「EU金融当局が仮想通貨の監督を統括すべき」フランスが提案

「ESMAに仮想通貨の監督権限を」

フランスの金融当局が、欧州証券市場監督局(ESMA)に、暗号資産(仮想通貨)を含む分野についての監督権限を与えることを提案している。

フランスの金融市場庁(AMF)は「欧州当局による監督の拡大と規制改善」をテーマとする政策文書を発表。その中には「EUが以前は規制されていなかった金融活動、専門職、商品を規制することを決定した場合には、直接監督権をESMAに付与すべきである」というくだりがあった。

そのような場合には、最初からESMAレベルで規制に関する専門知識を構築することが意味を持つという。「以前は規制されていなかった」対象として、仮想通貨も挙げられた形だ。

欧州証券市場監督局(ESMA)

EUの専門機関の一つ。EU全体の金融市場の監視役として、証券法と規制を担当。またEU各国の金融当局間での協力と投資家保護を促進する。フランスに本拠地を置く。

▶️仮想通貨用語集

フランス当局の文書は、次のように続けた。

EUにおける仮想通貨のパブリック・オファリング(ホワイトペーパーの精査)と仮想通貨サービスプロバイダーの直接監督権をESMAに与えることで、各国の監督機関の負担が減り、専門知識を効率的に集中させることが可能で、EU諸国の利益になる。

国別の選択肢が正当化される場合もあるが、関連する規制枠組みの中で、そうした国ごとの違いを最小限に抑えることが、直接監督権をESMAに移管するための前提条件である。

EU全体の共通した枠組みの下で、ESMAが統括して監督することが効率的だと論じる格好だ。

提案の背景

今回のAMFによる提案は、欧州委員会(EC)が実施した金融規制改革協議の一環として発表されたものだ。

ECは2020年9月、「資本市場同盟」(CMU=Capital Markets Union)構築に向けた行動計画を採択した。16項目からなる行動計画は3つの目標に沿ったものだが、AMFによると「各加盟国の資本市場を真のEU単一市場に統合する」ため、監督責任と「単一のルールブック」の改善が最優先事項とされているという。

AMFは、資本市場同盟の基盤となるのは、欧州市場の効率的な監督と効果的なルールブックの確立であると指摘し、議論を進めた。

各国間の監督責任収束の試みは限界

これまで欧州では、EU各国による監督活動の収束というアプローチを通して、「資本の単一市場」構築を目指してきた。

しかし、EUの27カ国・地域間で監督責任の収束を行うことに多大な資源や労力が費やされているため「限界に近づいてきている」とAMFは主張。特定の事業体や分野に対して、集中的な監督体制への移行を真剣に検討すべきだとした。

さらに、AMFはESMAのガバナンスの枠組みも再検討するよう提案している。各国当局レベルではなく、欧州レベルでの意思決定を可能にするため、常任理事で構成される独立した運営理事会を設置し、監督や戦略における決定権を与えることを推奨した。

すでに専門知識を有するESMA

ESMAはこれまでも、仮想通貨の分野で政策を提案してきた機関である。例えば、様々な関連報告書を作成したり、IPO(イニシャル・コイン・オファリング)への投資家に対する注意事項を発表したりしてきた。このため、仮想通貨規制に関する専門知識を、すでにある程度保有している。

最近の動きとして3月には、規制されていない仮想通貨への投資に関する注意喚起を改めて行った。

一部の仮想通貨は非常にリスクが高い投機的なものであること、仮想通貨の大部分はEUで未規制のままであり、消費者に対する保証がないことなどを指摘している。また、2020年にEUが提案した仮想通貨規制案はまだ法として成立していないため、消費者はこの提案による保護措置は受けられないことも強調した。

EU圏の統一的規制案

EUは、仮想通貨に関する統一的な規制案として2020年9月に「MiCA(Market in Crypto Assets)」を発表。これが各国・地域ごとの仮想通貨規制に優先することになる。

2021年末から、2022年初頭までに完成させることを目指すと報じられているが、各国間の規制当局で調整が必要など課題は多く、導入は2024年頃になる見込みだという。最近はNFT(非代替性トークン)は規制対象外とする改訂が提案されたところだ。NFTは各トークンが唯一無二の価値を持つ資産で、美術品や収集品、ゲームアイテムなどで採用されている。

関連NFTは規制対象外、EU仮想通貨規制の改訂案で

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