- ビットコインから分裂して誕生した通貨
- 様々な企業やマイナー達の思惑が複雑に絡み合ったビットコイン分裂問題により、2017年8月1日ビットコインがハードフォークされて誕生した通貨。
- ブロックチェーンのブロック容量がビットコインの約32倍
- これにより分裂問題で争点となっていたビットコインの問題点の一つが改善された、と言われています。
ビットコインキャッシュとは?
ビットコインキャッシュはビットコインのルールを一部変更して生まれた新しい通貨です。 ビットコインのスケーラビリティ問題(拡張性)の解決を目指し、2017年8月、ビットコインからのハードフォークを行い誕生しました。 ビットコインキャッシュという名前ではありますが、ビットコインではなく、アルトコインの一つとされます。
ビットコインキャッシュはビットコインからのフォークであるため、最初の資産の分配はビットコインの所持量に応じて行われました。 ビットコインキャッシュを配布する事を宣言していた取引所にビットコインを保管していた人には、ビットコインキャッシュが配布されました(日本ではコインチェック、ビットフライヤー、ビットバンク、ビットポイントが対応)。
ビットコインキャッシュの概要
通貨コード | BCH(旧BCC) |
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取引開始日 | 2017年08月01日 |
承認アルゴリズム | Proof of Work(SHA256) |
発行上限 | 21,000,000 BCH |
現在の流通量 | 16,485,613 BCH |
ブロック認証サイクル | 約10分 |
公式サイト | 公式サイトリンク |
ブロックチェーンExplorer | ブロックチェーンサイト |
ビットコインキャッシュの特徴、ビットコインとの違い
ビットコインキャッシュはビットコインの問題点の解決を目指し分離しました。その結果生じた差異、それらのメリットとデメリットを説明します。
ブロック容量が1MBから8MBへ拡張→アップデートで32MBへ
- 誕生時はブロックサイズ 8MB
- ビットコインはブロックサイズ 1MB
- ビットコインキャッシュはアップデートで 32MBへ
ビットコインはブロック(取引データなどが入ったもの)サイズが1MBですが、ビットコインキャッシュは誕生当初8MBで、アップデートで32MBとなりました。 これはビットコインでネットワークの規模の拡大に応じて頻発した送金詰まり、送金コストのインフレなどのスケーラビリティ問題の解決策の一つです。 ただし、これによりビットコインの送金速度が数分になる、という認識を持っている方がいますが、そうではありません。
送金速度について
- ブロックサイズ拡大=送金が数分、数秒になる訳ではない
- ビットコインと同じく1ブロック認証時間は平均10分
- 送金では6認証かかるため、約60分かかることが多い
まず、ビットコインのブロック認証は平均10分です。これは事前にマイニングの難易度の目標値として設定されており、ビットコインキャッシュにも引き継がれています。 このブロックの計算に要される時間をブロックタイムと呼びます。
ブロックに入り、台帳に記述されるトランザクションはブロックの作成者に認証されたことになりますが、多くの場合6回の認証を必要されるため、取引完了まで1時間ほどかかる場合が多いです。 認証はブロック単位で行われ、どれだけブロック容量が拡張されても0.2ブロック認証で完了、といった事にはなりません。 つまり、容量が拡張してもビットコインのブロック認証時間を引き継いでいる以上、平均60分の送金時間がかかってしまうという点は変わりません。
なぜ10分間という時間を設定したのか、なぜもっと短い時間にしなかったのか疑問に思われるかもしれません。 その理由としてはブロックの時間を長くすることにも短くすることにもそれぞれ利点欠点があり、10分間が一種の妥協点として選ばれたことにあります。
ブロックタイムを短縮するメリット
- 決済時間の短縮
- 二重決済の難易度上昇
- マイナーの報酬の安定化
ブロックタイムを短縮するデメリット
- フォークの発生の増加、再統合までの時間の延長
- ノード間通信の増加による帯域使用
リプレイアタックなどのハッカーからの攻撃に対する防御
まずリプレイアタックについて説明しましょう。リプレイアタックとは一度認証された信号を再度送信することで、予期されぬ動作を引き起こすサイバー攻撃の一種です。
例えば、ビットコインが分裂し、今までのブロックチェーンを継続しているBTC(ビットコイン)と新たな仮想通貨であるBCH(ビットコインキャッシュ)に分裂して、BTCを持っている人に同じ数BCHが配られたとします。 (※これはあくまでも例として挙げているだけですので、実際にはリプレイアタックが行われたという発表はありません。) そしてとある取引所はBCHに対応していません。よってその取引所内では単にBTCとして扱われています。
仮にこの取引所で10 BTCを預けていたとして、そこから1 BTCを引き出し、BCHに対応している取引所のウォレットに入れると、手元には1 BTCと1 BCHが発生することになります。
その後今までのブロックチェーンを継続しているBTCを取引所に戻すと、取引所では再度10 BTCに戻ります。
取引所の残高を減らさず、入出金を繰り返すだけでBCHが増えてしまいました。
