BTC投資信託の購入予算引き上げ
デジタルカレンシーグループ(DCG)は20日、グレースケールが提供するビットコイン投資信託(GBTC)の購入分を増やす計画を発表した。
これまで発表していた7億5,000万ドルから10億ドル(約1,100億円)まで、購入可能な予算を引き上げる。
現時点で購入に当てた予算額は3億8,800万ドル。予算追加する形で、GBTCの需要創出に繋げる考えだ。
Grayscale Investmentsは、デジタル通貨を主な投資事業とするDigital Currency Groupの子会社で、金融の中心地である米ニューヨークに本社を置く。「Grayscale Bitcoin Investment Trust」は、市場価格をベンチマークとする投資信託であり、投資対象をビットコインのみとした初の証券となっており、とりわけ需要が高いのが、オープンエンド型投資信託の「グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)」だ。
同金融商品は、1受益証券当たりのBTC保有比率が、ビットコイン市場価格に連動する投資成果を目指すものとなるため、仮想通貨特有の問題である「秘密鍵」などの漏洩・ハッキングリスクなどが存在せず、機関投資家を中心に需要が拡大した。
その特性上、現物資産との「プレミアム(価格乖離)」が常態的に発生しており、プレミアムを得る取引手法が、ビットコインの現物市場を押し上げる要因となった時期もある。
しかし、プレミアムがマイナスに転じて以降、カナダなどの金融市場でビットコインETFが開始されたことなどの時期も重なる形で、新規の需要が減退。今では、ビットコインの価格よりも大きく割安で取引される状況となっている。
これを打開する策として打ち出しているのがGBTCの現物ETF(上場投資信託)化だ。同社は、19日にSECに申請資料を提出している。
現時点で、現物運用のビットコインETF承認例はないが、承認を目指す同社として、ETF承認後の証券流動性の改善を契機としたプレミアムの縮小を狙っている可能性もある。