はじめての仮想通貨
TOP 新着一覧 チャート 学習-運用
CoinPostで今最も読まれています

「DeFiの先へ進もう」ヴィタリック氏、イーサリアムのさらなる可能性を語る

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

「DeFiのみに安住しない」

暗号資産(仮想通貨)イーサリアムの考案者・共同創業者のヴィタリック・ブテリン氏は、イーサリアム・コミュニティ・カンフェレンス(EthCC、フランス・パリで開催)の基調講演で、分散型金融(DeFi)以外の分野における開発に積極的に取り組むべきだとの考えを明らかにした。

イーサリアムのビジョンは、常に、金融を遥かに超えたところで、分散化、信頼性の最小化、そしてメカニズム設計の実験を行うことだとブテリン氏は聴衆に訴えた。

確かに「中央集権的な技術が最も苦手とする」金融分野において、イーサリアム上に構築されたDeFiは驚くべき成長を遂げたが、現在、金融関連のアプリが「イーサリアム空間を支配している」ことに対して同氏は警鐘を鳴らした。

DeFiによって(イーサリアムが)特徴づけられることは、何の特徴もないことよりは好ましい。しかし、もっと先へ進む必要がある。

取引手数料の高騰

ブテリン氏は、DeFiが急速に発展したことによって、イーサリアムの取引手数料の高騰が引き起こされた問題にも触れた。例えば、収益が見込まれるDeFiでは許容範囲でも、「NFT化されたツイート」を送るケースなどが考えられる分散型ソーシャルメディアの手数料として、1トランザクションあたり「5.22ドル」(約575円)の場合はネットワークとして機能しないだろうと述べた。

一方、レイヤー2ネットワークの開発やシャーディングによるスケーラビリティの拡大により、手数料問題は徐々に解決されつつあると付け加えた。しかし、プロジェクトの目的は有用性をもたらすことであり、価格ではないとして、「価格はあくまでも、実用性の結果としてもたらされるものだ」と念を押した。

DeFi投資の限界とリスク

ブテリン氏はまた、DeFi分野で注目されるイールドファーミングなどの収益活動は有用であるものの、「トークンの取引に役立つトークン」が無限に生み出されるループに陥る可能性を指摘。複雑な金融派生商品が持つシステミックリスクについて警告した。

このようなものは、レイヤー1とレイヤー2までは価値があるが、レイヤー6ともなると実際には金融不安と全てが崩壊してしまうリスクを高めることなる。そうなると、規制当局の怒りに触れる恐れもある。

イールドファーミングとは

イールドファーミングとは、DeFi(分散型金融)上で、暗号資産(仮想通貨)を預けて流動性を提供することにより利益を得るシステムのこと。

▶️仮想通貨用語集

注目する分野

ブテリン氏は金融以外のユーティリティこそが、「汎用ブロックチェーンのビジョンの中で最も興味深い分野」であると述べており、最も面白いイーサリアムのユースケースは、「金融と非金融の要素を組み合わせた」領域で誕生するだろうと主張した。

その一例として、分散型ソーシャルメディアにおけるイーサリアム利用の可能性ついて言及。ブロックチェーンの中立的で検閲耐性を持つ特徴と、トークンを利用した「経済レイヤー」を用いた設計が容易にできるなど、技術的に優れた点を説明した。また、「イーサリアム上のツイッター」の構築がAaveに提案されたことにも触れた。

また、イーサリアムを分散型のログインサービスとして利用するアイディアや、ゼロ知識証明を利用した認証エコシステム構築を目指す複数のプロジェクトを紹介した。

さらに、ブテリン氏は「遡及的な公共財のための資金調達」というコンセプトに積極的に関わっていることを発表した。

通常、スタートアップやプロジェクトへの資金提供は、その将来の可能性に対して行われるものだが、このコンセプトは、その逆の発想に基づいている。つまり、すでに一定の成果を出したプロジェクトに対し、コミュニティの目的に見合った価値をもたらしたと評価された場合に資金を提供するというもの。プロジェクト評価のために分散型自立組織(DAO)を設立し、プロジェクトトークンの発行などが行われるという仕組みだという。

開発の社会的意義を問い続けるブテリン氏と、大きな開発者コミュニティをかかえるイーサリアムが、DeFiを超えて、今後どのように発展していくのか、期待しつつ見守っていきたい。

