「ビットコインは過小評価」
米金融大手JPモルガンは25日、投資家向けの書簡で暗号資産(仮想通貨)を「不動産に代わるオルタナティブ資産」と評した。テラ(LUNA)及びテラUSD(UST)騒動などについてはDeFi(分散型金融)への影響は限定的と分析している。
JPモルガンのアナリストらはインフレや利回りの上昇、ウクライナ情勢や中国の生産停止などのマクロ的要因の影響を受ける形で、リスク資産と見られる仮想通貨市場が避けられている状況だと説明。これにより、下落基調が続いていると分析した。
一方で、JPモルガンはかねてよりビットコイン(BTC)の適正価格は38,000ドル(480万円)という評価を下しており、これに基づいて同行はビットコインが現時点では過小評価されていると説明。
JPモルガンのストラテジストであるNikolaos Panigirtzoglou氏は直近の仮想通貨市場を以下のようにコメントした。
直近1ヶ月の相場調整は昨年1~2月に比べると降伏に見える。今後はビットコインや仮想通貨市場全体が上向きになるだろう。
また、JPモルガンは仮想通貨が不動産に代わる「オルタナティブ資産」として台頭してきたと発表。直近の大量売却(セルオフ)は他のオルタナティブ資産より仮想通貨に大きな打撃を及ぼした反面、その分、仮想通貨市場はリバウンドの余地が大きいとした。
これを踏まえ、仮想通貨をヘッジファンドと共にオルタナティブ資産の中で優先的に評価。しかし、オルタナティブ資産自体は以前よりランキングが「Overweight」から「Underweight」へと変更されている。
オルタナティブ資産とは
一般的な投資資産である株式や債券とは異なる「代替的(オルタナティブ)」な投資資産の総称。未公開企業への投資(プライベート・エクイティ)や民間債、不動産が代表例。
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資金調達が「仮想通貨の冬」対策のカギ
また、5月に仮想通貨業界内外から波紋を呼んだUSTのディペッグ騒動については、仮想通貨業界にとって「大きな痛手」だったと評しつつ、DeFiエコシステム全体への連鎖的な影響は限定的だと考察。
テラ騒動後もVCファンドなどからの資金調達が続いているため、企業やプロジェクトへの資金流入が続く限り、長期的な見通しは明るいと分析。以下のようにコメントした。
テラの急落後もVC資金流入が枯渇している証拠は現時点では少ない。現時点で流入している250億ドル(3.2兆円)の内、40億ドル(5,000億円)相当はテラ騒動の後に入っている。
我々の予想では、VCファンディングは継続し、2018年や2019年のような長い「冬」は避けられそうだ。
ただ資金調達が途絶えれば、弱気相場の長期化も回避できない可能性もあるとして、企業への資金調達が今後のカギだと指摘した格好だ。
直近では、大手VCファンド「a16z」の仮想通貨ファンドが5,700億円(45億ドル)の資金調達に成功。また、三井物産株式会社も海外マイニング企業「Crusoe Energy Systems」に出資する事例が散見されており、資金調達はテラ騒動後も完全には停止していない状況が伺える。
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