世界情勢と仮想通貨市況
欧米諸国および日本は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を受け、SWIFT(国際銀行間通信協会)メッセージングシステムからロシアの排除を決断した。経済的結び付きの強い欧州への影響を踏まえ、排除対象はロシアの主要銀行に留める。
SWIFTは各国の銀行が加盟する、世界標準の国際ネットワーク。世界11,000以上の金融機関が利用し、決済額は1日あたり5兆ドル(580兆円)規模に上るという。
制裁内容には、ロシア中央銀行に対する外貨準備資産の規制・取引凍結も含まれ、「米ドルなどの外貨売り・ルーブル買い」といった為替介入による臨時対応策も封じる。
これにより、ロシアの法定通貨ルーブルや同国の貿易に多大な影響が生じるため、ルーブルの急落や物価上昇などの影響が顕著に出ることが考えられる。日本経済新聞の後藤達也(@goto_nikkei)氏が図解した。
◆米欧「ルーブル急落ねらう」
— 後藤達也(日本経済新聞) (@goto_nikkei) February 27, 2022
・ロシアがもつドルなど外貨準備の取引を凍結する方向
・ロシアは為替介入(外貨売り・ルーブル買い)が難しく
・ウクライナ侵攻後、ルーブル急落、最安値に
・通貨急落はインフレや国民不満を招く可能性
・SWIFT排除とあわせ強い制裁に
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ただし、世界屈指の資源大国に対する経済制裁は、諸刃の剣だ。
ロシアは原油や小麦などの世界的な輸出国であるため、サプライチェーンの停滞や原油・天然ガス価格上昇を招くなど、金融市場の混乱や経済への悪影響も懸念される。
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ロシアのプーチン大統領は、北大西洋条約機構(NATO)首脳陣の声明と経済制裁に強く反発。「核戦力」を含む部隊を高度警戒態勢に置くよう軍司令部に命じたことが伝わると、相場は一時急落した。
ロシア側が従来の金融システム外にある暗号資産(仮想通貨)を使って制裁回避を目論み、仮想通貨に対する欧米の規制圧力を強めると懸念する指摘もある。同国のAnton Siluanov財務大臣は4日、仮想通貨取引サービスを提供する企業に登録制を導入することを提案し、銀行にも同様の認可を与えるべきだと主張したほか、金融資産として認める方針を示していた。
関連:ロシア財務大臣「銀行にも仮想通貨取引を提供する認可を」
一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は27日、ロシアとの停戦協議を行うことを発表した。紆余曲折を経て、ロシアと隣国ベラルーシとの国境地帯で実施する。
相場状況
先週末の米国株は、ダウ平均は834ドルと大幅高で取引を終えた。
ロシアとの停戦交渉が伝わると、急悪化していた投資家心理改善により買い戻しの動きが相次いだが、交渉の落とし所を探るのは極めて困難な情勢で予断を許さない。
28日の暗号資産(仮想通貨)市場は、週明けにかけて乱高下。ビットコイン価格は、前日比0.7%安の440万円(38,080ドル)に。
ブロックチェーン分析プラットフォームのSantimentによれば、少なくともオンチェーンデータ上では、一部クジラ(大口投資家)の強気姿勢も垣間見える。
ロシアがウクライナへの軍事侵攻を決め、ビットコイン(BTC)価格が34,700ドルまで急落した際に買い増し傾向が見られ、10万ドル〜100万ドルを超えるトランザクション数は、1月24日以来の最高水準に達した。
いずれにせよ、相場の不確実性は過去類を見ないほど高まっており、当面は欧州を中心とする戦後最大の危機であるウクライナ情勢を巡るヘッドラインで揺さぶられる神経質な展開が続きそうだ。ビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)市場を含め、ボラティリティ(価格変動性)の急拡大に注意したい。
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