CoinPostで今最も読まれています

米大手VC「a16z」仮想通貨レポート、Web3の可能性を高く評価  10億人ユーザー時代へ向けてのプロジェクト増加に期待

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

初の仮想通貨動向レポート

米著名VCアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)は17日、同社初となる暗号資産(仮想通貨)業界の動向レポートを発表。約10年に及ぶ仮想通貨投資の知見に裏付けられた観点から、中央集権的なWeb2から、分散型のWeb3に移行する「インターネットの進化」の流れを概説した。

Web3.0 とは

Web3.0は、現状の中央集権体制のウェブをWeb2.0と定義し、ブロックチェーン等を用いて非中央集権型のネットワークを実現する試みを指す。代表的な特徴は、仮想通貨ウォレットを利用したdApps へのアクセスなど、ブロックチェーンをはじめとする分散型ネットワークのユースケースがある。

▶️仮想通貨用語集

a16zは注目すべきポイントして以下の五つの要素を挙げている。

  • 仮想通貨市場の「価格ー革新サイクル」
  • ビッグテックではなくクリエーターを利するWeb3
  • 仮想通貨の実社会への影響
  • イーサリアムと競合プロジェクト
  • Web3はまだ始まったばかり

まず、a16zは「混沌としているように見える」仮想通貨市場には一定のサイクルがあるとして、「価格ー革新サイクル」という概念を提示。他の業界と異なり、仮想通貨市場では価格が先行指標となると主張した。

仮想通貨価格は「フック」のようなもので、(1)価格が高騰することにより仮想通貨への関心が高まり、(2)新しいアイディアや活動が活発化することでイノベーションの原動力となるという「フィードバックループ」であり、再現性のあるサイクルだと説明した。このような循環は2009年のビットコイン誕生以来、複数のサイクルを経て「業界を推進するエンジン」となっているという。そして現在は第4サイクルの真っ只中だとa16zは述べている。

弱気市場では価格にとらわれるのではなく、技術の構築を継続することが重要であり、2000年代初頭のドットコムバブル崩壊後の教訓から、今こそ、「Web3では何が成功するかと考える時だ」と強調した。

イーサリアムの人気は諸刃の剣

レポートの共同著者であるエディ・ラザリン氏は「Web3はムーブメントを表す言葉であり、仮想通貨はそのムーブメントを可能にする基盤技術だ」と総括。そしてWeb3ではイーサリアムが「明確なリーダー」だが、現在ではSolana、Polygon、BNB Chain、Avalanche、Fantomなどの競合プロジェクトが登場し、成功を競っていると指摘した。

a16zはイーサリアムがリードしている要因は、いち早くプロジェクトがスタートし、健全なコミュニティが形成されていること(圧倒的な開発者数:毎月約4,000人がアクティブに開発)だという。一方、イーサリアムはスケーリングよりも分散化を重視してきた経緯から、他のプロジェクトがより速く、より安い手数料のブロックチェーンを開発し、多くのユーザーを惹きつけ、シェアを伸ばしている。

しかし、相互運用性の高まりやレイヤー2技術の進歩など、「イノベーションの余地は大きい」ため、一つのプロジェクトの一人勝ちではなく、「複数の勝者が生まれるだろう」とa16zは予測した。

また、現在、イーサリアムには700万から5000万人のアクティブユーザーがいると推定されており、初期のインターネットと比較すると、1995年の状況だとa16zは判断。その後、インターネットは2005年までの間に10億人のユーザーに達したが、時期を同じくして、フェイスブックやユーチューブなどが設立され、Web2が形作られ始めたと指摘した。

レポートでは、現在のトレンドが継続した場合、Web3は2031年には10億人のユーザーに達する可能性があると推測している。

クリエーターに断然有利なWeb3

a16zはプラットフォームによって、クリエーターの報酬にどれほど差があるのかを新たにデータを分析した結果を発表している。

Web2の巨人のテイクレート(企業側の手数料)は恐ろしく高い。Web3のプラットフォームは、より公平な経済条件を提供する。

レポートによると、2021年にイーサリアムベースのNFTの一次販売と、NFT取引プラットフォーム「OpenSea」での二次販売からクリエイターに支払われたロイヤリティは、合計5,019億円(39億ドル)。これは、Meta(旧フェイスブック)が2022年までにクリエーターに支払った1,287億円(10億ドル)の4倍となった。

さらにユーザーベースで比較すると、Metaの約30億人に対し、NFTコレクション数から推定したWeb3のクリエーターは2万2,400人であり、一人当たりの報酬に換算するとその差はさらに驚異的だ。

