今週(5日〜11日)の仮想通貨相場
今週のビットコイン市場は、週央で一時42,000ドルを突破するも反落。その後は39,000ドル付近を横這いで推移している。
各指標の騰落率一覧
11日の終値時点の週間騰落率は、以下のようになった。
月初来騰落率
年初来騰落率
(今週の騰落率は、先週の終値、今週の終値を用いて計算。月初来、年初来についても前の月、年の終値で計算)
(仮想通貨の価格は取引所コインベースを参照、各銘柄の価格はTradingviewを参照)
5日〜11日のBTCチャート
bitbankアナリスト分析(寄稿:長谷川友哉)
5日〜11日レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円相場は、週央に上値を試す展開を繰り広げ490万円にタッチするも、後半にかけて上げ幅を掻き消し、11日正午時点で、週足ベースで横ばいとなっている。
週前半のBTC対円は、先進国のロシア産石油輸入停止を受けた原油価格高騰と、それに伴う株式市場の軟化を受けて上値を重くし、一時は430万円割れを窺う展開となったが、ウクライナ情勢を巡る進展に支えられ、450万円を背に底堅い推移となった。
週央に差し掛かると、米財務省から仮想通貨に関わる大統領令に対する声明がリークされ、比較的に前向きな内容が明らかとなり相場は急伸し490万円まで上昇した。ただ、その後は欧州連合(EU)がロシアによる暗号資産(仮想通貨)での制裁逃れ対策で、仮想通貨を証券と分類すると発表。さらに10日には、上述の大統領令がバイデン米大統領から発令され、相場は事実各売り気味に反落し450万円まで下落した。
10日米時間に発表された2月の米消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で7.9%と物価上昇の加速が確認され、BTCは一時乱高下を演じるも底堅く推移し460万円回復を試したが、翌日の東京市場で日経平均株価が大幅に反落して取引を開始すると、連れ安となり450万円を割り込んでいる。
BTCは、対ドルで中期レジスタンス及びアセンディングトライアングルの上辺となる4.5万ドル(約525万円)を目指すかと思いきや、落胆を誘う反落を演じた(第2図)。ただ、今週も米主要3指数が下値を試す展開となる中、BTC相場は比較的に底堅い推移となっており、米CPIが1月の7.5%から7.9%と加速し株価を圧迫したが、10日米時間のBTCは小幅ではあるが反発に転じた。
ウクライナ情勢悪化を受けて代表的な逃避資産である金(ゴールド)相場が上昇した一方、BTC相場は伸び悩んでいるが、「米株と連動する」と揶揄される割に中期的には安値を切り上げる推移となっており、先月に1月の安値を更新している米主要3指数と比べると、案外底堅さがうかがえる。
事実、BTCはボラティリティが高い故にリスクの高い資産ではあるが、2月後半から米ブレークイーブン・インフレ率(期待インフレ=BEI)は急上昇しており、今週には昨年の最高値を更新しており、リスクオフとインフレヘッジの狭間でBTCは綱引き状態となっているのかもしれない。米国の10年物実質金利も昨年末の水準まで急反落しており、1月に台頭した米連邦準備制度理事会(FRB)による金融引き締め加速の観測があたかもなかったことになっている(第3図)。
さて、来週15日〜16日にはいよいよ米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合が開かれる。今週は欧州中央銀行(ECB)が量的緩和縮小を加速させ今年の第三・四半期にも終了させると決定し、ウクライナ情勢を巡って引き締めペース緩和が囁かれた中でタカ派に傾斜した。背景にはロシアによるウクライナ侵攻が物価上昇を加速させるという観測があり、来週のFOMCでもインフレ高進対策としてタカ派なサプライズが出る可能性を排除できなそうだ。
市場の予想通り、25ベーシスポイント(bp)の利上げで済めば、安心感から買い戻しが入る余地もありそうだが、経済見通しで年内利上げ回数が7回以上ともなれば市場に波乱を呼ぶか。このほかにも、年末時点の個人消費支出(PCE)や国内総生産(GDP)の見通し中央値など、留意するべき点が多くある。
関連:bitbank_markets公式サイト
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