仮想通貨の市場規模拡大とともに、マイニング(採掘)が世界中で注目される中、日本でも興味を持つ人が増加しています。
しかし、個人でマイニングを始めるのにどの程度の費用がかかるのかまで把握しているという方は、そう多くはないのではないでしょうか。そこで、今回はマイニングにかかる費用と、費用削減方法について解説していきます。
マイニングにかかる費用は?
主にマイニングでは、マイニングができる設備購入費用と、その設備を動かす電気代の2つの費用がかかります。
1.設備費用
マイニングの設備費用は、どの程度のスケールで行うかにより異なります。
マイニングするにあたり、必須かつ高単価なパーツであるグラフィックボード(GPU)。例えば、これを1枚使用してマイニングするのであれば、10万円~を目安にマイニングを始められます。
ただし、搭載しているグラフィックボードごとのハッシュレートに性能差があるため、電力効率が高いGPUをカスタマイズすると、その分初期投資の金額が上がります。
一方、グラフィックボードを何個も使用する場合は、使用するグラフィックボードの数に準じて、必要な設備費用は上がります。加えて、マイニング中はグラフィックボードから熱を発するため、何台も使用してマイニングするのであれば、冷却のためのサーキュレーターやサーマルパッドが必要です。
さらに大がかりにマイニングをするのであれば、電気を供給するために配線工事費や、排熱管などの設置が必要となります。
2.電気代
マイニング中は、必ず電気代がかかります。これらも使用するGPU、マイニングする地域、管理体制によって異なるため、いくらかかるか計算してみる必要があります。計算方法は、『GPUの消費電力×マイニングする時間×電気料金』で求められます。
例えば、東京でRTX2080Tiというモデルのグラフィックボードを1台使用して24時間マイニングした場合:0.15(kW)×24(h)×26(円/kWh)=93.6円/日 すなわち、1日当たり約100円の電気代がかかります。
マイニング費用の抑え方
前述した通り、マイニングは大きく分けて設備費用と、電気代がかかります。それぞれ項目を分けて考えることでマイニング費用の削減を期待できます。
マイニング設備費用の抑え方
まず、マイニング設備費用の削減方法です。
規模を問わずに言えることは、ワットパフォーマンスの高いグラフィックボードを安く仕入れることです。マイニングにおいて、取引処理を行うコアなパーツかつ高価であるGPUは、費用を抑えるという観点で重要なポイントでしょう。
電力効率の良いグラフィックボードは、Minerstatが提供するmining profitability calculatorを使用すると各アルゴリズムごとに消費電力に応じたハッシュレートを確認できます。
そこから使用するグラフィックボードを選択し、実店舗やECサイトを確認してみると設備費用を抑えられます。ただし、良質なグラフィックボードを選ぶ場合はそれに比例して初期費用も高くなるため、自分の予算と相談して選択しましょう。
電気代の抑え方
電気代は、マイニングをすると固定でかかります。これを削減するのであれば、基礎電気料金が安いプランの会社と契約変更しましょう。
まず、基礎電気料金とは、電力会社ごとに設定している電力の基礎単価のこと。これは、一般的に使用する電力が高いほど、単価が安く設定されているケースが多いです。他にも月々定額の電力会社等もあるため、どの程度のスケールで行うかによって変わるため、気になる電力会社に見積もりを取ってもらうのも良いかもしれません。
また、地域別ごとに電気代が異なります。2017年の電気の基礎単価表によると、北陸地方が一番安く抑えられます。日本では、電気の平均単価は、22.4円/kWhですが、海外だとこの単価が異なります。
アメリカ、カナダなどの北米国では、10~15円/kWh、インドや中国などは、5円/kWh等で電力が販売されています。本格的にやるのであれば海外も視野に入れるのも一つの手段です。ただし、国によってマイニングの規制、停電などのリスクもあることを視野に入れましょう。
最後に
今回はマイニングにかかる費用に何がかかるか、また費用を削減するための方法について解説しました。重要なことは、マイニングをどれくらいのスケールで行うかを始めに決めることです。
いきなり大きなスケールで始めようとすると、思わぬところで壁にあたってしまうのがマイニングです。初めて行う方は、まず自宅等で小規模マイニングを試してみてからスケールを検討してみるといいかもしれません。
関連:マイニングにおけるDifficulty(採掘難易度)とは|ハッシュレートとの相関性について解説