葛飾北斎の作品をNFT化
浮世絵のデジタル処理などを手がける映像作家、中田耕市と出版社のライブ・パブリッシングは、日本を代表する浮世絵師である葛飾北斎の作品「冨嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)」のNFT(非代替性トークン)アート作品をリリースした。
本NFTは、エンターテイメントテクノロジーカンパニー、ノーボーダーズの開発するAR/VR対応のNFTマーケットプレイス「XANALIA(ザナリア)」において出品されている。
世界初の試み
中田氏は、今回の発表に際し以下のように説明している。
大衆文化として、作られた浮世絵は、紙も上質な物ではない物が多く、その為色焼け、破損、色ずれ、虫食い、シミ等、版画としての美しさの損なわれた物が多く存在します。現在初版と言われる北斎作品は、数千万円の値がついています。
今回公開する画像は、弊社独自の28年に及ぶ浮世絵画像修復で得た技術、著作権確保、及びその間に構築した古美術所有者とのネットワークを活かし、様々な版 をスキャニングし、修整・修復・改正したもので、初版に最も近いデジタルアートとの評価も得ております。
「神奈川沖浪裏」などで有名な「冨嶽三十六景」(全46図)は、1831~34年に版行された葛飾北斎による富士図版画集。本NFTは中田氏の所蔵するデジタル静止画と、同氏がモーション処理を行った全46図で構成されている。葛飾北斎の作品をNFTするのは世界初の試みだ。
本作品はノーボーダーズが開発するNFT仮想空間XANA(ザナ)においてヴァーチャルミュージアムに展覧され、ユーザーはVRやスマートフォンで観覧できるようになるという。
XANALIAとは
ノーボーダーズが開発したNFTマーケットプレイス「XANALIA」は、日本で期待のNFTマーケットプレイス1位を獲得するなど、世界的に注目を集めている。
NFTとDeFi(分散型金融)の仕組みを取り入れており、3月7日のローンチ後、1ヶ月で希薄化後潜在時価総額は一時14億ドル(約1,650億円)を超え、暗号資産(仮想通貨)市場が暴落した現在でも4億ドル(約440億円)を維持している。
ミラノファッションウィーク2021内で展開されるヴァーチャルファッションショーのNFT化や葛飾北斎の公式NFTアート化作品、中国大型TVドラマ界初の番組連動型NFTなど、グローバルなNFTのリリースを控える。
また、XANALIAは世界最大規模の仮想通貨取引所バイナンスの開発したブロックチェーン(BSC:バイナンススマートチェーン)上に構築されているため、NFT発行のプラットフォームとして主流であるイーサリアムのエコシステムにおけるスケーラビリティ問題やガス代の高騰といった問題を解決しているという。
さらに、最大の特徴として、これまでのNFTはただウォレットの中にコレクションとして保管しておくか売買する、またはゲームで使うなどという用途に限られていたが、XANALIAは自分のコレクションをAR・VRを使ってバーチャル上でリアルに「保有」体験を生み出すことを可能すると説明されている。NFTを活用したAR・VRゲーミフィケーション展開など、様々な企画に対応することも可能だという。