、AIとソーシャルメディアの融合を目指す。
06:15
Bybitハッカー、40億円相当のイーサリアムを売却 ETH価格は前日比6%安
Bybitハッキング犯による40億規模のイーサリアム大量売却が仮想通貨に影響。ETHが前日比-6.3%。
03/28 金曜日
13:15
イーサリアム「ペクトラ」の実装日が4月30日と仮決定、次期「フサカ」の動向は?
カオスつうかイーサリアムのコア開発者ティム・ベイコ氏が「ペクトラ」アップグレードの実装日を4月30日と仮決定。次期開発に関しても進捗が確認された。
11:30
米司法省、ハマス関連の仮想通貨約3000万円を押収 資金調達を阻止
米司法省が、イスラム系組織ハマスからUSDTなどの仮想通貨を20万ドル相当押収した。ハマスは仮想通貨による寄付募集やマネロンを行っていたとみられる。
10:50
リップル社、アフリカの決済企業Chipper Cashと提携
リップル社は、アフリカの決済企業Chipper Cashとパートナーシップを締結。仮想通貨を活用するリップルペイメントを導入し、アフリカにおける国際送金の速さやコスト効率を向上させる。
10:45
トランプ指名のアトキンス氏が仮想通貨規制方針示す SEC委員長指名公聴会で
米上院銀行委員会が、次期SEC委員長候補ポール・アトキンス氏の公聴会を開催した。ウォーレン議員が利益相反の可能性を追及した他、仮想通貨関連の議題も俎上に上った。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