関連:ヴィタリック氏、NFTに社会的価値を持たせる二つのアイデア提案

CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
07/03 木曜日
18:23
Aptos LabsがYellow Cardと提携、アフリカ20カ国で手数料無料のステーブルコイン送金開始 
Aptos LabsとYellow Cardが提携し、アフリカ20カ国で手数料無料のステーブルコイン送金サービスを開始した。USDT・USDC対応で即時決済を実現し、数百万人のユーザーがステーブルコインをより迅速かつ手頃な価格で利用できるようになった。
18:10
ストラテジー社のビットコイン財務戦略:価値創造と潜在リスクの両面
米国のストラテジー(マイクロストラテジー)などビットコイントレジャリー企業の財務モデルを軸に、株式を通じた投資の仕組みやレバレッジ効果、税務上のメリットなどを解説。日本のメタプラネットなど類似上場企業の動きも取り上げ、再現性の条件やリスク要因を多角的に考察する。
17:26
スイスFINMA規制のAMINA銀行、リップル社RLUSDを世界初サポート
スイス金融監督局(FINMA)規制下のAMINA銀行が、リップル社の米ドル建てステーブルコイン「RLUSD」の取扱いを開始。時価総額660億円超のRLUSDをサポートする世界初の銀行として、機関投資家向けに保管・取引サービスを提供。
16:14
米仮想通貨取引所コインベース、「LiquiFi」買収でトークン発行支援事業強化へ
米コインベースがトークン管理プラットフォーム「LiquiFi」を買収。トークン発行者を初期段階から支援するプラットフォームであり将来的に機関投資家向けサービスにも統合予定だ。
16:02
オルタナ信託設立とProgmat・ALTERNAの協業深化
三井物産デジタル・アセットマネジメントは、デジタル証券特化の信託会社「オルタナ信託」を設立。Progmatと協業し、ST発行・管理基盤を導入。ST市場の効率化と拡大を目指す。
12:04
ビットコイン反発で11万ドルに接近、Bitfinex分析ではQ3の季節性要因を警戒
仮想通貨取引所ビットコインは前日比+2.6%の108,733ドルまで上昇。Bitfinexレポートによると、4月安値から50%反発後は10-11万ドルのレンジ相場に移行し、第3四半期の季節性要因で平均リターン6%の「最弱四半期」を警戒する。一方、米国初のソラナステーキングETFが取引開始し初日3,300万ドルの好調なスタートを記録。
09:50
「ビットコイン保有者の大多数が含み益、HODLが主流に」Glassnode分析
Glassnodeの週次レポートによると、仮想通貨ビットコイン投資家の大多数が含み益状態で、長期保有(HODL)が市場の主要メカニズムになっている。
09:31
米SIFMA、証券トークン化の規制作りでSECに要望書簡送付
米SIFMAはSECに対し、RWAに分類される株などの証券のトークン化に対する規制整備について提案を行った。オープンで透明性の高いプロセスを通して、ルールを作るべきだと主張している。
08:55
米テック富豪ら、仮想通貨向け銀行「Erebor」設立を計画=報道
ピーター・ティール氏らテック投資家が仮想通貨企業向け銀行Erebor設立を計画。全米銀行免許を申請、シリコンバレー銀行の後継を目指す。
08:20
米上場の中国系アパレル企業アデンタックス、ビットコインを最大12000BTC買収へ
ナスダック上場の中国系企業Addentaxが最大1万2000BTCの買収で基本合意。約13億ドル相当を株式交換で取得予定、5月発表の8000BTCから規模拡大。
07:55
ブラックロックのIBIT、手数料収入が「S&P500ETF」超え
ブラックロックの仮想通貨ビットコインの現物ETF「IBIT」は、同社のS&P500のETFよりも手数料収入を生み出していることがわかった。IBITはビットコインETFの資金フローを主導している。
07:30
ドル指数が2022年以来の安値に、ビットコインや金に与える影響と今後の見通し=Cryptoquant分析
Cryptoquantが2日に発表した分析によると、ドル指数が2022年来安値を記録する中、ビットコインは膠着状態が続く。長期保有者の含み益減少も指摘。
06:55
ビットコイン、2025年後半に20万ドル到達目標を維持=スタンダードチャータード銀
スタンダードチャータード銀行のケンドリック氏がビットコイン20万ドル予測を維持。ETFや企業購入の拡大により2025年後半に史上最大の上昇を見込むか。
06:10
リップル、米国銀行ライセンス申請 サークルに続く動き
リップルが米通貨監督庁に国家銀行免許を申請。RLUSDステーブルコイン規制対象化とサークルとの競争激化が注目される。
05:50
オープンAI、ロビンフッドの株式トークン化サービスとの提携を否定 未承認でトークン発行か
OpenAIがロビンフッドの株式トークンサービスへの関与を公式否定。未上場企業トークン化における先買権問題が浮き彫りに。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア
重要指標
一覧
新着指標
一覧