これがリプレイアタックです。
今のは解説の為の例え話ですので、こういったリプレイアタックが出来ないように取引所が対策している場合も多いですが、そうでない場合もあります。 ビットコインキャッシュにはこの攻撃に対して防御出来る仕組みがあります。 リプレイアタックはフォーク前の仮想通貨での取引の情報をフォーク後の仮想通貨でも再利用(リプレイ)することで複数回の動作を行わせる、プログラムの穴をつくようなものです。 BCHではBTCと取引を区別するための識別子を取り入れることで、BTCからBCH、またはその逆の転用を防ぐ工夫がされています。
ビットコインキャッシュの歴史
ビットコインにはマイナーや利用者が従うルールがプログラムの仕様という形で設定されています。
しかしビットコインが広まるにつれ、送金速度の遅延等様々な問題が表面化し、このルールについて、開発者やマイナー、投資家達の一部が意見を対立させ始めました。 それがUASF(BIP148)とSegwit2x(BIP91)、UAHF(BAHF)の対立です。
ビットコイン分裂騒動についてはこちらで述べていますので、今回は概要だけ説明します。
- Segwit2x(BIP91)
- 3ヶ月後のブロックサイズの引き上げるためのハードフォークを前提にSegwit認証を計画する案です。既に80%以上のハッシュパワー(計算力)を占めるマイナー達により承諾されています。
- UASF(BIP148)
- Segwitを支持しないマイナーのブロックを受け付けないソフトフォークによりSegwit認証を促す案です。Segwit2xが否定された場合、高い確率でUASF実行後にUAHFによる分裂が起きるとされていました。
- UAHF(BAHF)
- Segwitを採用せずにブロック容量拡大の為のハードフォークを起こす、UASF(BIP148)の対抗案です。ビットコインマイニング機械の大手企業Bitmain、もしくは最大手マイニングプール、取引所であるViaBTCが行うとされていましたが、個人のマイナーが行いました。
ビットコインキャッシュの誕生
ビットコインキャッシュは上記の3つの案の内、UAHF(BAHF)のビットコインハードフォークにより誕生しました。 他2つの案にあるSegwit(ブロックの拡大ではなく、ブロックの中身を分割する解決策)は適用されていません。
UAHF(BAHF)とは、ビットコインマイニング機械の大手企業Bitmain、そして最大手マイニングプール、取引所であるViaBTCが行うとされていたマイナーの支持に関係なくハードフォークする案です。 元々はUASF(BIP148)によりSegwitが導入されると、Bitmainで作られている高性能マイニング製品ASICBoostが使えなくなるために発案されたものでした。
その後発案されたSegwit2x(BIP91)をBitmainが支持し始めましたが、2017年7月18日に同じくSegwit2x(BIP91)を支持するとしていたViaBTCがビットコインキャッシュの上場を発表した事で、ViaBTCに投資をしているBitmainへ疑惑が募りました。
関係性はBitmainが否定し、様々な情報が錯綜する中、UAHFは起こらない可能性もあると言われていました。
しかし2017年8月1日午後22時半頃に、ビットコインが個人マイナーによりハードフォークされました。この結果ビットコインキャッシュが誕生したのです。
ハッシュ戦争
2018年11月、ビットコインキャッシュのハードフォーク実行が行われました。BCHのマイナーは二つの勢力に分かれ、BitcoinSV側がBitcoinABCのブロックを無効としたことも含め、明確に2つの通貨に分裂したことが確認されました。この事件を受け、SBIはBCHへの参入を取りやめました。
関連:ビットコインキャッシュのハードフォークで通貨分裂を確認
マイニング
Proof of Workであるビットコインキャッシュは、ビットコインと同様コンピュータの計算量が重要になります。
ハードフォーク直後はマイナーが少なく、ブロックタイムは長く、取引に数時間かかる場合もありました。 しかしこれはUAHFの「ハッシュレートがある一定値低くなると約20%のディフィカルティ(採掘難易度)が減少する」という調整仕様をマイナー達が利用して、調整されるまであえて正規ビットコインをマイニングしていたという意見もありました。
このマイニングについても「価格の変動」で述べた通り、マイニングのデフィカルティの調整が完了し利益がでるようになったことからマイニングが活発になりました。
2020年11月にも分裂騒動が置きましたが、BCHマイナーの80%以上は、分割前にBCHN(BitcoinCash Node)を支持することを事前に示しており、生成したブロックに「PoweredbyBCHN」など、さまざまなメッセージを追加していたという。 BCHNのハッシュレートは分裂時に一時的に低下した後、上昇を続け、マイナーの支持を得られたことを示しています。
関連:Bitcoin Cashの定期アップデートに伴うハードフォーク
ビットコインキャッシュチャート・ニュース一覧BCHを取り扱う取引所
国内の仮想通貨(暗号資産)取引所でBCHを取り扱っているのは、bitFlyer、楽天ウォレット、GMOコインなど、合計22社です。
関連:人気通貨別の仮想通貨取引所おすすめランキング|ビットコイン、リップル、イーサリアム