  • Web3:クリエータ1人当たり、約2,240万円(17万4,000ドル)
  • Meta:ユーザー1人当たり、約13円(0.10ドル)
  • Spotify:アーティスト1人あたり、8万1,800円(636ドル)
  • ユーチューブ:チャンネル1人あたり、318円(2.47ドル)

a16zは「Web3は小さいが強大だ。」とまとめている。

関連:大手VCのa16z、著名な暗号学者らとWeb3(ウェブスリー)専門の産業研究所を設立

CoinPost App DL
注目・速報 相場分析 動画解説 新着一覧
07/27 土曜日
08:10
マスク氏のX(旧ツイッター)、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除か
イーロン・マスク氏がオーナーのX(旧ツイッター)は、ビットコインなどの仮想通貨絵文字表示を削除した。ドージコイン擁護のためか。
07:35
BitwiseのETH現物ETFの横断幕、NYSEに掲揚
仮想通貨運用企業Bitwiseのイーサリアム現物ETFの横断幕が、ニューヨーク証券取引所に掲げられた。同社は、取引終了のベルを鳴らすことも報告している。
07:05
野村傘下のレーザーデジタル、利回り提供のイーサリアムファンド販売予定か
野村ホールディングスの仮想通貨資産子会社であるLaser Digital(レーザーデジタル)は、イーサリアム現物ETFの代替商品の導入を計画しているようだ。
06:40
米SEC、グレースケールのミニ版ビットコインETFを承認
仮想通貨投資企業グレースケールが提供するGBTCは手数料(1.5%)が最も高く資金流出は続いていたが、新商品を導入し0.15%という業界最安の手数料設定で競争力を高める狙いだ。
06:20
ビットコイン価格が21年後に最大で75億円に到達か、マイケル・セイラー氏の強気予想
ビットコインを最も保有する米上場企業マイクロストラテジーのマイケル・セイラー氏はカンファレンス「ビットコイン2024」で、BTCの今後の強気予想のプレゼンテーションを行った。
07/26 金曜日
17:10
「米大統領選で価格変動 トランプやハリス由来のミームコインの買い方
トランプトークンの概要 ドナルド・トランプ前米大統領とその「Make America Great Again」(アメリカを再び偉大に)というスローガンからインスピレーションを得…
17:10
ヤマハ発動機が初のVTuberコラボNFTを発行、Yamaha E-Ride Baseを訪れて進化可能
ヤマハ発動機が初のNFTデジタルステッカーを発行。横浜のYamaha E-Ride Baseで進化するダイナミックNFTを体験し、限定グッズをゲットできる。
15:13
ビットフライヤーがFTX Japan買収完了、カストディ事業展開へ
株式会社bitFlyer HoldingsはFTX Japanの株式100%を取得し、完全子会社化を発表。8月26日までに社名を変更し、クリプトカストディ事業を展開予定。法制度整備後の暗号資産現物ETF関連サービス提供も視野に入れている。
14:43
Neo Xメインネットが正式稼働 EVM互換でネオのエコシステムを拡張
Neoは高性能EVMベースのサイドチェーン「Neo X」のメインネット正式稼働を発表。クロスチェーンブリッジで流動性と互換性が向上し、エコシステムの可能性が広がる。
14:15
カマラ・ハリス氏のミームコインが過去最高値を記録、大統領候補指名の期待受け
PolitiFiと呼ばれる政治パロディのミームコインが、仮想通貨領域で独自のジャンルを形成しており、カマラ・ハリス副大統領のパロディコイン「 Kamala Horris(KAMA)」が急騰し話題となっている。
12:55
アルトコインETFの未来、ブラックロックが語る現実と可能性
ブラックロックのデジタル資産責任者は、イーサリアム現物ETFが承認されていても他のアルトコインETF誕生には困難があると話した。
12:14
仮想通貨相場反発、ビットコイン・カンファレンスのトランプ登壇に関心集まる
昨日までの大幅下落とは打って変わり暗号資産(仮想通貨)相場は反発した。強気シグナルのハッシュリボンが点灯しているほか、今週末にはビットコインカンファレンスに米国のトランプ前大統領が登壇予定であり、投資家の関心が集まる。
11:00
トランプ前大統領の陣営、4〜6月期で仮想通貨で6億円の寄付金調達
トランプ前大統領は、ビットコインなど仮想通貨で6億円以上の選挙資金を調達。「ビットコイン2024」でもさらに資金を集める予定だ。
10:30
BTCが290万ドルに到達するシナリオ、VanEckが公開
仮想通貨ビットコインが2050年までに290万ドルに到達するシナリオをVanEckのアナリストが公開。このシナリオを実現するための条件を説明している。
10:00
ソラナ初事例、パラオ共和国がデジタルID発行
主権国家が仮想通貨・ブロックチェーンであるソラナ上で、法的アイデンティティを発行する初めての事例となった。

通貨データ

グローバル情報
一覧
プロジェクト
アナウンス
上場/ペア